マイホームをせっかく入手した場合は、できるだけトラブルは隣と避けたいでしょう。
しかし、家が密集している場合には、土地がほんのわずかなものでも、その土地はうちのものだ、などというようにトラブルが境界線をめぐって発生する場合もあるようです。
では、トラブルが境界線についてあった場合は、どのように解決するといいのでしょうか?
ここでは、土地の境界線のトラブルの解決方法についてご紹介しましょう。

●土地の使用料を隣が払って欲しいと言う相談の事例

ここでは、土地の使用料を隣が払って欲しいと言う相談の事例についてご紹介しましょう。
建売住宅を買ったが、隣の土地を持っている人から土地の境界線について使用料を要求されています。

自分が持っている土地は、2台分の車が置けるものです。
不動産業者からは、買う前に境界線について明示されており、2台分の車が置けることをチェックして買っています。

しかし、2坪の土地を隣に持っている人が、車を勝手に置かないで欲しい、もし車を置く場合には使用料を払って欲しいと最近になって言ってきました。
不動産業者は、車を境界線内側に置いている場合には問題ないと答えてくれました

しかし、2坪の土地を隣に持っている人からは、立会いを境界線を決める場合に行っていない、勝手にあなたが境界線を決めた、現在の境界線は違っていると言われました。
私は、自分が言っている境界線の方が、測った図面もあるので正しいと思っています。
では、境界線が万一違っていた場合はどのように対処するといいのでしょうか?

●決着を裁判でつける、あるいは調査を法務局に頼む

隣の土地との境界線のトラブルの解決方法としては、「筆界」という登記上の隣の土地との境界線であるものを確定させることが必要です。
主な解決方法としては、決着を裁判でつける「筆界確定訴訟」と調査を法務局に頼む「筆界特定制度」があります。

筆界確定訴訟の場合は、時間や経済的な費用が判決が確定するまでに相当かかる場合が多くあります。
しかし、最終的に筆界を確定する判決を裁判官が下します。
一方、筆界特定制度というのは、プロの知識を持っている筆界調査委員の意見と調査をベースにして、筆界を法務局の筆界特定登記官が特定するものです。

筆界確定訴訟と比較して、被告と原告が対立するようなスタイルではないので、処理する期間が短い、負担する費用も多くない、利用しやすいことがメリットです。
しかし、さらに筆界確定訴訟で争うことが、筆界が特定されてからも許可されています。
そのため、当事者として納得が特定された筆界にできない人がいる場合には、解決が最終的にできないということもあります。
では、隣の土地との境界線のトラブルの解決方法としては、筆界確定訴訟と筆界特定制度のどちらが適しているのでしょうか?
筆界確定訴訟の方が、確定的かつ終局的な判断を得ることができるので、境界線のトラブルの解決方法としてはより適しているでしょう。

●相手が言う通りの境界線であった場合はどうか?

では、相手が言う通りの境界線であった場合はどうなるのでしょうか?
相手が言う通りの筆界であった場合でも、所有権確認訴訟を時効に問題の土地はなっているとして提起する方法があります。
今回の相談の事例では、建売住宅を買った人は、不動産業者による境界線の明示などを信用して不動産を買っています。

つまり、駐車スペースとして筆界からはみ出しているものは、自分が買った土地であると思っていたわけです。
このような場合は、10年以上土地が引渡しされた時から自分の土地として使用し続けていると、時効が民法162条2項によって成り立ちます。
時効が成り立つと、駐車スペースは自分の土地ではもともとなかった場合でも自分のものになります。
そのため、自由に今までどおり使用できるようになります。

境界線のトラブルは、よく長期化するため、最もいいのは未然に防ぐことです。
不動産の取引の契約をする前には、「境界確認書」という隣の土地を持っている人が境界線を確認する際に立ち会っていたことを証明するものが、取り交わしされているかきちんとチェックしましょう。

●境界線のトラブルを解決したい場合は弁護士事務所に相談する

土地の境界線のトラブルの場合は、先にご紹介したように筆界確定訴訟がおすすめです。
筆界確定訴訟であれば、短い期間でしかも少ない費用で、一定の結論を境界線のトラブルに対して出すことできるでしょう。
そのため、隣と境界線でトラブルになっているが、時間や費用などの点からなかなか裁判には踏み切れなかった場合でも、筆界確定訴訟を使って、境界線のトラブルが解決できることがあります。

しかし、まだ筆界確定訴訟は始まったばかりのものであるため、よく分からないことも多くあるでしょう。
また、手続きをする際に、自分が言う境界線を認可してもらう場合は、資料を用意することなども必要です。
そのため、境界線のトラブルを解決したい場合は、相続に強い専門家が在籍する当センターにご相談ください。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。