生命保険の考え方としては、生活を遺った家族として保障してもらうなどというようなものは万国共通でしょう。
しかし、保険についてのアプローチとしては、それぞれの国の国民性や背景が反映されるようなイメージがあります。
イギリスは保険が誕生したところと言われていますが、意外にもイギリスでは非常に生命保険加入率が低くなっています。
イギリスの保険会社が、国内の1820人の有職者を対象に2015年に行った調査においては、家財保険と自動車保険加入率がそれぞれ71%と75%と一番高くなっている一方、生命保険加入率は38%でした。
生命保険加入率は、2013年から横ばいで、生命保険には50%の両親家庭、62%の一人親家庭が入っていません。

英国の生命保険加入率は4割弱と低いのか?

英国人が生命保険に入らない理由としては、高過ぎる掛け金が41%、保険会社が信用できないが20%、扶養する家族がいないが20%、などとなっています。
安さをアピールする商品も近年は多く売られていますが、最低限の生活をイギリスの政府が住宅ローンなども含めて保障する社会福祉制度が安全網になって、万一の場合のために準備しておくというような差し迫った意識が一般の人にはあまりないということがが根底にはあるのでしょう。

また、高過ぎると英国人が言う生命保険は、実際に不合理なのでしょうか?
ひと昔前はイメージとして高額商品というような感じが確かに強くありましたが、近年は保険会社が顧客を獲得する競争が激しく、掛け金が大幅に下がっています。
当然ですが、毎月の掛け金には、商品の種類、受け取る保険金額、保険に入る人の健康状態や年齢などが反映されます。
いくつかの保険会社に見積もりを「平準定期保険」について行った最近の事例としては、非喫煙者の40代前半の女性が10年~30年の払い込み期間、約280万円(1万7000ポンド)の死亡保障の保険に入った場合、大手の保険会社のチューリッヒなどがサービスしている商品の場合でも毎月の掛け金はわずか5ポンドです。

30年の払い込み期間で約200万円(3万5000ポンド)の保険金にした30代後半の妻帯者の場合でも、最高約1906円(11.25ポンド)というような見積もりです。
掛け捨ての生命保険と言っても、夫婦でわずか約2711円(16ポンド)くらいの掛け金であればお得感が相当強いように思われます。
しかし、多くの声としては、死亡しないと返ってこない生命保険には一切お金を払いたくない、ということがあるのも事実です。
そのため、イギリスにおいては、生命保険に入るかどうかは無駄遣いについての個人の価値観が非常に影響すると推定されます。

民間の生命保険の目的とは?

いろいろな医療保障、死亡保障、個人年金などのものに分かれます。
自分で選択して入る保険であるため、生命保険に入りたいと考えてもどのようなものに入ればいいか、お金をどの程度払えばいいかなど悩むでしょう。
このような場合には、生命保険加入率が目安の一つになります。
生命保険にどの程度の人が入っているか、保険金はどの程度にするか、どの程度保険料は払っているか、を確認することによって、生命保険に入るべきか、どのような保険に入るかについて参考にしましょう。
生命保険文化センターという公益財団法人が、生命保険の加入率、保険料、平均保険金額などについて調査しているデータがあります。
ここでは、3年に1回実施している全国実態調査をベースに、いろいろなデータについてご紹介しましょう。

なお、ここでご紹介するのは、「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」、2人以上の世帯を対象にした調査データをベースにしています。
個人年金を含む全体の生命保険加入率は89.2%、個人年金保険のみでは21.4%です。
全体の生命保険の場合は、9割弱の生命保険加入率であり、何らかの生命保険に10世帯の中で9世帯が入っていることが分かります。
また、1世帯あたりでは、平均で3.8件の保険に入っています。
世帯主の年齢と生命保険加入率としては、以下となっています。

・29歳以下の場合が77.5%
・30代前半の場合が86.7%
・30代後半の場合が93.3%

若い29歳以下の場合は、生命保険加入率が89.2%の全体の平均よりも小さいですが、30代後半の場合は、全体の平均より大きくなっています。
年をとるにつれて学校に通う子供がいる家庭が多くなり、いろいろなリスクがあるために生命保険に入る人が多くなっているのでしょう。
次に、夫、妻、子供の生命保険加入率と平均何件入っているかについてご紹介しましょう。
保生命保険加入率と平均の件数としては、以下のようなものです。

・夫の場合は85.4%、1.7件
・妻の場合は77.2%、1.6件
・子供の場合は52.9%、1.2件

保険に入っている平均の件数は、夫も妻もそれほど違っていないことが分かります。
また、何らかの生命保険に夫婦ともに入っているのは約75%の世帯であり、生命保険を考える場合には、夫婦一緒に入ることを考えるようです。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。