いつかは自分の財産を家族が相続する。
財産はどのように分けられるのだろうか。遺産“争族”になったりしないだろうか…。
もしもこのような悩みがあるようでしたら、「遺言書」を作成してみてはいかがでしょうか。遺言書があれば、家族の争いを避けられるかもしれません。
では遺言書について、また種類や書き方などについても詳しくみていきましょう!
遺言書は作成したほうが良いのか?いつ作成すればいいのか?
●遺言書を作成したほうが良い場合
例えば次のようなお悩みがある方は、遺言書を作ることをおすすめします。
・自分の意志で財産の配分をしたい場合
例)妻に全財産をあげたい など
・相続権のない人に財産をあげたい場合
例)内縁の妻や愛人、(子供が相続人だった場合)孫、自分に対して世話や貢献をしてくれた人 など
・(自営業をしていた場合)子供に事業を引き継いでもらいたい場合
・家族仲が悪く、相続争いが懸念される場合
・相続人がいない場合
・公共活動や寺院への寄付など、社会貢献したい場合
・マイホームなど、財産が分けにくい場合
通常、相続をすると法定相続分(※1)によって法定相続人(※2)が遺産を分ける、もしくは遺産分割協議によって相続人が遺産の分け方を決めます。相続人以外の第三者などに被相続人の財産が渡ることはありません。
ですので、相続人である家族以外の第三者に財産をあげたいと考えている場合や、相続するにあたって家族仲が心配な場合は遺言書を作ったほうが良いという事になります。
※1 法定相続分…民法の規定によって定められた相続の割合の事で、被相続人(亡くなった人)が遺言で相続分を指定しない場合などに適用されます。
※2 法定相続人…民法の規定によって相続人となる人の事で、被相続人の配偶者と子、父や母、兄弟姉妹が法定相続人となります。
●遺言書はいつ作成すればいいのか?
では遺言書は、いつ作ればよいのでしょうか?
いつというタイミングは決まっていませんが、思いついた時がそのタイミングなのではないかと思われます。また結婚や出産、マイホームを購入した時など、家族構成や資産状況が変化した時などもそのタイミングではないでしょうか。
遺言書を作成していなかった場合の相談の中には、
・遺言者が認知症になってしまい、遺言書を作成できなくなった
・遺言者が急逝してしまった
など、遺言者が何らかの理由で遺言書を書けなくなってしまったという内容の相談がよく聞かれます。遺言者が、元気なうちに早めに書いておくことが一番いいタイミングと言えるかもしれません。
遺言書作成は遺産相続無料相談センターにお任せください
遺言書を作成するにあたってどのような内容で書いたらいいのか、財産をどのように把握すればいいのか…など、色々な疑問や不安があるのではないかと思います。
遺言書は正確に作成しないと効力を発揮しないことがあります。
そんな時は遺産相続無料相談センターにご相談ください。
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相続は、遺言書作成をしてしまえば終わり、ということはありません。遺言書を作成していても、問題が起こることがあります。
例えば遺言書の中身に関するトラブルなどが挙げられます。
当センターでは、遺言書作成の業務が完了した後も、定期的にお話を伺い、紛争や誤った対応に対して予防を行っております。
・オーダーメイドの遺言書作成を行います
遺言書を作成するにあたっては、戸籍謄本など必要書類を集めたり、相続人のために財産をハッキリさせるために財産目録を作っておいたりという作業が発生します。
しかし、書類を集めるためには市役所や法務局に出向かなければなりません。厳しい決まりが無いとはいえ財産目録を作るのは骨が折れる作業です。
そのような作業は全て、当センターにお任せ頂ければ専門家がスピーディーに対処致します。
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遺書と遺言書の違いとは?
遺書と遺言書とは、全く異なるものだという事をご存知ですか?
この二つの大きな違いは、法的な制約をうけるかどうかということです。
まず「遺書」ですが、遺書には法的な制約や効力はありません。
ただ生前の自分の意思を伝えるためのお手紙と言ったところでしょうか。よくある内容としては、生前の思いを伝えたり亡くなった後のお願いが書いてあるようです。
文書はもちろん、動画やビデオレターも遺書の一種となります。
次に「遺言書」ですが、遺言書は民法に書式、作成方法、効力、内容などについて細かく規定がある、法的な文書です。
例えば民法第968条1項には次のように規定されています。
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このように、規定に従って遺言書は作成しなければなりません。正しい形式で作成されていなかった場合遺言書は効力を失ってしまいます。
制約も多く、遺言者以外の者が内容を書き換えた場合罰則を受けることがありますし、遺言書作成時に意思能力が無い場合(認知症を発症しているなど)や遺言者以外の意思が反映されてしまっている場合などには遺言書は無効とされてしまいます。
ちなみに遺言書を作成できるのは適格年齢とされている15歳以上の者となります。
そして、遺言書は「相続人らに財産をこのように分けてほしい」という意思を伝えるもので、相続争いを防ぐという役割があります。
遺言書の効力
遺言書は、遺言者が相続人などの権利関係を決めてしまう強い効力を持っています。
そのため、遺言書は民法のルールに従って作成されていなければ無効となってしまいます。遺言の内容が間違いなく遺言者本人の意思だと確認ができるようになっているということですね。
遺言書の種類と書き方
遺言書には、次の3つの種類があります。
・自筆証書遺言書
・公正証書遺言書
・秘密証書遺言書
1つずつみていきましょう。
●自筆証書遺言書
自筆証書遺言書は、最も簡単に作成できる遺言書です。
紙に次の内容を全て自筆で記載します。
・遺言の内容
・遺言書の作成年月日(西暦、和暦どちらでも良い。〇年〇月吉日など作成日がわからない場合は無効となる)
・遺言者の氏名(戸籍通りのフルネームが望ましい)
・押印(認印や三文判でも良いが、実印が望ましい。氏名の下に押印する)
そして、記載後は封筒に入れて保管します。
自筆証書遺言書を作成するポイント
・全て自分の自筆で書くこと(代筆やパソコンなどでの作成は無効。もちろん動画や録音なども無効)
※2020年4月1日に法改正により緩和予定
・ボールペンや万年筆など、消せない物を使用すること
・遺言書の作成年月日を正しく明記すること
・遺産の分け方については具体的に記載すること
・署名と押印を忘れず行うこと(判例によると、遺言書を入れている封筒の封じ目に押印があれば足りるとされているようですので、押印は氏名の下と封筒の封じ目の二か所にしておくと良いでしょう)
・訂正は二重線を引き、訂正印を押し、近くに正しい内容を書きなおす。そして欄外の空白に「○行目、○字削除、○字加入、署名」の記入をする。
・作成後、誤字脱字が無いか遺言書の要件を満たしているかの確認すること
・封筒に入れる際は遺言書が入っていること、家庭裁判所の「検認(後述します)」を受ける事、検認までは開封してはいけないこと(開封した場合5万円以下の過料を科せられること)などを記載すること
・共同遺言は無効
自筆証書遺言書の作成は簡単に作成できる事とコストがかからないという事が大きなメリットですが大きなデメリットがあります。
それは、まず“不備が多く無効になることが多い”という事です。
そして、“見つけられないかもしれない”“遺言書と気づかずに捨てられてしまう”“自分に不利な遺言内容だった相続人が破棄・隠匿する”などといった可能性があります。
●公正証書遺言書
公正証書遺言書は、相続人以外の証人(2人)と共に公証役場に出向いて作成します。
公証役場にて、公証人に遺言の内容を口頭で伝えてその内容を公証人が遺言書に書き落とすという方法で作成します。
自筆証書遺言書に比べると公証人が遺言書を作成するため確実性があり、遺言が無効になる事がありません。また、裁判所の検認も必要ありません。
そして、公正証書遺言書の原本は公証役場で保管されるため、紛失や破棄・隠匿・改ざんの心配もありません。ちなみに遺言者には謄本が手渡されます。
また、口頭で伝えることができるので自筆で遺言書を作れない場合にも良いでしょう。もし遺言者の体が不自由などの事情があれば、公証人に出張してもらうことも可能です。
かなりメリットの多い公正証書遺言書ですが、デメリットとしては「証人を2人用意しなければならない」「証人がいるため内容を完全に秘密にすることができない」「費用が発生する(費用については後述)」「作成に時間がかかる」などが挙げられます。
●秘密証書遺言書
秘密証書遺言書は、自筆証書遺言書と公正証書遺言書の中間のような遺言書です。
まずは自分で遺言書を作成します。自筆証書遺言書とは違い手書きである必要がありません。パソコンなどで作成することが可能です。
ただし、氏名は手書きでなければなりません。その他に、押印も必要です。
そして、公正証書遺言書同様、証人2人と共に公証役場に出向きます。
公証役場では、公証人と証人の前で封筒の中身は自分の遺言書であることと、氏名・住所を伝えます。それから公証人がその遺言書を提出した日付と遺言者の申述(遺言者本人の遺言であること及び氏名住所)を封筒に記載したのち、遺言者・証人とともにこれに署名押印をします。
ちなみに秘密証書遺言書は公証人手数料として11,000円が必要です。
また、自筆証書遺言書同様に検認が必要です。
この間封筒は開けられませんので、内容を伏せたまま遺言書の存在だけを証明することができます。もちろん証人も内容を知りませんので完全に秘密にできるということです。
ただし、公正証書遺言書と違い公証人が遺言書の内容を確認するわけではないので、不備がある可能性があります。また、秘密にしている内容が例えば「愛人に遺産を分ける」「隠し子に遺産を残す」などの内容となっている場合もあり、紛争の火種となってしまう可能性もあります。
ちなみに秘密証書遺言書は自分で保管することになりますので、紛失・隠匿の不安があります。保管には十分気を付けましょう。
どうしても相続人に秘密にしておきたい内容である場合にしか作成されないようですので、秘密証書遺言書はほとんど作成されることは無いようです。
自筆証書遺言書・秘密証書遺言書に必要な検認とは
先ほどから出ている「検認」ですが、検認とは相続人立ち合いのもと、家庭裁判所で遺言書を開封し、その内容を確認することです。遺言書の効力を証明するものではありません。
検認の流れは次のようになっています。
①必要書類の取得
・遺言者の戸籍謄本・除籍謄本等(出生から死亡までがわかるもの)
・相続人全員の戸籍謄本
②必要書類の作成
・家事審判申立書の作成(提出する家庭裁判所名や申立人の記名押印、申立人・遺言者の情報、申立ての趣旨、申立ての理由などを記載する)
・当事者目録の作成(法定相続人全員の本籍地・住所氏名・生年月日を記載する)
③家庭裁判所での手続き
①②の必要書類を揃えたら、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所にて検認の手続きを行う。次の費用が必要となる。
・収入印紙代…遺言書1通につき800円
・連絡用の郵便切手…裁判所によって異なるが数百円程度
④遺言書検認期日の通知
書類に不備が無ければ、申立てをしてから約1ヶ月後に、家庭裁判所から相続人全員宛に遺言書の検認の日を通知する「検認期日通知書」が送付される。
⑤遺言書検認日
検認期日の当日は、相続人の立ち合いのもと遺言書の内容を確認する。(申立人がいれば、他の相続人がいなくても手続きはできる)
書式、作成年月日はもちろん使用された筆記用具、筆跡、訂正箇所などまで確認した上で検認調書が作成される。
検認の手続きは以上です。
検認終了後には検認済証明書がついた遺言書が返却されます。検認済証明書は、相続手続きで必要となるものですので大切に保管してください。
立ち合いができなかった相続人などには家庭裁判所から検認の手続きが終了したことが通知されます。
公正証書遺言書作成にかかる費用
公正証書遺言書を作成するには、次の費用が必要です。
・公証役場に支払う手数料
・必要書類を取得する費用
・公正証書遺言書を作成するにあたって専門家(弁護士、司法書士など)に依頼をした場合、その報酬(依頼した専門家によって、また依頼内容によって料金は異なる)
・証人2人への日当(5,000円~15,000円程度。知り合いに遺言書の内容を知られたくない場合は、専門家への依頼も可能だが、費用は割高になる)
・公証役場以外の場所に公証人を呼んだ場合は日当や交通費(日当は一日20,000円。4時間以内だと10,000円。交通費は実費分支払う。また、手数料については1.5倍となる)
このうち手数料と取得費用についてみていきましょう。
●公証役場に支払う手数料
公正証書遺言書を作成する際に支払う手数料は、遺言の対象となる財産の価格によって決まります。
財産の価額 | 基本手数料 |
100万円まで | 5,000円 |
100万円~200万円まで | 7,000円 |
200万円~500万円まで | 11,000円 |
500万円~1,000万円まで | 17,000円 |
1,000万円~3,000万円まで | 23,000円 |
3,000万円~5,000万円まで | 29,000円 |
5,000万円~1億円まで | 43,000円 |
そして、次のように手数料を計算します
①財産を受け取る人ごとに財産の価格を計算し手数料を求め、合計する
②財産の価格が1億円未満の場合は、①の金額に11,000円加算する
例えば遺言者が妻に2,000万円、長男に1,000万円の財産を相続させるという遺言書を作成した場合、公正証書遺言の作成手数料は
妻23,000円+長男17,000円+11,000円=51,000円が、手数料となります。
●必要書類を取得する費用
公正証書遺言を作成するには、様々な書類が必要です(書類の詳細については後述)。それぞれどのぐらいの金額になるのかまとめてみました。
種類 | 料金 | 請求場所 | 支払方法 |
戸籍謄本 | 1通450円 | 各市町村役場 | 現金・(郵送の場合)定額小為替 |
除籍謄本 | 1通750円 | ||
住民票の写し 印鑑証明書 固定資産税評価証明書 | 1通200~400円 (自治体によって異なる) | ||
不動産の全部事項証明書(※) | 1通600円 | 法務局 | 収入印紙 |
※昔でいう登記簿謄本で、不動産の登記記録が記載された書類のことです。
【番外編】よくある遺言書に関しての疑問
遺言書作成に必要な書類
●遺言者の必要書類
・(相続人に相続させる場合、現在の)戸籍謄本
・(相続人以外に遺贈する場合)受遺者の住民票
・印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
・不動産の固定資産評価証明書
・不動産の登記事項証明書
・通帳、有価証券、生命保険等のコピー
・本人確認書類(免許証など)のコピー
・実印(※公正証書遺言作成当日に使用する)
●相続人の必要書類
・遺言者の戸籍謄本・除籍謄本等(出生から死亡までがわかるもの)
・(相続人が相続する場合、現在の)戸籍謄本
・(相続人以外が受贈する場合)受遺者の住民票
・(法人の場合)登記事項証明書
以上のものが必要書類となります。
ただし、公証役場によって必要書類が異なる場合がありますのであらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。
遺言書だと知らず開封してしまった場合
遺言者の部屋を整理していたら封筒が見つかったので開けてみたところ、実はその中身が遺言書だったなどという場合は大変です。
遺言書は、勝手に開けてはいけないと民法第1004条に定められているからです。
1. 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2.前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3. 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
つまり、遺言書が見つかったらすぐに(公正証書遺言書以外は)検認を請求する事、ということが定められているのです。検認の請求をするということは、遺言書は封筒に入っており封印が押されている状態という事になりますので開封されている状態はおかしいという事になります。
なぜこのように定められているのかというと、やはり隠匿・改ざんなどを防ぐためです。もし隠匿・改ざんがされていたとしても、書いた本人が亡くなっている以上内容の確認をすることはできません。
民法第1004条を犯し、勝手に遺言書を開けてしまった場合は、5万円以下の過料が科されます。余談ですが、遺言書の書き換えや、隠匿・破棄をした場合は、民法第891条第5項により、相続人としての権利を失います。
遺言書が入っていると思われる封筒が見つかった場合は、速やかに検認を請求しましょう。また、遺産が本当に欲しいなら絶対に遺言書の書き換えや隠匿などはしないことです。
まとめ
残される家族のために遺言書は作成したほうが良いですが、正確に作成しなければ効力を発揮しない事、財産を把握しなければならない事、必要書類を沢山用意しなければならない事などを考えると、とても大変ですね。
間違いなく遺言書を作成するためにも、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。