先日,相談者(二男)の兄が亡くなりました。兄は,既に離婚しているため,法定相続人は未成年の子供(親権者・母親)が二人です。
故人の遺産である定期預金や銀行印等は,故人の父親が保管しています。故人は,生前に「預貯金等は子供達に使って欲しい」と話していましたが,遺言書は作成されていません。
この場合,葬儀費用や遺骨管理費用(相談者家族が管理していく予定)はどうしたらいいですか?

1.まずは相続人を確定しましょう

故人には遺言書が無かった為,原則は法定相続分に則った相続となります。よって,本件についての法定相続人は,故人の実子2名となります。

 

2.問題点として

今回のケースで問題となるのは,相続人が未成年であることです。
相続人が未成年である場合,本人の意思によって遺産の処分行為(名義変更・解約・払戻しなど)を行なうことは出来ません。そのためには,親権者である母親が法定代理人となって進めていくこととなります。(もし,何らかの事情で親権者がいない場合には,別途,家庭裁判所に申立をして,未成年後見人を選任する必要があります。)

 

3.相続財産から控除できる葬式費用

ここで,葬儀費用や遺骨管理費用はどこから捻出することができるのか,検討してみたいと思います。遺産分割協議をする上では,下記の費用については,相続財産から差し引いて良いと考えられています。
➀  死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
➁  遺体や遺骨の回送にかかった費用
➂  葬儀や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬,納骨をするためにかかった費用(仮葬儀と本葬儀を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)
➃  葬儀などの前後に生じた出費で,通常葬儀などにかかせない費用(例えば,お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
➄  葬儀を行なうにあたり,お寺などに対して読経料などのお礼をした費用

 

4.そこで…

今回のケースでは,ご相談者は法定相続人とはならないため,葬儀費用といえども,故人の相続財産の中から勝手に捻出することはできません。そこで,相続人の法定代理人である前妻にその旨を連絡し,上記費用について,相続財産の中から捻出してほしい旨の話し合いを行わなければなりません。
このようなケースでは,故人の親族と離婚した前妻との間でトラブルになってしまうこともあります。そういったことが懸念されるようであれば,是非とも当事務所までご相談ください。