最近、遺産分割対策でトラブルになっている、あるいはトラブルになっていた、というようなことをよく耳にするようになってきました。
このような遺産分割対策のトラブルは、顕著に司法統計にも表れていますが、非常に多くなっています。
そのため、耳にするチャンスが多くなってきたのではないでしょうか。
このようなことを耳にすると、生前対策をしっかりと行っておく必要があることが分かります。
話題に頻繫になっても、有効な生前対策が実際には行われていないのでしょう。
生前対策に使えるものとしては、遺言書と生命保険があります。
ここでは、生前対策に使える遺言書と生命保険についてご紹介しましょう。

●そもそも遺言書とは?

では、遺言書とはどのようなものでしょうか?
遺言というのは、万一のことが自分にあった時に、自分の遺産をどの程度誰にどのように譲るかを決定する意思表示のことです。
遺言書は、民法の規定によってこの意思表示を残したものです。
遺言書は、亡くなった人の意思表示の最終的なものとして効果が法的にあるものです。
そのため、効力が遺言書の通りに発生します。
基本的に、亡くなる前であれば遺言書の内容を何度でも変えることができます。

●生命保険とは?

では、生命保険とはどのようなものでしょうか?
生命保険というのは、万一のことが自分にあった時のために備えて入るものです。
若くして亡くなる可能性は実際には低いでしょうが、自分の身に万一のことが起きた場合に遺った家族は生活をしっかりと送ることができるでしょうか?
当然ですが、全く保障がないということではありません。
社会保障制度は、日本においては非常に充実しており、保障の一定のものは受けることができます。
しかし、保障としては十分なものではありません。
この場合には、生命保険が役に立ちます。

●遺言書と生命保険のそれぞれのメリット・デメリット

・遺言書のメリット・デメリット確かに遺言書は有効な生前対策ですが、デメリットもあります。

遺言書のメリット

自分が亡くなった場合に、自分の遺産をどの程度誰にどのように譲るかを決定する意思表示ができることです。

遺言書のデメリット

遺言書を作ってからあまり時間が経つと、効果が無くなくなることがあります。
健康寿命と平均寿命の違いが、女性の場合は約12歳、男性の場合は約9歳もあれば、財産状況がほとんどの場合に変わったり、自分の思いが変わったりする場合があります。

そのため、状況などに応じた遺言書を常に残しておかなければ、対応策として有効なものにならないことがありますが、実際にこれを行うのは大変でしょう。
また、公正証書遺言でなければ、有効な遺言書に必ずなるとは限っていません。
有効に遺言書がなるにはしっかりと条件が整備されている必要がありますが、この条件が整備されていないものも見受けられます。
遺言書が有効な場合でも、全員の相続人が同意すると、遺産分割が遺言書の内容と違ったようにできます。

・生命保険のメリット・デメリット

生命保険のメリット

基本的に、遺産分割の対象に死亡保険金はならなく、受取人として指定された人の固有財産になるため、被相続人の考えが妨げられません。
トラブルが多くある一つの要因として、遺産が不動産だけや不動産メインのケースがあります。
しかし、このような場合でも、代償分割が死亡保険金を利用してできます。

相続放棄を借金が多いので行った場合でも、死亡保険金は支給されます。
遺産分割協議が終わらなくても支給されるので、生活する資金に困ることはありません。

生命保険のデメリットと注意点

相続税対策と遺産分割対策のいずれの場合でも、有効であるとは限っていません。
入っている生命保険も十分に考えたうえで、対応策を全体で検討することが必要です。
相談する方がいいでしょうが、相談する相手をミスしないようにしましょう。
生命保険を熟知しているのみでなく、法律や税金などにも気配りすることができるような人に、相談する必要があります。
対応策を生命保険のみで行うのは駄目です。
これ以外の方法も必ず併用する必要があります。

●まとめ

自分が亡くなった場合については考えたくない人もいるでしょう。
しかし、遺産分割でトラブルになった家族も多くあります。

このような家族の話を聞くと、生前対策を行っておくと未然に防止できたことが多くあるそうです。
遺った家族がトラブルに遭うのみでなく、亡くなった人が恨まれるような話もあるほどです。
そのため、遺産分割対策についての考え方を変える必要があるのではないでしょうか。
遺産分割対策として遺言書や生命保険を考える場合には、ここでご紹介したようなことをぜひ参考にしましょう。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。