巷で耳にする事業承継とはどのようなものでしょうか?

事業承継というのは、企業の経営者が話し合いを後継者と行って、将来的に誰を経営者にするか、後継者に地位や不動産・株式などの資産をどのようにして引き継ぎするかを決定することです。
後継者になる人は、既存の事業や創業者の夢を大きくして、幸せを多くの人にもたらしたり、どのように企業を発展させるかを検討したりする大切なチャンスになるでしょう。
約430万社以上も中小企業が国内にはありますが、29万社が年間に廃業しており、後継者がいないなどの要因によって7万社が事業承継ができないと言われています。
しかし、国内には、上手く事業承継を行ったために100年存続している企業は数万社あり、200年存続している企業は約3120社あります。
このように多くの企業があるのは、世界でも日本のみということも事実です。
リーマンショックが2008年に発生してから、団塊世代の経営者は事業の経営が心配であるため、先送りに事業承継をして現役でまだ頑張っている人が多くいます。
しかし、経営者自身がトップにいつまでもいることができないため、後継者を育てることに注力する時期に来ているのが実状です。

事業承継の注意点

事業承継の場合は、注意点があります。
中小企業庁の調査によると、中小企業として事業承継を親族内で行う場合にトラブルがあると答えたところは約7割になっています。
この理由の主なものについてご紹介しましょう。

後継者を探して育てるためには時間が必要である

大きな理由としては、後継者を探して育てるために時間が必要であるということがあります。
中小企業では、職業についての意識そのものが変わっているなどのために、必ずしも後継者に親族がなるとは限っていません。
外部の人材を後継者にしたり、従業員を後継者にするために内部昇格させたりする場合が、だんだん多くなってきています。
後継者がいなくて、仕方なく自分が引退した後に廃業する場合も中にはあります。

自社株や借金を買取することが難しい場合もある

さらに、後継者が企業の自社株や借金を買取することが難しい場合があることも、大きな理由になっています。

遺留分を別の相続人から主張される

経営者が事業承継を親族の後継者にさせる場合は、相続財産などのほとんど全てを渡すようになります。
そのため、事業用の株式・資産に関して、遺留分を別の相続人から主張される恐れがあります。

 

事業承継するメリットとデメリット

メリット

地位を創業家として継続できる

後継者の候補がおり、企業内ですでに重要な役目を担っている場合は、有効な親族への承継は選択肢になります。
事業承継後の経営者は、経営に対して引き続いて影響力を与えられます。
経営者として代々創業家出身の人が引き継いでいる優れた企業の場合は、迅速に意思決定を行って、一貫性が経営にもあるというように魅力が企業としてあります。

スムーズに業務が承継できる

創業家の経営者のもとで長年貢献して、十分に社内の業務について把握している後継者へ事業承継すると、スムーズに業務が承継できます。
創業家の経営者の理念に関しても分かっている後継者が事業承継することによって、ある程度一貫性が経営についても維持されると考えられます。

●デメリット

リスクとして個人保証を含めたものを引き継ぐ

事業承継の場合は、事業の債務として創業家の経営者の個人保証を含めたものを引き継ぐようになります。
そのため、事業承継に関しては、リスクを後継者として引き継ぐ決意や事業についての現状認識などを見極めたうえで、検討を慎重に行うことが必要です。
また、従業員へ事業承継する場合は、個人保証の引き継ぎを従業員が拒んだり、創業家の経営者の個人保証の全部あるいは一部を金融機関が解除しないというようなことも考えられます。

株式を購入する資金が足りない

事業承継する際に後継者の候補がいる場合は、資金の調達が大きな問題になります。
資金を調達する方法としては、個人で後継者が借入を金融機関へ申し込みする、後継者に資金を企業が貸出して、原資に役員報酬をして長期的に返すというようなものが考えられます
しかし、返済原資に税引後のお金をすることや個人の信用などの点から、優れた企業が事業承継するほど、ハードルは資金調達について高くなります。

低廉譲渡の場合は課税される

資金が調達できない場合は、安く後継者へ売ればいいのではないか、と考えるかもしれません。
しかし、公正な税法上の評価額よりも株式を安く譲渡した場合は、贈与が低廉譲渡であったと見られて、後から多額の税金が課税される恐れがあります。

経営者としてのスキルが心配である

特に、子供へ事業承継する場合は、経営スキルについての問題や、理解を従業員から得るのが困難であることなど、事業承継がスムーズにできない場合があります。
従業員へ事業承継する場合も、同じようなことが起きる恐れがあります。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。