いざ、遺産相続!どうやって分割するのか

親が亡くなった後に子供が何人か残されていた場合、遺産を分割しなければいけません。実際にどうやって分割すれば良いかよくわからないという人は少なくないはずです。

子供たちも「兄弟で仲が良いから相続で揉めることはない」と思っていてもいざ相続の話をしてみれば兄弟のがめつさに驚くこともあるでしょう。また、自分が意外と相続に固執していることに気づくかもしれません。では、実際にどうやって遺産相続を分割していけば良いでしょうか。

①法律で定められた割合を基準として分割をする

相続には法律で「法定相続分」という分割方法が決まっています。これは旧民法で決まっていた家督相続から見直されたものです。家督相続とは一家の全財産・不動産を長男だけが相続できるというものです。

しかし、その精度は見直され現在では法律で法定相続分という相続を受けることができるパーセンテージが決まっています。法定相続分で両親が亡くなった場合は子供たちで均等に相続分を分けます。

②法律で定められた割合を基準にせず自由に配分を決める

法定相続分を利用せずに自由にパーセンテージを決めることもできます。その要因には過去に両親を介護していたことや相続できるものが金額ではなく土地や建物といった分割できないものだけなど様々な要因があるのです。

他にも兄弟で話合い「お金が欲しい」「家が欲しい」「土地が欲しい」と意見が分かれた場合は円滑に分割できますよね。欲しいものが違うのでお金を均等に分けるわけではなく自分たちの相続したいものだけを相続することができます。その際には遺産分割協議書という書類を作成して相続人同士で共有しておく必要があります。
さらに被相続人が生前に遺言書を作成していた場合は遺言書の内容が最優先されます。遺言書には誰に何を相続させるなど事細かく書いていると子供たちが混乱しないで済みますね。

遺産分割時に考える4つのトラブル回避方法

遺産分割を円滑にするためにはこれから紹介することを実践してみると良いです。実際に相続をする際に気づくのですが遺産分割をする際に財産を全員で均等に分けることは難しいのです。遺産分割協議をしながら兄弟間のトラブルが発生しないためにも実践してみましょう。

①生前に財産の贈与を受けていた場合

もし生前に両親から財産を贈与されていた場合は他の兄弟と公平になることが少ないです。もし生前に財産をもらっていた場合はそれを加味して他の兄弟と遺産分割をするようにしましょう。
生前に贈与を受けた財産の中には土地や建物、金銭まで幅広いです。これらの価値を適切に判断して他の兄弟とはどのくらい差ができてしまうのか考えて遺産分割をするようにしましょう。

②生前に両親の介護をしていた

両親が寝たきりであった場合や認知症などで介護が必要だった場合に介護をしていたことよりも、仕事をわざわざやめて介護をしていた場合は法定相続分で分けられると満足しないことがあります。どうしても平等というよりかは多少なりとも割合を大きくして欲しいですよね。

兄弟間で金銭負担をした人や肉体労働で貢献した人など自己主張が激しくて遺産分割協議が進まない可能性もあります。そうした場合、家庭裁判所へ申請することができますが多くの場合この申請が認められることは少ないです。
兄弟間で思いやりを持って介護や金銭負担などで寄与した割合を加味して分割協議に役立ててほしいです。

③学費など過去の親からの支援に差があった場合

兄弟の中で学歴に大きな違いがあった場合はどうでしょうか。極端な話ですが私立大学と高校卒業で働いている人では大きな差があります。一人暮らしをしていた期間やその間に両親から支払ってもらった費用なども加味したほうが公平性を保つことができます。

④遺言を確認したら一人に全財産を渡すことになっていた場合

遺言書に「長男にのみ全財産を贈与する」と書いてあった場合はどうなのでしょうか。実際にこのようなことを書いたとしても全財産が長男へ贈与されるわけではないです。
遺言書に書かれていることは最優先されるのですが長男にだけ贈与されるとなると他の兄弟の権利を侵していると判断されてしまいます。こうした場合遺産分減殺請求という請求をすることができます。遺産分減殺請求とは子供同士で適宜分けるような制度です。

事前に考える4つの相続対策

相続は亡くなってから考えるのではなくできるだけ両親が健在なうちから話し合う必要があります。事前に話し合う必要は相続をする際に揉めないためにするだけでなく被相続人が亡くなってから10か月以内に相続税の申告と納税をしなくてはいけないからです。

納税をする直前に贈与が決まっても贈与税を支払うのが大変になるので事前にある程度贈与について話を詰めておくと良いでしょう。

①過去にもらった財産を把握しておく

学費や生前に贈与された金額を把握しておくのと一緒です。基本的には法定相続分として子供たちは平等に遺産を相続することになります。しかし、そこへ水を差すのが生前贈与を受けた財産です。学費の違いや生活費の援助の違いなども大きく関係してきます。

どうしても苦労した時の記憶は残っているものです。兄弟間でそうした思い出が違うと法定相続分で分ける際に問題になることが多いです。

②生命保険を利用してスムーズに分割する

遺産分割で問題になるのは相続するお金がないことも問題としてあげられます。土地や家など不動産は兄弟で分割することができません。よって相続できるものを分けられずトラブルになることもあります。土地や家を売却しても様々な税金がかかります。そこで活用できるのは生命保険です。生命保険には1人あたり500万円の非課税枠があります。

例えば相続人が3人いる場合は非相続枠が1500万円になります。ここで生命保険が2000万円あると1500万円は非課税なので500万円だけが課税されるというわけです。こうすれば相続で分割でき相続税を節約できますね。

③遺言書で両親・相続者の意思を固めておく

遺言書に書いてあることは最優先されますが、できるだけ生前に両親と遺言書の内容について話し合うことにしましょう。兄弟で相続の話をするのは少し気がひけるかもしれませんが両親が亡くなってから話をするよりかは生前に話をしていた方が良いですね。

また兄弟間でも意見を出し合って自分がどこの土地や物件をもらいたいのか話し合っておくと良いです。

④財産をすべて換金する準備をしておく

どうしても平等に分けなければ気が済まないという兄弟の場合は実家の土地や生命保険など全てを換金するようにしましょう。実家の土地も家もなくなってしまいますが全てお金にすることで平等に分けることが可能です。

まとめ

両親が亡くなったら遺産分割をしなければいけません。基本的には兄弟の数だけで分割して平等に分ける「法定相続分」という分け方をします。しかし、その遺産分割の際に一番の身内である兄弟間で相続について争う可能性もあるのです。
子供たちが争わないためにも兄弟同士で両親が生前のうちに話し合うことは必要です。生前の両親の介護や面倒を見ていた、金銭的援助をしていたなど各々の主張はあると思うのでそこでうまいこと落とし所を見つけて話を丸く治めるのも兄弟愛の見せ所ではないでしょうか。

さらに両親には生前に遺言書を作成してもらうことで相続をする際に円滑に話が進んでいきます。遺言書の内容は最優先されますが、長男のみに贈与するなど非現実的なことが書かれていると協議をする必要が出てくるので巨大全員に何かしら相続させられるような遺言書の内容にしましょう。

もしも遺産相続の関係でわからないことやこうしたほうが良い、遺言書の内容について相談したいと言ったことがあれば気軽に弁護士へ相談してみると良いです。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続には様々な形があり、手続きや申請方法もケースによって異なります。専門知識が無い方は申請書の不備等で無駄な費用が掛かってしまう可能性もありますのでしっかりと相談することをおすすめします。