私は離婚し、現在長女と2人暮らしです。先日元夫が亡くなったとの連絡がありました。
元夫は1000万円の死亡保険金に加入していたようで、その保険金の受取人が長女であった事を知りました。
そして、元夫の兄から、保険金を受け取り、その中から親族が立替えた葬儀代や親族が貸していた借金の返済をして欲しいと言われ金額はおおよそ400万円らしいです。

元夫は怠け者で、養育費さえ支払ってはくれませんでした、長女は成人していますがまだ大学生で学費もかかります。
離婚後、元夫の親族とは一切付き合いはありませんでした。ましてや、今後も付き合う気持ちは一切ありません。
私としては、400万円の支払をせず、少しでも娘の手元にお金を残してあげたいのですが、唯一の法定相続人である娘が保険金を受け取った場合には支払わないといけないのでしょうか。

1. 生命保険は相続財産になるのか?

保険金受取人として相談者であるあなたの長女が指定されていれば、当然その生命保険金は長女の固有の財産であり、相続財産ではありませんので、相続財産と混同してはいけません。
そもそも相続するということはプラスとマイナス(借金)両方の財産を引き継ぐことになります。しかし、マイナスが多い財産を引き継ぐ人は希で、その多くは相続放棄の手続きをしています。
今回の親族への借金については、当然マイナスの財産である事から、何もしなければ長女が引き継ぎ、返済の義務を背負う事になります。
元夫の財産が間違いなくマイナスであれば相続放棄の手続きをする事が賢明ですが、離婚後接点がなく、詳しい財産調査が出来ていない中、元夫の兄の話だけを鵜呑みにして相続放棄の手続きを進めるのは性急であり、出来れば、まずは財産調査をする事をお薦めします。
ただし、相続放棄の手続きをする期間(相続の開始、及び知った時から3ヵ月以内)は厳守しなければなりません。一個人が、限られた時間内に疎遠であった故人の遺産調査をすることは困難を極める事も多く、途中で断念することも少なくありません。より迅速かつ明確な調査をするためにはやはり弁護士などの専門家に依頼する事も大切です。

2. 葬儀費用は誰が負担するべきか?

次に、葬儀費用については、相続とは別問題であり、葬儀費用を誰が負担するかについては法律上の規定はありません。
一般的には、香典で賄いそれでも足りなければ喪主の方が負担することとなるのでしょうが、これは親族間での話し合いで決めるしかないのです。
また、葬儀費用は相続財産ではないので、相続放棄をしたからといって葬儀費用負担の義務がなくなるわけではありません。
突然の連絡にどのようにしてよいのか思案されていると思いますが、まず保険金は長女の固有の財産であり、相続財産と混同することなく冷静に検討して下さい。なお、余談ですが長女は既に成人していますので、長女の考えを尊重することを忘れないで下さい。納得の行く解決がされることを願っています。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。