断層が日本では多くあり、地震がどこでも起きる可能性があります。
地震が一旦起きれば、住宅が倒れたり、火災が起きたりするなど、大きな被害を個人が持っている財産も受けます。
ここでは、相続税は災害が起きた場合にどのようになるのか、想定と対策についてご紹介しましょう。

 

●相続税が軽減される条件

相続税は、災害減免法によって、被害を災害で受けた場合に軽減されます。
相続税が軽減されるのは、次にご紹介するいずれかの条件に該当する場合です。
(1)相続税の課税額を算出するベースになる財産額の中で、被害を受けた箇所の保険金などによる補てん額を除いた価額が1/10以上を占めること
(2)相続税の課税額を算出するベースになる土地の不動産などの地価の中で、被害を不動産などについて受けた箇所の保険金などによる補てん額を除いた地価が1/10以上を占めること
なお、株式や現金が相続財産に多く、(1)の条件に該当しない場合でも、住宅・家財・車のみに限定して(2)の条件に該当すると相続税が軽減されるようになります。

●相続税が軽減される内容

相続税が軽減される内容は、被害を相続税を申告する期限前に受けた場合と期限後に受けた場合では違ってきます。
・被害を相続税を申告する期限前に受けた場合
この場合は、相続税の申告がまだ終わっていないため、保険金などによる補てん額を除いた被害を受けた箇所の価額を本来の相続財産額から差し引いて、相続税を再度算出します。
なお、特例として小規模宅地などが適用されていれば、相続財産額については特例が適用された後の価額になります。
被害額や被害の状況などを、相続税の申告書に書いて、基本的に申告する期限内に税務署に出します。

・被害を相続税を申告する期限後に受けた場合

この場合は、相続税は申告したが、相続税を延納したためまだ納付していないものがあるケースです。
現金一括で相続税を納税した場合は適用されません。

免除される相続税額としては、被害を受けた箇所の価額に被害を受けた日に納付する相続税額を掛けたものを相続財産額で割ったものになります。
相続税額はすでに決定した後であるため、相続税額を再度算出しないで、相続税は被害を受けた箇所の比率分のみ免除されます。
被害額や被害の状況などを書いた申告書を、災害が収まった日から2ヶ月のうちに税務書に出します。

なお、被害を受けた日に納付する相続税額としては、滞納額や延滞税は含まれません。
つまり、相続税を申告したがまだ納付していない、または、全額すでに納付した場合は、相続税は免除されません。
では、相続税が免除されるのはどのような場合なのでしょうか?

相続税が免除される場合としては、以下があげられる場合

・延納している場合は、被害を受けた日の後に分納期限がくる税額
・延納あるいは物納を申告している場合は、延納あるいは物納が許可になる前に徴収が猶予されている税額
・農地などに関して特例として納税猶予が適用されている途中の場合は、その税額

いずれも特殊な場合であり、普通の現金一括で納付する場合には、全く適用されません。
相続税は、申告する期限前に被害を受けた場合には軽減されるが、申告する期限後の場合には全く適用されないのは納得できないと思うかもしれません。
住宅が相続税を申告する期限日に被害を受けていない場合でも、その後に被害を受けて住宅が倒れると価値が無くなるためです。
相続税法においては、基本的に、相続が発生する際の時価、例えば、不動産の土地の場合には地価で相続財産の価値は評価するようになっています。
そのため、相続税を申告した後、被害を一定期間内に受けた場合も考えて、何らかの改正が災害減免法において望まれるでしょう。

 

●災害が起きた場合のための対策

では、万一災害が起きた場合のための対策としてはどのようなものがあるのでしょうか?
災害保険が、万一災害が起きた場合のための対策としてはおすすめです。
災害保険としては、火災保険があります。

火災保険というのは、火災の場合のみでなく、落雷、洪水、雪害・台風、洪水などのいろいろな自然災害のリスクに対応できるものです。
一方、噴火・地震による損害については、補償は火災保険だけではされないので、地震保険に入る必要があります。

しかし、地震保険に入っていない場合でも、特約の地震火災費用保険金が支給されることがあります。
また、火災保険の補償対象としては、家財あるいは建物、あるいは両方を選ぶことが必要です。
火災保険に入っているため心配ないと考えていても、建物のみが対象の場合には家財は補償されないため注意しましょう。
保険に入る場合には、保険の補償対象をまず決定しましょう。

火災保険の場合は、建物のみでは家財は補償対象にならないため、建物以外に家財の火災保険も入るのがおすすめです。
次に、補償内容を、希望や住宅の状況によって決定しましょう。
現在は、火災保険として、自分で必要な補償のみが選べるものもあるため、賢く利用しましょう。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。