父の相続で取得した遺産を元手にマンションを購入しました。
父が亡くなりました。相続人は、母と私と妹の3人でした、父は、私達のために多額の財産を残してくれました。

不謹慎かも知れませんが、父の相続が発生したタイミングで、遺産のうちの不動産が市の収用にかかり、補償金を得ることになりました。

そこで、私名義で高層マンションを購入し、母にはそこに住んでもらうことにしました。そこで、母と賃貸借契約を結んだうえで、月額30万円の家賃を設定しましたが、これは、母に対する贈与とみなされてしまうのでしょうか?

そもそも贈与とは?

当事者間の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生じます。(民法第549条)
つまり、贈与する側と、贈与される側が「あげます~もらいます」という意思表示がそろって合意をすることによって贈与契約が成立します。

また、贈与された財産について、受贈者は贈与税申告をする必要があります。
現行の税制度においては、年間の贈与財産の合計額が110万円以下であれば贈与税が課されないので申告する必要はありません。

この場合は課税されるのか?

では、本件のように親族と賃貸借契約を結んだうえで、家賃を得た場合には贈与税は課税されるのでしょうか。
それを考えるうえで重要なのは、上記の賃料設定に正当性があるかどうかが問題と考えます。

このマンション周辺の賃料相場が通常50万円(年600万円)だとすると、月額30万円(年360万円)と設定したことによる、年間の差額240万円が課税されるかどうかが、ポイントとなります。

相続税法9条では、著しく低い価額で利益を受けた場合をみなし贈与として贈与税の課税対象としています。
この考え方に基づくと、上記条件では、相談者から母に贈与しているとみなされてしまう可能性があります。
尚、過去に最高裁で争われた裁判では、固定資産税相当額の家賃を支払うだけでは、賃貸借ではなく使用貸借であると、判断されていることにも注意が必要です。

家賃収入がある場合

不動産所得とは、土地建物などの不動産貸付け、その上に存在する地上権、船舶や航空機の貸付けから生ずる所得のことです。

アパートやマンションの家賃(賃貸料)はもちろん、共益費としての名目で受け取る電気代、水道代、掃除代、賃貸借契約のときの権利金(敷金や保証金のうち、借主に返還する必要がないもの)、契約の更新料なども含まれます。本件の家賃収入も上記に含まれますね。

不動産所得の金額は、次のように計算します。

総収入金額-必要経費=不動産所得金額

必要経費をとることができるものは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区分できるものであり、主なものとして貸付資産に係る次に掲げるものがあります。
具体的には『固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費』などです。

不動産を相続したら

相続で土地や建物を取得した場合には、土地代と減価償却した建物の簿価の合計額が基礎控除額を超える場合、相続税の課税対象に該当します。
相続人は、相続の開始日(通常被相続人の死亡日)の翌日から10カ月以内に、税務署に申告・納税しなければなりません。
このときに掛かった相続税に関しては、不動産所得に関する必要経費として計上することはできません。

確定申告が必要になる

所得税及び復興特別所得税の確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税及び復興特別所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続きです。
所得は、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・譲渡所得・山林所得・一時所得・雑所得の10種類に分類されていますが、それらを所定の手順で計算し、税額を算出して申告、納税することを『申告納税』といいます。
しかしながら、一般的なサラリーマンのような給与所得者は、事業所が前年分の所得からその年の分の所得を想定して、それに基づいて算出した税額を給与から代行して徴収及び納付をし、年末調整で本来納めるべき税額との精算を行っているため、原則的には確定申告をしなくてもよいことになっています。
一方で、医療費控除や住宅ローン控除が代表例として挙げられるように、所得間の損益通算や所得控除、税額控除などから所得税の再計算をして、納め過ぎた所得税などを還付してもらうための手続きを『還付申告』といいます。

最後に

本件の様に、親族間などで家賃等を設定する場合には様々な税務上の判断が必要になります。
またアパートやマンションから一定の家賃がある場合は、その規模にかかわらず確定申告が必要です。
貸付のために発生した支出が必要経費なのかを確認した上で、総収入額を算出し手続きを行いましょう。

税務の手続きや、中途半端な、節税対策は後で思わぬ高額課税になりかねません。税の専門家である税理士等の適切な助言に基づいて行うことが望ましいと考えます。
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