仮に4000万円の財産があり再婚したら?

現在は、高齢化社会になってきており、高齢者でも元気な人が多くなってきています。
そのため、60代~70代の妻が亡くなった男性や離婚した男性が、恋愛を若い愛人として再婚する、というようなケースも多くあるでしょう。
しかし、子供たちから見ると、再婚を父親が愛人とするのは、財産を将来相続する際に非常に取り分が少なくなってしまいます。
というのは、現在の法律においては、法定相続人の妻が財産の半分を相続して、法定相続人の子供たちで残った財産を均等に分けるようになっているためです。
しかも、良くない愛人に財産を無駄使いされた場合は、相続する財産が全く無くなって紛争になる場合さえもあります。
ここでは、具体的なケースとして、4000万円の遺産、子供が2人の兄弟の場合についてご紹介しましょう。

父親と愛人が未入籍のケース

遺言書が無い場合は、それぞれの相続権分は愛人が0円、兄が2000万円、弟が2000万円です。
遺言書がある場合で、遺留分を請求した場合は、それぞれの相続権分は愛人が2000万円、兄が1000万円、弟が1000万円、遺留分を請求しない場合は、それぞれの相続権分は愛人が4000万円、兄が0円、弟が0円になります。

父親と愛人が入籍済のケース

遺言書が無い場合は、それぞれの相続権分は愛人が2000万円、兄が1000万円、弟が1000万円です。
遺言書がある場合で、遺留分を請求した場合は、それぞれの相続権分は愛人が3000万円、兄が500万円、弟が500万円、遺留分を請求しない場合は、それぞれの相続権分は愛人が4000万円、兄が0円、弟が0円になります。

では、60代~70代の妻が亡くなった男性が、恋愛を若い愛人として再婚する、というようなことがどうして起きるのでしょうか?
現在退職した後の暮らしを楽しんでいる世代は、お金を最も持っています。

退職金として、大会社を退職した場合は2000万円~3000万円、中小企業を退職した場合でも1000万円以上をもらっており、さらに住宅ローンの返済は終了しています。
年金についても、厚生年金と老齢年金の2階建てになっており、大会社の場合は企業年金がさらに上乗せになっており、40万円程度の年金が個人によっては入ってきます。
そして、まだ体は元気であるため、多くの人が再就職しています。

よく最近あるケースとしては、発展途上の東南アジアなどの国から、会社の技術サポートや品質管理の顧問として招待される場合です。
現地の会社の社長の話によると、例えば、このような国の会社では多くの18歳程度の女の子が仕事をしており、人口が非常に多いため、結構な割高で女優のようにきれいな女の子がいるそうです。
このような女の子に甘えられると、うっとりとした気持ちになるのも当然でしょう。

いい仲にひとたびなると、何でも女の子に言われるままに買ってしまうでしょう。
物価が高くないので、住宅でも建築することができます。
このようなことから、貯金も退職金も全て使ってしまって、女の子も離れて行きます。

しかし、お金が全く無くなって帰国できる人はまだいいですが、日本にいる子供や妻に面目なくて、日雇い労働者として現地に残って生活している人もいるそうです。
また、雑誌の取材で聞いた話についてご紹介しましょう。
家族も気難しくて手こずっていた老人が、心を絵画教室で知った女性にのみ許して、持っていたマンションの名義を家族が知らない間にその女性のものに換えていたそうです。
この女性は、同じようなことを資産家の他の老人のところでも行っているそうですが、老人に対して親切にしているのは明らかに意図的であるとしか考えられません。

財産を守る防衛対策

現在の多くの退職者は、一生懸命企業戦士として仕事をしてきています。
免疫がこのような色恋に対してない人が、お金と時間が余っている場合に愛人ができると、歯止めがもうきかなくなります。
子供が、いかに「これはお父さん騙されている」と話をしても、本人は上機嫌になっているため全く聞き入れません。

しかし、再婚のみ阻止するといいということではありません。
相続権は、内縁の妻のように入籍しない場合でも認められる場合もあるためです。
子供が、このような場合にできるのは、相手の愛人に一度面会させてもらう程度でしょう。
面会したいと言うと逃げるような愛人であれば、財産が初めから目的であったということでしょう。
もし付き合いを本気でしているような場合は、方法としては遺言効力があるように一筆財産に関してはいくら以上求めませんというように書いてもらうものもあります。

だが、これは父親が非常に怒る可能性もあります。
遺産を父親が死亡する前に相続してもらう生前対策が防御策の最大のものですが、子供からこれを切り出すのは困難です。
父親も縁の切れ目にお金の切れ目がなると分かっているため、相続はぎりぎりまでしないでしょう。
頑固に父親がなるのは、問題が子供にある場合も多くあります。
父親の資産を本当に子供のもののように信じ込んで、思う通りに父親をしようとするため、不信感を父親も持ちます。
良好に親子関係を維持しながら、見守って行き過ぎないようするしか方法はないでしょう。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。