■税制改正によって変更されたこと
相続税・贈与税は、平成25年の税制改正で大きな変更点が加えられました。 その実施は平成27年1月1日からです。 多くの人にかかわる内容が多く、しっかりと理解しておく事が必要です。
▼平成27年相続税・贈与税の変更点
目次
・ポイント① 基礎控除が引き下げられる(相続税)
・ポイント② 税率構造が変わり、最高税率が引き上げられる(相続税)
・ポイント③ 未成年者控除と障害者控除の金額がアップ
・ポイント④ 小規模宅地等の特例の適用対象面積が広がる
・ポイント⑤ 税率構造が変わり、最高税率が引き上げられる。(贈与税)
・ポイント⑥ 父母祖父母からの贈与が優遇される。
・ポイント⑦ 相続時精算課税制度の適用対象が広がる
・ポイント⑧ 「事業承継税制」で適用要件の緩和などが行われる。
ポイント① 基礎控除が引き下げられる。
※基礎控除 相続した財産の額から、無条件で差し引くことができる金額でこの金額以下なら相続税はかからない。
・平成26年12月31日まで 5,000万円+1,000万円×法定相続人の人数
・平成27年1月1日以降の相続から 3,000万円+600万円×法定相続人の数
例)法定相続人が3人の場合
・【改正前】5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円
・【改正後】3,000万円+600万円×3人=4,800万円
ポイント② 税率構造が変わり、最高税率が引き上げられる。
平成26年12月31日まで
各相続人の取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超3億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円超 | 50% | 4,700万円 |
平成27年1月1日以降の相続から
各相続人の取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
ポイント③ 未成年者控除と障害者控除の金額がアップ
※未成年者控除:相続人が20歳未満の場合にその税額から差し引くことができる金額
※障害者控除:相続人が障碍者の場合に、その税額から差し引くことができる金額
▼未成年者控除
平成26年12月31日まで(20歳-相続開始時の年齢)×6万円
平成27年1月1日以降の相続から(20歳-相続開始時の年齢)×10万円
▼障害者控除
平成26年12月31日まで(85歳-相続開始時の年齢)× 6万円(特別障害者は12万円)
平成27年1月1日以降の相続から(20歳-相続開始時の年齢)× 10万円(特別障害者は20万円)
例)相続人が17歳の場合(未成年者控除)
【改正前】(20歳-17歳)× 6万円 = 18万円
【改正後】(20歳-17歳)× 10万円 = 30万円
ポイント④ 小規模宅地等の特例の適用対象面積が広がる
▼住居用宅地(特定居住用宅地)の適用対象面積
平成26年12月31日まで 240㎡
平成27年1月1日以降の相続から 330㎡
▼居住用の宅地(特定居住用宅地)と事業用の宅地(特定居住用宅地)がある場合
平成26年12月31日まで 合計400㎡ (特定居住用宅地240㎡、特定事業用宅地400㎡のうち400㎡まで)
平成27年1月1日以降の相続から 合計730㎡(特定居住用宅地240㎡、特定事業用宅地400㎡のうち400㎡まで)
小規模宅地等の特例
被相続人の自宅やその事業に使われていた宅地の評価額を最大80%軽減する特例
ポイント⑤ 税率構造が変わり、最高税率が引き上げられる。
平成26年12月31日まで
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
平成27年1月1日以降の相続から【一般贈与財産】※「特例贈与財産」以外の贈与
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
1,500万円超3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
ポイント⑥ 父母・祖父母からの贈与が優遇される。
平成26年12月31日まで
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
平成27年1月1日以降の相続から
【特例贈与財産】※父母・祖父母から、20歳以上の子、孫への贈与
課税価格 税率 控除額 200万円以下 10% - 200万円超400万円以下 15% 10万円 400万円超600万円以下 20% 30万円 600万円超1,000万円以下 30% 90万円 1,000万円超1,500万円以下 40% 190万円 1,500万円超3,000万円以下 45% 265万円 3,000万円超4,500万円以下 50% 415万円 4,500万円超 55% 640万円
ポイント⑦ 相続時精算課税制度の適用対象が広がる
平成26年12月31日まで
贈与する人(贈与者) 65歳以上父母
贈与を受け取る人(受贈者)20歳以上の子
平成27年1月1日以降の相続から
贈与する人(贈与者) 60歳以上の父母、祖父母
贈与を受け取る人(受贈者)20歳以上の子、孫
ポイント⑧ 「事業承継税制」で、適用要件の緩和などが行われる
※事業継承税制:非上場の会社を承継した場合に相続税などの優遇が受けられる制度
平成27年1月1日以降の相続から
- 相続税納付の猶予期間中に従業員数が「申告期限後5年間の平均で、雇用の8割を確保」に変更される。
- 親族以外の人が後継者になる場合も適用される。
- 相続税納付の猶予期間にかかる利子税が、事業承継5年超で免除される。
- 相続前に必要だった、経済産業大臣による「事前確認制度」が廃止された(平成25年4月1日より)
- 株券を発行していない会社が、株券を発行しなくても株式を担保にできるようになる。
- その他、会社や仙台経営者の要件、納付を猶予される税額の計算方法、延納、物納の要件などが改正される。