Q: 被相続人の前の婚姻時代の子供や婚外子が相続にかかわってくる場合はどうすればいいでしょうか?
A: 前婚の子どもや認知した婚外子は法定相続人です。これらの人を含めて協議しないと遺産分割自体が無効になります。

相続人がすべて入っていない協議は無効

被相続人(死亡した人)の前の婚姻時代の子ども(前婚の子供)や婚外子(非嫡出子)が相続に関係してきた場合は、注意しないと深刻な紛争に発展する可能性があります。
例えば、父親が死亡し、遺言がなかったので遺産分割協議をしている最中に、相続手続きのため父親の戸籍収集を頼んだ弁護士や司法書士から、「(父親には)認知した婚外子がいる」と聞いてびっくりしたというケースがあります。しかも「その子供は遺産分割協議に参加したいとの意向を示している」と言われたら、どうすればいいのでしょうか。

相続では、遺言がない場合は遺産分割協議が必要です。遺産の何を、どの相続人に、どれだけ相続させるかの協議がまとまらないと、相続手続きが基本的に進まないからです。
遺産分割協議では、被相続人の遺産をすべて洗い出すとともに相続人も確定させなければなりません。通常、法定相続人はすぐに確定します。ところが、確定させるのに時間がかかりがちなのは、前婚で生まれた子供がいたり、認知した婚外子(非嫡出子)がいたりする場合です。疎遠なので連絡を忘れたり、あるいはわざと連絡しなかったりする場合もあるからです。
もっとも、前婚の子供や非嫡出子がいた場合、必ず判明します。

遺産分割においては被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本が必要ですが、これら前婚の子供や非嫡出子は、必ず戸籍に記載されているからです。
被相続人の前婚の子供や非嫡出子も法定相続人です。こうした相続人を含めずに遺産分割協議をしても基本的には無効です。前婚の子供や非嫡出子を外したまま遺産分割協議をして、前婚の子供らから訴えられたりすることも考えられます。したがって、こうした相続人が発覚した場合は協議をやり直すこととなります。また、前婚の子供らから協議を求められたら拒むことはできません。

婚外子でも法定相続分、遺留分は同じ

親の相続についての法定相続分は、前婚の相手との間に生まれた子供と現在の両親の間に生まれた子供とは区別はありません。非嫡出子も同様です。
非嫡出子の法定相続分については、長い間、嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子)の半分とされていましたが、2013年(平成25年)の最高裁判所の違憲裁判を受けた民法改正で同じ割合になりました。最低限の相続分である遺留分についても同じです。
だからといって、被相続人と同居して生活関係がより密接だった婚内子と、別居して関係が疎遠だった婚外子の相続分が同じというのではトラブルの度合いが増す可能性があります。
そこで、弁護士、司法書士といった専門家を入れて話し合いをするのがいいでしょう。

基本的に溝があって話しにくいので、第三者の意見があるほうが話し合いがまとまりやすいです。
なお、婚外子でも認知の訴えを起こすことができ、裁判で認められれば相続人になれます。

前婚の子供や認知した婚外子があり、それを家族に明らかにしていない場合はどうすればいいでしょうか。トラブルが発生する可能性が大きいので、それを防ぐには遺言を書く必要があります。
生前には言いにくいことでも、遺言には書く必要があります。遺言で認知すれば、その人は相続人になるので、相続させたい婚外子がいれば遺言で言及する必要があります。
婚外子の存在を明らかにしないまま死亡するのはトラブルを先送りするだけです。相続をめぐる争いを防ぐには、「遺言で婚外子を認知した上、具体的な分割方法を被相続人自身が指定する」ことも1つの方法だと多くの専門家は指摘します。