また、「遺産分割」と「相続税申告」において、通常とは異なる点があるため、注意が必要です。
当センターでは、障害者相談員と弁護士がチームを組み、障害児をお持ちの親族の方たちのサポートをさせていただいており、後見人・信託・節税など様々な角度から、障害児のお持ちの親族の方に相談を受け付け、ご説明させていただいております。
特に障碍者(障害者)の相続というと後見人という言葉が良く耳にされると思いますが、ごく少数の後見人になった方の話でありますが、成年後見人による横領なども悪意のある親族・士業など遺産の使い込みなどの話もあります。
後見人は家庭裁判所の審査や許可が必要で、誰でも簡単にはなれませんが、弁護士や司法書士などの法律の専門家や親族もなることが可能です。
障碍者(障害者)が相続人でいる場合の後見人制度とは?
日本は超高齢化社会に突入しているので、ここ数年は毎年1万人以上のペースで増加し、今後も利用者数の増加が見込まれます。
成年後見制度とは精神上の障害 (精神障害、知的障害、認知症など)で一般の判断能力が十分でない方が悪意のある者から不利益を被らないよう、家庭裁判所に申請を行い、援助してくれる人を付けてもらう制度になります。
特に意思能力に問題がある障害を持つ相続人がいる場合、相続発生後から手続きをすると、10ヵ月以内の相続税申告に間に合わないこともあるため、事前に準備をしておくことが求められるケースもあります。
障碍者(障害者)の信託とは?
まず、信託とは委託者(親族など)が信託行為(遺言、信託契約)で受託者(信頼できる方)に対し、不動産・預金などの財産を移転し、受益者{障碍者(障害者)・認知症の方}のために受託者は委託者が設定した信託目的に沿って信託財産の処分・管理・などをする制度の事を言います。
その中でも、特定贈与信託というものがあり、(知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障がい者等)の方の生活の安定を図ることを目的に、そのご親族等が金銭等の財産を信託銀行等に信託するものです。
受託者は銀行・保険会社などがございます。
特定障害者扶養信託契約に基づいた信託は贈与税が非課税となります。
障碍のある人に贈与する方法として、直前に相続税対策としても非常に有利になります。
知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障がい者等の親族が、生活の安定や治療などを図る目的で、有価証券、預金、不動産等の財産を信託銀行などに 特定障害者扶養信託契約に基づいて信託した場合には、贈与税が非課税となり、特別障がい者が受益者等である信託受益権のうち 6,000万円までの金額に設定されています。
注意点
受益者となる信託受益権の非課税限度額は3,000万円とされていますのでご注意下さい。
この特例により贈与税が非課税とされた部分については、相続開始前3年以内の贈与について相続財産への加算の対象に含まれていません。
相続税申告で障害者控除という税額控除が適応されます。
障害者控除とは?障碍者(障害者)である相続人の年齢が85才未満の場合に、相続税から税金が控除できます。
「特別障害者」と「一般障害者」の2種類に分かれ、それぞれで控除額も変わります。
適用の要件
相続で財産を取得した者が、以下の3つの要件にすべて当てはまった場合
・障碍者(障害者)であること
・法定相続人であること
・国内に住んでいる人
障害者控除で所得から差し引ける金額はいくら?
障碍者(障害者)に該当すると、特別障害者であれば40万円/ 1人、一般障害者であれば27万円/ 1人を所得から差し引くことができます。
特別障害者
精神障害者の場合:精神障害者福祉保健手帳の等級が1級
身体障害者の場合:身体障害者手帳の等級が1級・2級
一般障害者
精神障害者の場合:精神障害者福祉保健手帳の等級が2級・3級
身体障害者の場合:身体障害者手帳の等級が3~6級
≪特別障害者の場合≫20万円 ×(85才-年齢)
≪一般障害者の場合≫10万円 ×(85才-年齢)
注意点
税制改正により平成27年1月1日以降に発生する相続に関して、従来よりも相続税の控除額が大きくなっているため、注意が必要です。
特別障害者と一般障害者の条件に関して他の場合もありますが、代表的なものを上記記載しています。