相続税法が2015年に改正されたことによって、約2万人も相続税を納税する義務がある人が多くなったそうです。
まだ両親が元気であるため相続は自分には関係ない、あるいは財産が自分の家は無いので相続は関係ない、などというように相続を他の人のことのように思っていれば、相続貧乏になります。
では、どうすれば相続貧乏にならないのでしょうか?

ここでは、実際に相続する際にあった2つの事例と対応方法についてご紹介しましょう。
相続する際にトラブルにならないように十分に把握しておきましょう。

●相続する際にあった事例➀

父親が先日亡くなりました。
母親はすでに亡くなっていたため、法定相続人人数としては妹である自分と兄の2人のみです。
自分は実家から遠いところに住んでいたため、長年にわたって、母親と父親の介護を一緒に住んでいた兄が行ってきました。
そのため、両親の全ての財産は兄が管理していました。

兄から、相続税を申告するので、署名捺印を遺産分割協議書に行うように言われました。
預金残高証明書も、この遺産分割協議書の中にはありました。
しかし、父親が亡くなる前から父親の銀行預金から勝手に兄が引き出しているような感じがしたため、すんなりとこのまま遺産分割協議書に署名捺印を行うことに不信がありました。
そのため、過去に入出金した履歴をチェックしたかったため、兄に父親の預金通帳をチェックさせて欲しいと頼みました。

その結果、兄は「どこに父親の預金通帳があるか知らない」ということで、預金通帳そのものは見せてくれませんでした。
署名捺印を遺産分割協議書に行う前に、父親の預金通帳をチェックすることはできないのでしょうか?
預金通帳を開設していた金融機関がはっきりしている場合には、例えば、戸籍謄本などの相続人ということが証明できるものを金融機関に出すとチェックすることができます。
決められた手続きを行うと、入出金した過去数年間の履歴をチェックできることがあります。

では、預金通帳を開設していた金融機関がはっきりしない場合にはどうすればいいのでしょうか?
この場合は非常に面倒です。
自分で、父親が取引していた金融機関をまず探すことが必要です。
金融機関がもし分かった場合でも、全員の法定相続人の了解を得なければ預金通帳をチェックすることができないというような取り決めをしている場合も、金融機関によってはあります。
なお、預金を契約するための地位を相続人は引き継いでいるため、単独でも預金をチェックすることを要求できる権利が行使できると、最高裁判所では認めています。
このことをベースに交渉を金融機関と行うか、あるいはこれも難しい場合には相続に強い専門家が在籍する当センターにご相談ください。

●相続する際にあった事例➁

母親が亡くなるまで自分たちの夫婦は自宅で一緒に住んでおり、一生懸命に母親を介護してきました。
弟が自分にはいますが、弟は全く母親を介護しませんでした。
母親が亡くなってから四十九日になった際に、「どのように遺産はなっているのか?法律上は、権利として自分も遺留分の半分もらうものがあるため、早く遺産を相続させて欲しい」と弟が自分たち夫婦に言ってきました。
自分たち夫婦としては、正直言って、このような弟には一切遺産を相続させたくないという気持ちです。

弟が相続する遺産を、何とか少なくするのはできないのでしょうか?
母親を介護していた場合でも、法律上では、多く遺産を相続することはできません。
法律上では、扶養する義務が親子であるため当然あるでしょうということです。
そのため、裁判所から見れば、「母親を介護していた場合でも、法律上の扶養する義務でしょう」というようになってしまいます。
母親を介護していたことによって、母親の財産が少なくなるのを防いだということが証明できれば、遺産の配分を寄与分として変更できることも確かにあります。

しかし、寄与分と判断されるかは状況によって違っているため、必ず認可されるということではありません。
生前に対策することが、このようになる前に大切になります。
最もいいのは、介護してもらったことを遺言書に意識して母親に書いてもらうことでしょう。

●まとめ

ここでは、実際に相続する際にあった事例と対応方法についてご紹介しました。
相続を実際にする場合には、ここでご紹介したような事例以外にも、さまざまなトラブルがあります。
もし、相続する場合にトラブルになった場合には、相続に詳しい当センターに相談してください。

当センターでは、無料で相続に関するトラブルの相談にのってくれるようなところもあります。
また、相続する際にトラブルにならないように遺言書を残しておくこともおすすめです。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
遺言書を書く場合には、内容について十分に検討する必要があるため、もし分からないようなことがあれば当センターに相談してください。
当センターであれば、遺言書の書き方についても適切にアドバイスをいたします。