年々増える「遺贈」を知っていますか?
「遺贈」という遺言を応援する団体やお世話になる人に残して財産を与えるものに対して、関心が集まっています。
というのは、相続人がいないおひとり様や子供がいない人など、自分の財産を相続する方法を検討している人が多くなっているためです。
では、相続人がいない場合に被相続人が遺産の使途を示さないで亡くなれば、どこに遺産はいくのでしょうか?
このような場合は、遺産は国のものになります。
国に遺産を納付した額は、約440億円に2016年度になって、2倍に10年間で増えました。
この理由としては、未婚率のアップや少子高齢化が挙げられます。
このような遺産を相続する一つの方法として遺贈があります。
遺贈で自由に財産を渡せる
遺贈というのは、財産を特定の人に遺言で与えるものです。
遺言は、作った年月日を記載するなど、一定の規則で作らないと効果がありません。
法定相続人は、基本的に、子供、配偶者、孫、兄弟姉妹、直系尊属などがなります。
しかし、例えば、内縁の妻や夫、子供の嫁などの場合は法定相続人ではありません。
親族で相続権がない場合でも、遺言書よって遺贈を利用すると財産が自由に相続できます。
また、遺贈できる人としては、親族以外に、お世話になった人や親しい友人など、血縁関係や家族関係がない人でも財産が相続できます。
遺贈に関わる税と遺留分
遺贈と相続は、財産を譲るということでは同じですが、違っていることもあります。
基礎控除が相続税にはあり、基礎控除額を相続財産評価額がオーバーしないと相続税は課税されません。
基礎控除額は、3000万円と法定相続人数に600万円を掛けたものをプラスしたものです。
法定相続人にプラスして遺贈を受ける人がいる場合は、法定相続人数に遺贈を受ける人は入りません。
つまり、同人数で財産を法定相続人だけで相続する場合と比較して、遺贈の場合は小さな基礎控除額になります。
また、相続税が課税される場合は、相続人と遺贈を受ける人が相続税を財産のそれぞれの取得分によって負担するようになります。
しかし、遺贈を受ける人の相続税は2割アップになります。
包括遺贈のメリットとデメリット
包括遺贈というのは、贈る相手と財産の比率を指定するものです。
包括遺贈の一つのメリットは、財産構成が変わっても特定の相手に一定の割合を常に残せることです。
また、包括遺贈のメリットとしては、不動産取得税が遺贈を受ける人が課税されないこともあります。
一方、デメリットとしては、遺贈を受ける人は権利以外に義務もあることです。
つまり、遺贈を受ける人は、財産のプラスのもの以外にマイナスのものも引き継ぐ必要があります。
特定遺贈のメリットとデメリット
特定遺贈というのは、贈る相手と財産を指定するものです。
特定遺贈は、基本的に、遺贈を受ける人は財産のマイナスのものを相続しないことがメリットです。
また、すでに遺贈を受ける人の取り分がはっきりしているため、包括遺贈と比較して相続人とトラブルになりにくいものです。
一方、特定遺贈は、財産構成が変わることに対して弱いことがデメリットです。
例えば、遺贈する人が遺言で長男の妻に預金を遺贈すると記載しても、預金を亡くなるまでに使うと、遺贈を受ける人の取り分が非常に少なくなります。
特定遺贈で遺贈を受ける人に財産を確実に譲りたいのであれば、遺言の内容を定期的に確認する必要があります。
第三者に財産を与えるその他の方法
1.負担付遺贈
負担付遺贈というのは、財産を贈る代わりに一定の負担を遺贈を受ける人に課すものです。
遺贈を受ける人がもし負担をしない場合でも、効力が遺贈にはあります。
しかし、遺言を最後の手段として取り消しすることもできます。
2.死因贈与
遺贈の他に、財産を第三者に譲る手段としては、「死因贈与」というものがあります。
死因贈与というのは、自分が亡くなった場合は自宅を長男に与えるというように、生前に亡くなることを条件にして取り交わす契約です。
遺言の場合は、ルールの厳格なものに従っていなければ無効になります。
そのため、遺言の場合は気が重くなるような人もいるのではないでしょうか。
このような場合は、死因贈与がおすすめです。
なお、遺贈について詳しく相談したい場合は弁護士がおすすめです。
遺言による「遺贈」が急増中のまとめ
「遺贈」という遺言を応援する団体やお世話になる人に残して財産を与えるものに対して、関心が集まっています。
おひとり様や子供がいない人などの場合は、遺産を相続する一つの方法として遺贈があります。
遺贈というのは、財産を特定の人に遺言で与えるものです。
同人数で財産を法定相続人だけで相続する場合と比較して、遺贈の場合は小さな基礎控除額になります。
包括遺贈というのは、贈る相手と財産の比率を指定するものです。
特定遺贈というのは、贈る相手と財産を指定するものです。
包括遺贈も特定遺贈も、ここでご紹介したようなメリットとデメリットがあります。
第三者に財産を与えるその他の方法としては、負担付遺贈と死因贈与があります。
詳しくは、是非ご相談ください
監修者
氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)
-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。