平成27年に相続税に関する制度が変更になりました。
この制度の変更によって、相続税の控除額が少なくなりました。
簡単に言うと、割引になる額が少なくなりました。
従来割引になることによって納税する必要がなかった場合でも、割引になる額が少なくなったことで納税する必要がある可能性があります。
変更になった相続税の控除額についてご紹介しましょう。
変更になる前の相続税の基礎控除額は、1,000万円に法定相続人数を掛けたものに5,000万円をプラスしたものでした。

しかし、変更になった後の相続税の基礎控除額は、600万円に法定相続人数を掛けたものに3,000万円をプラスしたものになりました。
このように基礎控除額の5,000万円が3,000万円に、さらに1,000万円に法定相続人数を掛けるものが600万円に法定相続人数を掛けるものに変更になりました。
2,000万円と1人の法定相続人について400万円少なくなったため、3人の法定相続人の場合は基礎控除額が3,200万円少なくなります。

なお、基礎控除額としては、変更前であれば8,000万円ですが、変更後は4,800万円になります.
つまり、3人の法定相続人の相続の場合は、変更前は8,000万円までの場合は相続税が課税されませんでしたが、変更になることによって4,800万円以上の場合は相続税が課税されるようになります。

 

●相続に関して課税対象者はどれ位増えたのか?

平成27年に相続税に関する制度が変更されたことによって、相続に関して課税対象者が全体の8%、約1.8倍に急増しました。
相続税の毎年の申告状況のデータを国税庁が公表していますが、相続税に関する制度が変更になった平成27年分のデータが公表になりました。
亡くなった人は平成27年中は約129万人で、この中で、約10万3千人の被相続人が相続税の課税対象になりました。
前の年度は約5万6千人の被相続人が相続税の課税対象であったため、約1.8倍も増加しました。
この十数年は、相続税の課税対象は全体の約4%台になっていましたが、今回は急増して8.0%になりました。
6%台になると予想されていたため、この予想を大きくオーバーしたようになります。

東京国税局が管轄している地域の東京都、千葉県、神奈川県、山梨県において、相続税の課税対象は全体の6%〜7%台になっていましたが、急増して12.7%になっています。
相続税は、このように非常に身近なものであるのが分かるでしょう。
たぶん、実感が相続税についてはないため対策も全く行わず、知らない間に課税対象者になっていたというような人も多くいるでしょう。

また、全体の相続税額としては18,116億円で、約30%前年度に対して増えていますが、1人の被相続人あたりの相続税額としては1,758万円で、約29%前年度よりも少なくなっています。
この数値についても、基礎控除額が少なくなったことによって、課税対象が拡大したことが分かります。

 

●相続税が課税されるケース

遺産相続の場合は、基本的に相続税を申告する必要があります。

しかし、注意する必要があるのは、相続税をほとんどの人は納める必要がないということです。
というのは、相続税の場合は、基礎控除額として法定相続人数に600万円を掛けたものに3,000万円をプラスしたものがあり、しかも財産評価額を少なくする特例などもあるため、ほとんど課税対象額内に収まるためです。
相続の場合は相続税を必ず納めなければならないと多くの人が思っているでしょうが、基礎控除額以内であれば相続税を納める必要はないため、それほど心配はいりません。

仮に、基礎控除額を自分の相続財産額がオーバーする可能性が大きいと考える場合は、当センターに相談してみましょう。
税理士の中には、相続税の節税対策が得意な人もいるため、万一相続税を申告する場合でも安心です。

 

●基礎控除が受けられるケース

相続税の場合は、それぞれの相続人の属性によって基礎控除が受けられるケースがあります。
ここでは、基礎控除についてご紹介しましょう。
配偶者控除の場合は、大幅に税額が軽くなります。
配偶者控除は、被相続人の財産を作ることに配偶者が寄与したり、被相続人が亡くなった後の暮らしを保障したりするために設けられました。
この配偶者控除は、大幅に相続税を軽くして配偶者を優遇しています。
配偶者控除額の具体的な内容としては、配偶者が相続した財産額の中で、相続税が控除されるのは1億6,000万円あるいは配偶者の法定相続分の相当額のいずれか多い方の金額までになります。

しかし、この配偶者控除は、遺産分割が実際に終わっていなければ受けられないため注意しましょう。
実際に軽くなる税額の計算方法についてご紹介しましょう。
軽くなる税額は、相続税のトータル額に次の①と②のうちの少ないほうの額を掛けたものを、課税額のトータル額で割ったものです。

➀課税額のトータル額に配偶者の法定相続分を掛けたもの(1億6,000万円未満の場合は1億6,000万円)
➁配偶者の課税額

基礎控除としては、配偶者控除以外にも、未成年控除、障害者控除、相次相続控除、外国税控除、暦年課税分の贈与税額控除があります。
詳しいことについて、ネットなどで確認してみましょう。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。