株式の相続をする際の手順
株式相続の際は、遺産分割協議書を作って、名義書換を株券発行会社で手続きします。
ここでは、株式相続の手順についてご紹介しましょう。
まず、株式がどの程度どこにあるかを調べます。
上場株式は、金融商品取引業者の信託銀行、証券会社、銀行などが管理しています。
非上場株式は、株券発行会社に確認する必要があります。
株式は、相続が始まると同時に、全員の相続人が共有するようになるため、遺産分割協議をしないと次の手続きができません。
取引残高報告書で上場株式の評価額は分かりますが、複雑な計算が非上場株式の評価額は必要になるため、税理士や弁護士などに相談する方がいいでしょう。
遺産分割協議で株式相続すると、名義書換の手続きを株券発行会社で行います。
この名義書換は、一般的に、株券発行会社が委託する証券代行会社や信託銀行の株主名簿管理人が窓口になります。
しかし、証券会社の保護預かりに株券がなっていれば、名義書換を株券をその証券会社から出して行う方法か、出さないで名義書換を証券会社を通して行う方法もあります。
当然ですが、株式にも相続税が課税されますが、財産の評価方法が上場しているかどうかで違うだけでなく、計算も複雑であるため、税理士などに相談するのいいのでしょう。
●上場株式と非上場株式の相続方法の違い
上場株式の相続方法と非上場株式の相続方法についてご紹介しましょう。
・上場株式の場合
上場株式の相続の場合は、被相続人の証券口座がある証券会社に亡くなったことを連絡すると、被相続人が持っていた株券と相続手続き依頼書がもらえます。
そこで、相続による株券名義書換依頼書などの書類を用意して、受け取る証券口座を決めます。
上場株券は現在電子化が全て行われているので、株券を相続で受け取る際は証券口座が必要になります。
そのため、証券口座がない場合は、証券口座を一緒に開設する必要があります。
相続した株式を売る際も、古い名義の状態で売ることはできないため、相続人の証券口座に一度移管します。
基本的に、上場株式を相続する際は、証券口座を被相続人が使っていた証券会社に開設する必要があるため、相続人と被相続人の証券口座を確認する必要があります。
ここでは、証券口座を相続人が持っているケースと、証券口座を相続人が持っていないケースの手続きについてご紹介しましょう。
証券口座を相続人が持っているケースは、名義書換をした株式をその口座に移管するようになります。
基本的に、ほふりという証券保管振替機構を使っているため、名義書換が終わると株式は名義人の証券口座へ自動的に移管されるため、株主名簿の名義書換を株券発行会社へ依頼する必要はありません。
証券口座を相続人が持っていないケースは、名義書換の手続きと一緒に相続人の一般口座・取引口座の証券口座を開設する必要があります。
・非上場株式の場合
非上場株式の場合は、証券会社は関係ないため、手続きを直接非上場株式発行会社へ行う必要があります。
株主名簿が非上場株式発行会社には保管されているでしょうから、全員の相続人で話し合って、了解を得てから名義書換をします。
全員の相続人の了解が得られると、いつでも相続での名簿書換はできます。
また、遺言執行者がいなければ、この名義書換は他の人が確認するようなこともありません。
相続した株式を売却して現金化する場合の手順
株式に関して相続人が複数いる場合は、証券口座を相続人ごとに開設して、株式を移管依頼書を作ってこの口座に移管するようになります。
しかし、この移管する方法は複雑なことが多く、常に株価も変わるため、相続人のそれぞれが得る金額に違いが出てしまう場合があります。
そのため、株式を相続人の代表者が一度全て売って、現金にした後で分割するというような相続方法も一つの選択肢としてあります。
この場合は、相続人の代表者が一般口座の証券口座を開設したり、あるいは全ての株式を相続人の代表者の名義の証券口座へ移管したりした後、売って代金を分けて、譲渡所得税を相続人のそれぞれが申告するような手順で行います。
株式を売る場合は、上場株式では「この株を売って欲しい」と証券発行会社にインターネットあるいは電話など連絡します。
一方、非上場株式では「この株を買取して欲しい」と証券発行会社に連絡すると、株式を売ることができます。
有価証券の遺産相続のまとめ
ここでは、株式相続の手順、相続した株式を売って現金にする際の手順、についてご紹介しました。
株式を相続する場合は、ここでご紹介したような面倒な規則があり、株式に普段から馴染みがあまりないような場合は難しいと思うかもしれません。
しかし、株式を相続する際の手続きについては、丁寧に信託銀行や証券会社でも教えてくれます。
もし、株式を相続する際に心配であれば、すぐに株式を売って現金にすると問題ないため、慌てないで手続きするようにしましょう。
監修者
氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)
-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。