■相続税の申告

相続税の申告期限について、知らない方も多いのではないでしょうか?
相続税は、故人の死亡した日、若しくは相続の開始を知った日の翌日から、10ヶ月以内に申告して納税します。
もし申告期限を過ぎてしまうとペナルティもありますので注意が必要です。申告期限までに提出をしなかった場合や申告期限を過ぎて申告書を提出した場合には、加算税や延滞税がかかり相続税の負担が重くなりますので、申告期限は正確に把握しておく必要があります。

納付期限(納税額を税務署に納付する期限)も申告期限と同一であるため注意が必要です。申告してから納付期限が設けられるわけではないので注意しましょう。
申告期限までに申告をしても、税金を期限までに納めなかった際には利息にあたる延納税がかかる場合がありますのでご注意下さい。

申告場所は、故人(親等)の住所地を管轄する税務署で、相続人の住所地を管轄する税務署ではありません。
また、申告書を提出する人が2人以上いる場合には、共同で申告書を作成し連署して提出することになります。
さらに、相続人の間に争いがあった場合や共同相続人の中に行方不明等、連絡の取れない人がいた場合などには、各自別々に提出することも可能です。

 

■申告する際の注意点

申告期限までに相続税の申告をしなかった場合や、実際に取得した相続財産の額よりも少ない額で申告した場合などには、本来の税金の他に加算税がかかるので注意が必要です。

 

■申告書の添付書類

申告書には、通常下記の添付書類等が必要になります。
・戸籍謄本
・遺産分割協議書の写し
(※相続人の中に未成年者がいる場合には、家庭裁判所に特別代理人の選任をしてもらって、この特別代理人の実印を押します。)
・各相続人の印鑑証明
・預貯金、借入金等の残高証明書
・生命保険、退職手当金等の支払証明書
・不動産の登記簿謄抄本(登記事項証明書)、地形図
・固定資産税評価証明書

 

■相続税の納付に関して

申告期限は相続の開始を知った日(通常は故人の死亡の日)の翌日から 10ヶ月以内に行うことになっています。
相続人が死亡した事実を知らず、申告期限が延長する場合はありますが、相続税法を知らなかったため申告期限に気付かなかったからといって、申告期限を延長することは出来ないので、その点の認識の違いには気をつけて下さい。
また、相続税の納税は金銭で一度に納めるのが原則です。

ただし、特例として分割による支払いや金銭以外の相続財産で支払うことが認められている場合があります。そういった場合は申告期限までに税務署に申告書を提出して許可を貰う必要があります。この場合、延滞した額に対して、延滞税が発生する場合があります。

相続税は所得に課される税金とは違い、資産に課される税金なので、相続により取得した財産が換金しにくい不動産や株式等ばかりであった場合には、売却しないと納期までに金銭よる納付ができません。

そこで、相続税を金銭で一度に納めることが困難な場合には、一定の要件を満たしていれば、その困難な金額を限度として何年かに分けて納める「延納」や、相続した財産そのものを税金の代わりに納める「物納」という方法もあります。

相続税の申告が必要な場合で遺産分割協議が10か月以内にまとまらない場合には、本来自分のもらえる分の財産をもらったものとして相続税の計算を行い各人が相続税を納める事になります。遺産分割についての話し合いがまとまらない場合には、小規模宅地の特例や、配偶者の税額軽減の特例などの優遇措置を受ける事ができません。その後、話し合いが終わり遺産分割できた際に「更正の請求」(書類)を提出する事により特例の適用を受けることが出来ます。
この更正の請求は原則として法定の申告期限から5年以内です。

「延納」の場合には、担保を提供するほか、延納期間に応じて利子税もかかります。また、延納できる期間は相続財産中に含まれる不動産の占める割合に応じ、5年から20年と定められています。

次に「物納」ですが、相続財産を売却して得た金銭で相続税を納める場合には、譲渡所得税がかかりますが、この「物納」の場合にはかかりません。尚、物納財産の価額は、相続税を納める時の時価ではなく相続開始の時の評価額で収納されます。
これら「延納」「物納」を希望する場合、相続税の申告期限までに手続きをとる必要があります。

 

■申告期限の延長

相続税の申告期限は10か月が原則ですが、特殊な事情がある場合に限り、税務署に申請をして申告期限を延長できます。
具体的には、次のようなケースです。

1 災害その他やむを得ない理由があるは、その理由がやんだ日から2カ月の範囲内で延長
2 次の事由の生じた日後1カ月以内に申告期限が到来するときは、その事由が生じたことを知った日から2カ月の範囲内で延長
3 認知、相続人の廃除、相続の回復、その他の事由により相続人に異動が生じたとき
4 遺留分の減殺請求により返還、弁償額が確定したとき
5 遺贈に係る遺言書が発見されたときや、遺贈の放棄があったとき
6 相続等により取得した財産の権利の帰属に対する訴えの判決があったとき
7 相続開始後に認知された人の価額の支払請求権の規定による請求があったことにより弁済すべき額が確定したとき
8 相続人の失踪宣告があったとき
9 すでに生まれたとみなされる胎児が生まれたとき
10 申告期限前1か月以内に退職手当金等の支給額が確定(非課税の範囲内であるなど、相続税額に影響がない場合を除きます)
したときは、その確定を知った日から2カ月の範囲内で延長
11 相続人となる胎児がいるとき(その胎児が生まれたものとして課税価格及び相続税額を計算した場合において、相続または遺贈により財産を取得したすべての人が相続税の申告書を提出する義務がなくなる場合に限ります)は、その胎児が生まれた日から2カ月の範囲内で延長

申告期限の延長の事由になるケースは特殊であること、また「知った日」を証明することの難しさから、よほどの事情がない限り、基本的には相続の開始(亡くなった日)の翌日から10か月と考えておいたほうがよいでしょう。

当センターでは,懇意にしている税理士もおります。遺産分割についての相談だけでなく、につきましては無料で承っておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。