お墓は相続税がかからない!

相続税がかからない財産について相続税法で決まっており、霊びょう・墓所と祭具、およびこれらに準じるものは、相続税課税価額にならないと決まっています。
そのため、お墓やお墓がある土地を相続する際には相続税がかかりません。
なお、霊びょうというのは、祖先のお祭りをお宮などにおいて行う習わしがある地域において、祖先の霊を祭るお宮とその土地などです。
霊びょうの有名なものとしては、中国にある孔子廟などが挙げられます。

 

「祭祀に関する権利の承継」って知ってますか?

祭祀財産の相続権を譲り受けることが、祭祀に関する権利の承継になります。
祖先や神々などを祭ることが祭祀ですが、ほとんどの日本人の場合は法事やお墓参りなどを思い浮かべるとよく分かるでしょう。
条文に記載されている「祭具、系譜、墳墓」などが祭祀財産になります。
祭具というのは仏壇や位牌、神棚などの祭祀のための道具、系譜というのは先祖代々を記録した家系図など、墳墓というのは墓碑・墓石などです。

このような祭祀財産の承継、相続をどのように行うかが、民法で決まっています。
民法で決まっているように、一般的な相続の場合は、被相続人が亡くなったことによって、相続人は被相続人の一身に専属した以外の財産の権利義務を全て相続します。
一身に専属した財産というのは、本人のみに属するその人の性質や身分などです。

例えば、著名な音楽家の演奏の契約などの代替性がない債務、委任契約の受任者・委任者の地位、生活保護の受給権、代理人の地位などが、一身に専属した財産としてはあります。
一般の相続財産とは異なって、祭祀財産の所有権は、習わしによって、祖先の祭祀を取りまとめる人が相続するようになります。
そのため、相続人間で別の相続財産のように分割される場合はありません。

 

祭祀財産の継承者の順番

では、どのような人が祖先の祭祀を取りまとめるのでしょうか?
祭祀財産というのは譲り受ける財産とは違っているため、相続人が祭祀財産を継承する人にならなくても問題ありません。
例えば、内縁関係にある配偶者などのように相続権がない人でもなることができます。

また、遺言書によって被相続人が決めることもできます。
別の相続財産と違って、口頭で決めても問題ありません。
被相続人が決めない場合は、習わしによって祭祀財産を継承する人は決まります。
習わしが明確になっていないなどのために、トラブルが利害関係人間である場合は、調停を家庭裁判所が行って祭祀財産を継承する人を決定します。

 

お墓も承継する必要があります。

お墓の名義人である使用権取得者が亡くなると、お墓を承継する必要があります。
家を相続する長男が、お墓を承継することがほとんど慣習になっていました。

しかし、子供がいない場合、別の家に一人娘が嫁にいったような場合などのように、現代は核家族化が進んできているために、親族の間でお墓を承継することが難しいケースが多くなってきています。
一方、お墓を承継する人が親族にいない場合でも、お墓が無くなるということではありません。
民法においては、被相続人が指定するとお墓を友人でも継承できるという決まりがあります。
また、家族の同意書がこの場合は必要になります。

 

お墓を承継する手順って?

お墓を継承する場合の手順としては、お墓を継承する人が、「墓地使用者の名義変更届」を墓地を管理している人に提出して、名義変更手数料を払います。
墓地使用者の名義変更届の際には、次のような書類が必要になります。

・墓地使用許可証
・継承使用申請書
・申請する人の戸籍抄本、実印、印鑑登録証明書

誰にお墓を承継するかについては、遺言書の正式なものでなくても、簡単な手紙や口頭でも問題ありません。
しかし、後から後悔しないように、遺言書の正式なものを作っておくようにしましょう。

 

お墓は相続税対策に利用できる?

お墓は相続税がかかりませんが、お墓は相続税対策として利用するのは効果がありません。
高い墓所を買って、その墓所を被相続人から相続しても相続人は換金することができません。
そのため、子孫に立派なお墓が相続できるということはありますが、相続税対策としてはおすすめではありません。

 

お墓は相続税に含まれないのまとめ

ここでは、お墓は相続税に含まれない!継承されるものって何? についてご紹介しました。
お墓や土地を相続する際には相続税がかかりません。
祭祀財産の相続権を譲り受けることが、祭祀に関する権利の承継になります。
祭祀財産の所有権は、習わしによって、祖先の祭祀を取りまとめる人が相続するようになります。
祭祀財産は譲り受ける財産とは違っているため、相続人が祭祀財産を継承する人にならなくても問題ありません。
お墓の名義人である使用権取得者が亡くなると、お墓を承継する必要があります。
お墓は相続税がかかりませんが、お墓は相続税対策として利用するのは効果がありません。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続には様々な形があり、手続きや申請方法もケースによって異なります。専門知識が無い方は申請書の不備等で無駄な費用が掛かってしまう可能性もありますのでしっかりと相談することをおすすめします。