私の父には,愛人がいて,最近その愛人に子どもがいることが分かりました。確認の為,父の戸籍を取寄せましたが,認知している様子はありません。このまま父が亡くなった場合,相続人は誰になるのでしょうか。因みに,私の家族は,両親と私,妹の4人です。

認知の有無

まず,現在の戸籍に認知の記載がなくとも,転籍や戸籍が改製されている場合,その事実が転記されることがありません。必ず,過去の戸籍を遡って確認する事を忘れないようにして下さい。

そして,それらの調査をした上で,認知の事実がなければ,認知されていない非嫡出子は法定相続人には成りえません。ですから,法定相続分を主張することはできないのです。

 

婚外子(非嫡出子)が相続人になりえる場合

まずはあなたのお父様の意思で行う認知(任意)です。認知されれば婚外子はあなたと妹さんと同等の立場である法定相続人となります。

相続の割合については,配偶者であるあなたのお母様が2分の1,そしてあなた方3人で2分の1を3等分,つまりそれぞれ6分の1ずつ相続することになるのです。

また,任意での認知が為されない場合,相手方から認知を求められるケースも忘れてはいけません。これを強制認知と言い,状況によっては死後に及んでくるケースも少なくありません。強制認知は,家庭裁判所に対し,調停の申立を行います。そして「DNA鑑定」など,最近よく耳にする手続きが行われていくのです。

なお,「死後認知」は子の代理人として母親が地方検察庁の検事に対し,認知の訴えを起すことになります。こちらも同様に「DNA鑑定」等を行ったりしますが,この訴えは,父親の死後3年以内に限られているということです。それを経過した場合,訴えを起す事ができなくなるので気をつけなければなりません。

なお,任意,強制の如何に関わらず,認知となった場合の相続分は先にご説明したとおりです。

 

認知が認められた以降,相続が発生するまでに行うべきこと

平成25年12月5日,民法の一部が改正され,嫡出子と非嫡出子との相続分が同等になりました。

相談者のあなたにとっては,複雑な思いもあるでしょうが,法律は遵守しなければなりません。

そして,認知の有無であなたの相続分は変わってきますが,仮に認知がなくとも,遺言書などによってはあなたの相続分が侵害される可能性もあるのです。

あなたとお父様との関係が円満であれば,一度しっかりと時間を設け話し合って見ることです。そして,しかるべき遺言書を作成するなど,少しでもあなたの相続分を死守するための方法などについて考えてみてはいかがでしょうか。

但し,非嫡出子の権利も当然に尊重されるべきだという事は忘れずに,よりよい方法をご検討下さい。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続には様々な形があり、手続きや申請方法もケースによって異なります。専門知識が無い方は申請書の不備等で無駄な費用が掛かってしまう可能性もありますのでしっかりと相談することをおすすめします。