養子縁組としてはどのような条件があるのでしょうか?
養子縁組の制度としては、特別養子縁組と普通養子縁組の2つがありますが、基本的に特別養子縁組は子供が6歳以上の場合には結べません。
ここでは、普通養子縁組に限定してご紹介しましょう。
●養子縁組の条件とは
一般的に、家庭裁判所の許可が、養子に未成年者をする時には必要になりますが、配偶者あるいは自己の直系卑属の場合には必要ありません。
例えば、元姑がお墓を孫に守って欲しいと養子縁組を考えた場合に、阻むためにはどうすればいいのでしょうか?
元姑から見た場合に子供が孫になる場合は、家庭裁判所の許可は直系卑属になるため必要ありません。
しかし、養子縁組を15歳未満の子供と結ぶ場合は、代わりに子供の法定代理人である母親が承諾することが必要です。
そのため、元姑が、養子縁組を母親に無断で子供と結べません。
養子縁組の届出が、万一書類が偽造されるなどによって受理された場合でも、養子縁組をするつもりがないため無効になります。
しかし、これを正しく変えるには、養子縁組無効確認の訴訟提起や調停申立をするようになります。
なお、15歳に養子がなってから追認を養親に対して行った場合は、有効に遡ってなります。
役所に養子縁組の不受理申出書を事前に提出しておくこともできるため、最もこの方法が有効でしょう。
●生前対策の養子縁組は有効か?
では、生前対策の養子縁組は有効なのでしょうか?
養子縁組として相続税の節税のためのものが有効であるかが争点になった訴訟において、2017年1月31日、最高裁の第3小法廷は東京高裁の2審の判決を無効として破棄しました。
東京家裁・1審の有効とした判決が確定しました。
養子縁組を節税のために行うことは、富裕層をメインに実施されていると見られています。
相続税の場合は、相続人が多くなると基礎控除枠という課税されないものが拡大し、影響が税率にもあるので、節税効果が養子縁組にはあると言われてきました。
有効性が裁判で争われたのは、当時82歳の男性が2013年に亡くなりましたが、生前に長男の子供の孫と養子縁組を結んだものでした。
無効を求めて、男性の次女と長女が提訴しました。
なお、2審の判決は、長男が節税メリットを税理士と一緒に父親に説明していたため、相続税対策がメインで親子関係を孫と創設する考えは男性には無かった、として無効と養子縁組を判断していました。
●養子縁組のメリット・デメリット
では、養子縁組はどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
実子と養子縁組の日から身分が同じになるため、養子は法定相続人になれます。
養子縁組のメリット
養子縁組によって法定相続人数を多くできるため、次にご紹介するような節税効果が相続税においてあります。
・基礎控除額が多くなる
相続税の場合は、3000万円に600万円に法定相続人数を掛けたものをプラスして、基礎控除額を計算します。
そのため、法定相続人数を養子縁組で1人多くするごとに、600万円ずつ基礎控除額も多くなります。
・非課税限度額が生命保険金を受け取る際に拡大する
相続税が課税される生命保険金を相続人が受け取る場合は、500万円に法定相続人数を掛けた金額までは非課税になるため、非課税枠が養子縁組をするとその分拡大します。
・非課税限度額が死亡退職金を受け取る際に拡大する
死亡退職金の場合も、500万円に法定相続人数を掛けた金額までは非課税になるため、養子縁組をすると非課税枠がその分拡大します。
・低い適用税率になる
累進課税である相続税は、法定相続人が養子縁組によって多くなると、課税される財産が分散するため、累進税率として適用されるものが低くなります。
・相続税額が2割加算されない
相続税額は、被相続人の配偶者や1親などの血族以外の人が遺贈や相続を受けると2割加算されます。
しかし、養子縁組の場合には、1親等の血族に養子はなるため、2割加算されません。
しかし、養子に代襲相続人の他の孫がなる場合は、2割加算されます。
養子縁組のデメリット
長男が親と一緒に住んでおり、別の兄弟に連絡しないで親の養子に自分の妻や子供をしている場合があります。
この事実が相続が発生した後に明らかになれば、深刻な対立が相続人間に生じるようになります。
ここでは、相続人が兄弟A・兄弟B・兄弟Cの3人としましょう。
養子縁組がない場合には、兄弟A・兄弟B・兄弟Cが相続する分は、対等のそれぞれ3分の1ずつになります。
しかし、兄弟Aの妻のDが養子縁組を被相続人の兄弟の父親Eとしていれば、兄弟A・兄弟B・兄弟C・妻のDが相続する分はそれぞれ4分の1になります。
相続財産の2分の1を兄弟A・兄弟Bの夫婦は2人でもらう権利を獲得しますが、兄弟B・兄弟Cが相続する分は4分の1にそれぞれ少なくなってしまいます。
長男の妻が献身的に義父の介護をした場合とか、義父と長男の妻の両方が養子縁組を希望したなどの場合でも、養子縁組の場合に、別の兄弟に十分に分かってもらわないと、相続トラブルが発生するのを防ぐことは難しいでしょう。
監修者
氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)
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