相続人調査というのは、財産の名義変更などのいろいろな手続きをしたり、遺産分割をしたりする上において、「誰が相続人であるか」を証明する必要があるため、戸籍謄本などで誰が相続人であるかを調査して確定する手続きです。
簡単に言うと、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍の全てを入手して、法定相続人をそこから調査することです。
ほとんどの場合は、相続人が誰かは掴めるでしょう。

しかし、認知した子供が被相続人にいた場合や、養子縁組を孫などとしていた場合もあり得ます。
また、手続きを銀行などで行う場合は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍と現在の相続人の戸籍を提出することを、客観的に相続の事実を証明するために要求されます。
そのため、相続手続きを進める際には相続人調査は必ず必要になります。

 

相続人の確定を行うために「相続人調査」を行う

相続人調査の場合は、慎重に丁寧に戸籍謄本を読解することが要求されるため、時間が非常に掛かって作業が面倒になります。

・正しく戸籍の記載内容を把握する必要がある

戸籍は、明治19年式戸籍から始まって、昭和23年式戸籍、電算化された戸籍というようなものに分類されており、戸籍の記載方法と記載内容がそれぞれ違っています。

・古い戸籍謄本は、毛筆体の手書きであり、読みにくい

手書きの毛筆体で先にご紹介した古い戸籍は書かれているため、見慣れてなければほとんど何が書かれているか分からないでしょう。
当然ですが、文字を読むのが得意、得意でないもありますが、読むのは間違いなく苦労するでしょう。

・正しく戸籍の種類の違いを掴んでおく

戸籍は、次にご紹介するように現在戸籍、原戸籍、除籍の3つの種類があります。
現在戸籍というのは、現在ある戸籍のことです。
原戸籍は、新しい戸籍になるまで使用していた古い戸籍です。
戸籍は、法律が改正されることによって、様式などが全国的に変更される場合があります。
除籍というのは、戸籍に書かれている全員が亡くなったり、結婚したり、転籍したりしたなどで、誰もその戸籍に居なくなった、つまり閉鎖になった戸籍です。

戸籍収集を行うのがカギ

相続人を確定する場合は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの続いた現在戸籍、原戸籍、除籍のそれぞれの謄本を揃える必要があります。
このような謄本は、遺産分割協議が終わって預貯金や不動産などの名義変更の際に要求されるだけでなく、相続関係を読解する際に役立ちます。

相続人調査の際に必要な戸籍の範囲に関して把握すべきことは、必ず共通で次にご紹介するようなことが必要になることです。
どのような相続関係の場合でも必要になる戸籍としては、被相続人が生まれてから亡くなるまでの続いた戸籍謄本、全員の相続人の現在戸籍謄本です。

次に、被相続人の子供がいる(いた)時といない時で、戸籍の収集すべき範囲が違います。
被相続人の子供がいる(いた)時は、被相続人より先に亡くなった子供の生まれてから亡くなるまでの続いた戸籍謄本、被相続人の子供がいない時は、被相続人の祖父母あるいは父母の誰かが生きている場合は既に亡くなった祖父母あるいは父母の死亡が書かれている戸籍謄本、被相続人の祖父母あるいは父母が全員先に死亡している場合は被相続人の父母の生まれてから亡くなるまでの続いた戸籍謄本、被相続人より先に亡くなった兄弟姉妹の生まれてから亡くなるまでの続いた戸籍謄本、が必要になります。

戸籍謄本類の具体的な取得方法

戸籍謄本を取得するには、手続きが本籍地がある市区町村の窓口で必要になります。
本籍地が遠くにあったり、窓口に都合によって行けなかったりする場合は、申請は郵送でもできます。

この場合は、手数料にプラスして、切手を返信用封筒に貼って一緒に入れるなどが必要になります。
戸籍謄本を請求する際は、基本的に、戸籍の直系親族や構成員の人に限定されており、委任状が代理での親戚などの人が請求する際は必要になります。
しかし、弁護士であれば、戸籍謄本を職権で取得できるので、委任状は必要ありません。

 

相続人調査のまとめ

相続人調査というのは、財産の名義変更などのいろいろな手続きをしたり、遺産分割をしたりする上において、「誰が相続人であるか」を証明する必要があるため、戸籍謄本などで誰が相続人であるかを調査して確定する手続きです。
相続手続きを進める際には、相続人調査は必ず必要になります。

相続人調査が厄介な理由は、正しく戸籍の記載内容を把握する必要がある、古い戸籍謄本は毛筆体の手書きであり読みにくい、正しく戸籍の種類の違いを掴んでおく、ことが挙げられます。
相続人を確定する場合は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの続いた現在戸籍、原戸籍、除籍のそれぞれの謄本を揃える必要があります。
戸籍謄本を取得するには、手続きが本籍地がある市区町村の窓口で必要になります。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。