前回のコラムで私は障碍がある当事者としての後見制度について述べましたが、その中で成年後見制度が利用できない方にとって生前贈与や信託を選択することを1つの選択肢としてオススメさせていただきました。このコラムでは障碍のあるお子様により多くの財産を残す為に、生前贈与と贈与税の減税についてお話しします。

生前贈与とは?

まずは混同されることも多い「贈与」と「相続」の違いについて説明します。
相続とは、財産もしくは負債を持つ方が亡くなった時に、相続人が受け取るか、受け取らない(相続放棄)ことを選択し、どの様にその財産などを処分するか決めることを言います。

次に贈与とは、多くの方は生前贈与という言葉でイメージし易いかと思いますが、財産や負債を持った方が生きているうちに家族や指定した人へ、法令で定められた範疇で移行することを言います。
両者ともにメリットデメリットがありますが、遺される財産が多い場合や、亡くなった後に親族間でトラブルが想定される時には、生前に贈与することを私達は推奨しています。

最近ニュースでも取り扱われる事も多くなってきましたが、障碍のある子供に遺した大切な財産が、親族によって目的外に使用されてしまった事件など、その後の障碍のあるお子さんの運命を考えるだけでも心苦しく思っております。本来なら慣れ親しんだ地域で暮らせる予定が、施設に入らざるを得ないことになってしまう。その様な事態避けられるならば予め準備をしていただけたら嬉しいです。
その点で、贈与には信頼できる第三者に依頼する事で、適切にその子に財産を遺すだけではなく、早目に贈与の手続きを行うことで贈与税が軽減されるなど実は良い面もあります。

なぜ早めの贈与なのか?

贈与の対象者が障碍のあるなしに関わらず、生前贈与をすると贈与税が減免される制度が以下の通りいくつかあります。

➀基礎控除

→年額110万円以下の贈与であれば、贈与税が課せられません。

➁相続時精算課税の特例

→60歳以上の父母、祖父母から20歳以上の子、孫に相続する金額のうち2,500万円までは贈与税が課せられません。※障害者の場合4,000万円まで

➂住宅取得資金贈与の特例

→父母、祖父母から自身の住む住宅を取得する資金を出してもらう場合、条件はありますが、最大4,000万円までは贈与税が課せられません。

➃夫婦間贈与の特例

→20年以上の夫婦関係がある場合に、その居住物件の贈与に関しては2,000万円まで贈与税が課せられません。

➄教育資金贈与の特例

→30歳未満の子や孫にかかる教育資金の贈与に関して、1,500万円まで贈与税が課せられません。

⑥結婚子育て資金贈与の特例

→20歳〜49歳までの子や孫の結婚は300万円まで、子育ては1,000万円まで贈与税が課せられません。

以上のうち、特に➀と➁、➂が障碍を持つ子への生前贈与を考えることができるかと思います。
ただし、➀と➁の併用は現状できませんのでご注意ください。

また国税局のホームページから抜粋した内容をご参照ください。

特定障害者( )の方の生活費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者の方を受益者とする財産の信託があったときは、その信託受益権の価額のうち、特別障害者である特定障害者の方については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円まで贈与税がかかりません。
特定障害者とは、1特別障害者及び2障害者のうち精神に障害のある方をいいます。

上記より、一定の信託契約についての非課税枠はかなり大きな額が贈与税の対象から外れることが分かります。

また➀の基礎控除により、年間110万円の贈与を専門家から意見を聞いた上で一年でも早く行うことで、生前贈与の減税の恩恵をより多く受けることができる可能性があります。
その上で私たちは法令の範疇で適切なアドバイスを行なうことができます。
それは、110万円の贈与を自己判断で続けてしまうことで、最終的に税務署からの指摘によって課税対象となってしまうケースもあるからだそうです。
その様な状況になった時、障碍のあるお子さんに適切に財産が残せるようにしていく必要があると私は感じています。

制度は日々変わるもので、大変複雑です。まずは一度無料電話相談にご連絡いただければ有難いです。