そもそも相続改正案とは?

日本は高齢化社会が進んでいるため、政府は民法の相続分野のものなどを改正する相続法改正を検討しています。
この相続法改正の原案について、全体の内容が分かりました。
多くなっている相続する際のトラブルを無くすために、自分で生前に作れる「自筆証書遺言」の保管が法務局でできる制度を設けたり、居住権を確保して残った配偶者が暮らしに困らないようにすることなどがメインです。
看護などに相続人ではない人が貢献すると、お金を相続人に要求できるようにもなります。

政府は、遺言書の保管などについての法案と家事事件手続法や民法の改正案を、2018年1月22日から始まる通常国会に出す予定です。
成立すると、相続関係の法制度についての改正としては昭和55年以来の抜本的なものになります。
「終活」という身の周りを生前に整理するものが流行になり、自分の財産である預貯金、不動産、株式などというようものを誰に相続するかなどを書いた遺言書を、相続トラブルを防止するために作る人が多くなっています。

なお、税制改正が2017年に行われた際には、「5年ルール」という従来のものから「10年ルール」に相続税制が最も大きく変わりました。
「5年ルール」というのは、5年以上海外に住んだ場合、全ての海外にある資産については日本国内で贈与税や相続税が課せられないというものです。
この従来のルールは、海外に5年間移住すると贈与税、相続税を納めなくてもいいというものでした。
そのため、多額の相続税を避けるために、富裕層が海外で財産を保有する場合も多くありました。

しかし、税制改正が2017年に行われたことによって、10年にまで居住期間が延び、ハードルが納税を避けるために高くなりました。
海外に10年間移住すれば、慣れないところでの暮らしや知人、親族と縁が遠くなるなどのリスクがあります。
そのため、税制改正前に比べると、納税を海外居住で避けようという富裕層は非常に少なくなるでしょう。

 

今回の「相続法制改正」のポイント

今回の相続法制改正原案は、次のようなポイントです。

・短期居住権の新設によって、配偶者が遺産となる居住建物に無償で住めるようにする
・配偶者が遺産となる居住建物の長期居住権の取得を選択できるようにする
・婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産が遺贈や生前贈与された場合は遺産分割対象から除外
・被相続人の預貯金などを、遺産を分割する前に葬儀費や生活費の支払いなどに充てできるようにする
・自筆証書遺言の方式緩和
・公的機関(法務局)での自筆証書遺言の保管制度の創設
・相続人でなくても、被相続人の介護などに非常に貢献をした人が金銭を相続人に請求できるようにする

➀短期住居権の設立とは

短期居住権の設立というのは、配偶者が別の相続人が相続する分の資金を確保するために居住地を売って立ち退きするようなことを回避するため、遺産の分割が終わるまで配偶者がそのまま住むことができるものです。
また、長期居住権という一定期間あるいは終身住むことができるものも設けて、遺産を分割する際の一つの選択肢にします。

➁住居用不動産を遺産分割対象から除外

夫婦が20年以上の婚姻関係がある場合、遺言書や生前贈与で配偶者が譲り受けた住居は、遺産を分割する際に相続対象から除くことも入ります。
さらに、配偶者の現在の2分の1の相続分をアップすることも検討されています。

➂被相続人の預貯金の取り扱いの改正

看護などを行っている人が金銭の請求を相続人に対してできるのは、義理の父母の介護や看護を長男の妻が行った場合などが考えられています。

➃自筆証書遺言の方式の緩和

偽装を防止するため、自筆証書遺言は、民法においては必ず日付、全文を本人が記載して署名・捺印することなどが決められています。
財産一覧を記載した財産目録についても本人が記載する必要がありますが、財産目録はパソコンなどでも作れるようにします。

➄新たに公的機関が遺言書を管理

自筆証書遺言は、自分、あるいは行政書士や弁護士などで保管しますが、効力が生じる際に所在が分からなくなるなどの問題も多くあるため、法務局で保管できるようにします。
このため、相続する際に不動産を登記する義務がないため生じる持ち主が分からない空き家トラブルがが無くなることも期待されています。

 

相続法制改正まとめ

そもそも相続改正案というのは、多くなっている相続する際のトラブルを無くすために、自分で生前に作れる「自筆証書遺言」の保管が法務局でできる制度を設けたり、居住権を確保して残った配偶者が暮らしに困らないようにすることなどがメインです。

今回の相続法制改正原案のポイントは、短期住居権の設立、住居用不動産を遺産分割対象から除外、被相続人の預貯金の取り扱いの改正、自筆証書遺言の方式の緩和、新たに公的機関が遺言書を管理、が挙げられます。
相続は誰もが関係するようになるため、今回の相続改正案の動向に着目しておきましょう。