今までの事業承継税制の概要

個人事業の事業承継税制は、相続税の課税価格にビジネス用宅地などの2割を含めるもので、個人事業主のスムーズな承継を図るものです。

法人の事業承継税制は、相続税と贈与税の制度があります。

若い時に先代の経営者が亡くなるなど、事業承継を急に強いられるような特殊な場合を考慮したものであるため、贈与税の納税が猶予される制度を普通の事業承継の場合は適用するようになります。

事業承継税制の過去の改正

事業承継税制は、創設されてから利用数が増えませんでした。

というのは、納税が猶予される制度自体が難しく、煩雑な手続きであるためでした。

そのため、中小企業が利用したいと考えても、依頼を顧問税理士が断るので、申請手続きができない場合が多くありました。

また、事業承継税制が適用された後の5年間は、継続報告書を経産大臣に毎年提出すると同時に、継続報告書を所轄の税務署長にも提出することが必要でした。

5年経った後も、継続報告書を3年毎に所轄の税務署長に提出することが必要でした。

この期間中も、5年間で雇用を平均して8割を保つのが難しいと思われる、納税の猶予が取消になった際に非常に大きなリスクがある、経営戦略のM&Aが抑えられるのは酷い、などというように誤解されたため、中小企業の経営者からは適用されるのが打ち切りされるリスクがあるとして敬遠されていました。

事業承継税制は、このようなことから利用数が多くならなかったと思われます。

そのため、平成25年度の事業承継税制改正においては、中小企業の多くに利用を促すために手続きの簡素化が行われました。

平成30年税制改正大綱における事業承継税制の変更点

平成30年度税制改正大綱が、平成29年12月14日に公表されました。

中小企業の経営者は60歳台半ばが平均年齢のピークになっており、急速に高齢化が進む日本において、スムーズな中小企業の世代交代による生産性アップは、喫緊の課題になっています。

このような中において、事業承継税制に関して、抜本的ないろいろな要件の緩和などの拡充を10年間の特例措置として行います。

【変更点1】納税猶予の対象が課税価格の100%へ引上げ

会社の代表権がある人から後継者が会社の株式を贈与などで取得した際は、取得した株式に関係する課税価格に対する全ての相続税あるいは贈与税について、納税をこの後継者が亡くなる日まで猶予されるようになりました。

【変更点2】先代経営者以外の株主から贈与された株式も対象

特例後継者が、贈与などによって会社の代表者ではない人から株式を取得する場合についても、贈与申告書を提出する期限が5年のうちに来るものに限定して、納税が猶予される対象になりました。

【変更点3】経営環境が悪化した場合の特例

経営環境が悪くなった際、株式を5年経った後に譲渡する場合、納税が猶予される税額が会社が合併で解散したり無くなったりする際などには免除されるようになりました。

【変更点4】親族外承継における相続時精算課税の適用

相続時精算課税の適用は、後継者が贈与する人の推定相続人ではない場合でも受けられるようになりました。

事業承継税制に関する誤解

事業承継税制は、儲けている企業が節税するためのもので、優れた高い株価の会社が優遇されるものです。

しかし、このような優れた高い株価の会社を優遇しても、国内の中小企業が廃業するのを防止することは期待できません。

高い株価になっているのは大きな純資産で好調な業績であるためであり、このような優れた会社は優遇されなくても問題ありません。

廃業はこのような会社にとって縁が無いので、事業承継税制は検討違いの政策です。

現在問題として日本が抱えているものは、廃業のリスクがあり、小さい純資産の業績が悪くなっている、低い株価の中小企業です。

このような中小企業の経営者に税金として課されるものは問題にならない軽いものであるため、事業承継税制はそれほど必要ではありません。

つまり、ほとんどの中小企業にとって、事業承継税制は縁が無いものであり、廃業を防止したり、世代交代を促したりするために、この制度改正は全く役立っていません。

まとめ

個人事業の事業承継税制は、個人事業主のスムーズな承継を図るものです。

法人の事業承継税制は、相続税と贈与税の制度があります。

事業承継税制は、納税が猶予される制度自体が難しく煩雑な手続きであるため、創設されてから利用数が増えませんでした。

そのため、平成25年度の改正においては、中小企業の多くに利用を促すために手続きの簡素化が行われました。

平成30年度税制改正大綱が、平成29年12月14日に公表されました。

平成30年度税制改正大綱の主な変更点としては、ここでご紹介したように4つあります。

ほとんどの中小企業にとって、事業承継税制は縁が無いものであり、廃業を防止したり、世代交代を促したりするために、この制度改正は全く役