夏休みや冬休み、連休等で帰省した際に家族が一堂に会することも多いでしょう。
せっかく親族が顔を合わせる貴重な機会だからこそ、ぜひ相続について話し合っておきたいものです。
いざというときに、慌てたり困ったりしないように、あらかじめ、生前にできる対策として、教育資金贈与などを利用した相続対策について、家族みんなで検討してみましょう。

相続税法が平成27年に改正され、課税が強化されました

相続税については、昨年の法改正により基礎控除額の引き下げや最高税率の引き上げなどが実施され、課税が強化されました。
相続税額を計算する際、原則としては以下の三点の手順を踏みます。
基礎控除について、改正前は「5000万円+1000万円×法定相続人の数」だったが、改正後は「3000万円+600万円×法定相続人の数」となりました。
これにより課税対象となる世帯や相続税の負担が増す世帯が増加しました。

➀相続財産を金額換算する。
➁その金額から基礎控除の金額を差し引く。
➂相続税額と相続人各自の負担額を計算する。

 

相続税で長期的な対策が不可欠な理由

相続税が具体的にどの程度になるか、簡単に試算をしてみましょう。留意したいのは、配偶者の相続する財産が法定相続分または1億6000万円のいずれか多い方までは、「配偶者の税額軽減の特例」が適用されるため相続税がかかりません。

例えば、夫婦2人と子供2人の家族で夫が亡くなり、相続財産が総額で8000万円あり、それを妻と子ども2人が法定相続分ずつ相続するとします。この場合、基礎控除(3000万円+600万円×3人=4800万円)を差し引くと、課税対象額は3200万円(妻1600万円、子ども2人がそれぞれ800万円)となります。妻には、「配偶者の税額軽減の特例」が適用されるため相続税は非課税となり、課税の対象となるのは子ども2人の相続分のみとなり、相続税額は子ども2人で175万円となる計算になります。

ところが、妻と子ども2人の家族で妻が亡くなり、妻の相続財産が8000万円あり、それを子ども2人が法定相続分ずつ相続するとします。この場合、基礎控除(3000万円+600万円×2人=4200万円)を差し引くと、課税対象額は3800万円(子ども2人がそれぞれ1900万円)となります。法定相続人の数が少なければ基礎控除も小さくなり、さらに「配偶者の税額軽減の特例」が適用されないため、このケースで相続税額は子ども2人分で470万円にもなります。

一般に、夫婦のどちらかが亡くなって配偶者と子どもが相続する場合を「1次相続」、さらに残された配偶者も亡くなって子どもだけが相続する場合を「2次相続」といいます。相続に関しては、長期的に2次相続も視野に入れて対策しておくことが重要となります。

 

孫の教育を支援しながら相続対策が可能です

平成27年4月1日から「結婚・子育て資金の一括贈与制度」が設けられました。それに伴い、相続税対策の選択肢の一つとして、子や孫へ教育資金として贈与をすることで、1500万円までなら非課税である制度を利用するのが注目を集めています。

メリットとして、通常1500万円を暦年贈与で行うと470万円の贈与税がかかりますが、この制度を利用することにより、贈与税はかかりません。また贈与された子や孫が30歳になるまでに教育資金として使い切れば、贈与税はかかりません。

デメリットとして、この制度は平成25年4月1日から平成31年3月31日までの期間限定であること。また、領収書があるものに限られることや、育資金に該当するものか不明確である場合には適用されない場合があるなど、注意も必要です。

家族の大切な資産を守るための相続対策について、家族間でよく話し合い早めに検討されることをお勧めします。当センターでは、懇意にしている税理士もおりますので、お気軽にご相談下さい。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。