相続税というのは、被相続人が死亡して、財産の相続人に課せられるものです。
しかし、基礎控除額より財産評価額が少ない場合は、相続税が課税されません。
また、基礎控除額を財産評価額がオーバーする場合でも、小規模宅地の評価減、配偶者の税額軽減などの税務上の特例を申告して適用されると、相続税が課税されないこともあります。
相続税は、資産家のみの税金であると考えている人も多くいるのではないでしょうか。
しかし、基礎控除額が平成27年1月1日に改正されたことによって、基礎控除額が4割も下がったので、従来は課税されなかった人も課税される可能性があります。
相続をスムーズに行うために、納税資金対策、節税対策などをチェックしておきましょう。
相続税の基礎控除額は、3000万円に600万円に法定相続人数を掛けたものをプラスしたものです。
法定相続分に対応する取得金額と相続税率、基礎控除の関係としてなっています。
・1000万円以下の法定相続分に対応する取得金額の場合は、相続税率が10%、基礎控除が0円
・3000万円以下の法定相続分に対応する取得金額の場合は、相続税率が15%、基礎控除が50万円
・5000万円以下の法定相続分に対応する取得金額の場合は、相続税率が20%、基礎控除が200万円
相続税額を計算する場合は、相続税率と基礎控除を使います。
相続税額は、課税遺産総額から基礎控除に税率を掛けたものを差し引いたものになります。
相続税の申請方法は?
相続税の申告期限としては、被相続人が亡くなったことが分かった次の日から10ヶ月間以内となっています。
相続税の申告先は、被相続人が亡くなったところを管轄している税務署です。
相続税を申告する際の主な必要書類についてご紹介しましょう。
物納や延納の申請をしたり、小規模宅地の特例を受けたりする場合は、事前に必要書類を税務署に問い合わせしましょう。
一般的な必要書類としては、以下が必要になります。
・被相続人の全員の相続人を調べるための相続が始まった日から10日以降に作った戸籍謄本
・遺言書がある場合はコピー、ない場合は遺産分割協議書のコピー
・全員の相続人分の遺産分割協議書に押印した印鑑の証明書
・相続時精算課税適用者の場合は、被相続人と相続時精算課税適用者の相続が始まった以後に作った戸籍の附票のコピー
税額軽減の適用を配偶者が受ける際の必要書類としては、下記が必要になります。
・被相続人の全員の相続人を調べるための相続が始まった日から10日以降に作った戸籍謄本
・遺言書がある場合はコピー、ない場合は遺産分割協議書のコピー
・全員の相続人分の遺産分割協議書に押印した印鑑の証明書
・分割が申告期限内にできない場合は、申告期限の後分割が3年以内にできる見込書
申請費用としては、税理士に依頼した場合は報酬が必要になります。
税理士を選ぶ場合は、遺産総額に対して税理士報酬が0.5%~1.0%になっているところにしましょう。
税理士報酬は、それぞれの税理士事務所で違ってきますが、ほとんどのところが遺産総額に対して税理士報酬が0.5%~1.0%の範囲になっています。
財産としてどのようなものを相続したかで報酬は変わりますが、概算して遺産総額の0.5%~1.0%の枠内に報酬がなれば適正と言えるでしょう。
例えば、現金が6000万円、土地が4000万円を相続すると、1億円が遺産総額になります。
この場合の税理士報酬は、50万円~100万円が相場になります。
相続税をごまかすリスク
税金は、はっきりと白黒がしているものではなく、税法の網の目であるグレーゾーンと言われるものがあります。
そのため、節税対策の場合でも、節税額が税理士によって違うと言われています。
しかし、脱税行為のように、明らかに黒のものは黒と判断することができます。
税金の場合の脱税行為は、指摘を税務署からされた場合に単純に追徴課税を納めるといいということではなく、刑事罰が課せられる恐れがあります。
脱税というのは、犯罪行為になります。
では、どのようなケースが相続税の脱税になるのでしょうか?
相続税の脱税のケースとしては、以下などが挙げられます。
いずれの場合も、相続人が脱税する意図があるため大きな追徴課税額になります。
・5億円元々あった預貯金の中で意図的に2億円を除いて申告した
・生前に1億円の預貯金を引き出して自宅の床下に現金を隠して申告した
・相続が始まるすぐ前に子供名義の有価証券に3億円の預金を名義変更し、意図的に相続税と贈与税の申告書から除いて申告した
ごまかしたことによって課せられるペナルティ
刑事告発を脱税でされた場合はどうなるのでしょうか?
相続税の脱税が悪質であると税務署に見られた場合は、5年以下の懲役あるいは500万円以下の罰金が科されます。
しかも、脱税の場合は間違いなく重加算税がかかるため、これ以外の延滞税などもトータルすると元々払う税額の1.5倍くらいの税額になります。
このようにならないように、税法の決められた枠内で節税対策として節度があるものを行うことが大事です。
監修者
氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)
-コメント-
わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。