兄と姉が母の財産を使い込んでいる何とかならないの?!

私は,兄と姉を含めて三人兄妹です。父は既に他界し,母は認知症を患っていますがホームヘルパーを利用しながら実家に1人で住んでいます。
ところがある日,ホームヘルパーさんに「最近,お兄さんとお姉さんが頻繁にお家に出入りされていて,何やら家探しのようことをされていましたよ。」と言われ,不審に思った私は,すぐに実家に向かいました。
その結果,どうやら母の預金通帳やカード,現金などが持ちだされていることに気付きました。
しかし,このことを母に聞いても認知症が進んでいるため,会話が成立せず埒が明きません。
そうしている間にも,日に日に現金は引き出されているかもしれないし,気が気じゃありません。
我慢が出来ず,兄と姉に問い詰めると,何と預貯金のほとんどを自分たちのために使ってしまったことが判明しました。
私はショックで言葉も出ず,母の財産も守ってあげられず,何も出来なかったことが悔しくて泣いてしまいました。

1.母は,意思判断ができなかった。どうすれば良かったの?

「成年後見制度」を知っていますか。
認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産の管理,身のまわりの世話のために介護等のサービスや施設への入所に関する契約を結ぶなど,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをすることは困難です。
また,自分に不利益な契約であっても判断ができずに契約を結んでしまったり,悪徳商法の被害にあう恐れもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。
上記のように,母に判断能力がない場合は,成年後見制度を利用し,家庭裁判所に選任してもらった成年後見人が,母の財産の管理をすることになり,上記のようなケースでは,成年後見人は,兄と姉に対して使い込んだ財産を返還するように請求することになります。
もし親族に判断能力がない方がいらっしゃるのであれば,状況に応じて成年後見制度を利用することも覚えておきましょう。

2.兄と姉に財産を使い込まれたことが,母の死後に発覚した。諦めるしかないの?

いいえ,諦めるのはまだ早いです。
基本は,相続人間の話し合いで決めることになりますが,下記のポイントを抑えておきましょう。

➀不当利得返還請求

このケースで言う不当利得とは,法律上の原因がないにもかかわらず,母の財産を,勝手に兄と姉が費消してしまい,不当に利益を得ているということです。不当に得た財産の返還請求をする権利は母親にあり,母親が亡くなったことにより,請求権を相続した相続人は,その権利行使ができるのです。
ついては,話し合いに応じなければ,この不当に得た物は返せと裁判所に対して申し立てることができます。

➁特別受益

兄や姉は,母から贈与されたものだと主張してきました。
しかし,相続人間で,故人から遺贈を受けたり,贈与を受けたりした者がいる場合,贈与や遺贈を受けていない者との間に不公平が生じます。
そこで,民法では,相続人間の公平を図ることを目的として,特別受益分(贈与や遺贈分)を相続財産に持ち戻して計算し,その額を基礎として各相続人の具体的相続分を計算することとしています。(民法903条)ですから,兄と姉が母から贈与されたと主張する様であれば,特別受益を主張し,持ち戻しによって相続財産の再評価を行いことにより,調整をする方法も考えられます。

3.まとめ

上記の様なケースは,高齢化社会の現在では,今後増えていくものと予想されます。あなたも同様なケースで,悩む時がくるかもしれません。
ですが,成年後見制度,不当利得返還請求,特別受益の持ち戻しに付いての知識があれば,正しい判断ができない家族の財産の減少を防いだり,不公平な相続人の主張に対して,対応することが可能となります。
しかし,相続に関して争いになれば,感情の対立で話し合いが進まないことも多く,法律の知識が必要となります。ご自身では解決できないときは,悩まずに弁護士に相談をしましょう。
当事務所では,相続に関するご相談を無料で承っております。お気軽にご相談下さい。