私は母子家庭で,高校生の子どもが2人います。この度縁があって再婚することになりました。相手の男性は次男で初婚です。しかし,相手男性の母親が私の子どもと息子の養子縁組に反対しています。
反対の理由は,私の子どもが孫(長男の子)より年上だからだと言っているようですが,そもそも何の不都合があるのでしょうか。
取ってつけたような理由には納得できず,多分相続の件ではないかと思っていますが,別に財産などあてにはしていません。心配なら遺言でも残せば問題ないと思うのですが,それとも他に何かあるのでしょうか。

本当の理由は彼のお義母様に聞かなければ分かりませんが,確かに孫の年令での反対は理由としては考えにくく,あなたが想像していらっしゃる相続問題が養子縁組を拒む理由なのかもしれません。
実の子どもや仲の良かった兄弟でさえ,相続が原因で絶縁状態になることもあるのです。世間では,血縁関係のない子どもに苦労して築いた自分の財産を渡す事を,良しとしない人も少なくありません。
養子縁組をするかしないかはあなたの結婚相手が決める事で,第三者が口を挟むべき問題ではありませんが,将来の姑との関係を考えれば,まったく意見を無視するわけにもいかないのでしょう。

あなたは遺言を残せば問題がないとお考えのようですが,法律は残された遺族に対して,保護する観点から下記の件を定めています。
まず,相続において遺言書の存在はとても重要であり,遺言書は故人の最後の意思と考えれば,尊重されるべきものですが,その遺言の内容によって利害関係が生まれ,相続争いに発展するケースも多いのです。
そもそも民法は,遺産を誰がどの位相続するかを定めています。そして,相続人になれるのは配偶者と血族に限定し,これを「法定相続人」と呼んでいます。そして「法定相続人」であっても公平に相続できるわけではなく,優先順位や割合も同じく民法で定められているのです。

故人が遺言書に託した意思は,尊重されるべきものである一方,民法では,少ない相続分の指定しか受けられなかった相続人に対して,最低限の相続財産を相続できるように定めています。この「法定相続人」が最低限相続できる権利を「遺留分」と呼んでいます。なお,この遺留分が認められるのは配偶者,直系卑属(子や孫),直系尊属(親や祖父母)に限られています。
順当に考えれば,お義母様の遺産をあなたの再婚相手が相続し,いずれその財産は,養子縁組をしていればあなたのお子さんたちに引き継がれるのです。

僭越ながら仮にあなたの結婚相手がお義母様より先に亡くなった場合,その後のお義母様の遺産は亡くなった息子の代わりに孫が相続することになる代襲相続というものが法律で定められています。
遺言書があっても法定相続人には「遺留分」がありそれを主張できるのです。勿論相続放棄という手続きもありますが,相続放棄は前もって行う事は出来ません。
いくら遺産はいらないと言っても,念書を書かせても,人の気持ちや状況は移ろいやすいものです。

お義母様の反対理由が相続のことであれば,あなたにとって感情的に穏やかではないかもしれませんが,お義母様の気持ちにも変化があるかもしれません。養子縁組を急いで,関係が拗れる可能性があるのであれば,今暫く静観してみてもよいのではないでしょか。新しい生活が円満でありますことを願っています。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

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