父名義の不動産の名義を変更したいと思っています。

現在父は92歳になりました。
父の名義の不動産がありますが,この名義を3人の子供のうち二男の名義に変更したいと思っています。
しかし,父は92歳と高齢です。高齢を理由に,名義変更ができないような話を聞きましたが,そんなことがあるのでしょうか?

1.名義変更に年齢制限があるのか

名義変更の手続きに,年齢による制限はありません。
しかし,名義人の意思判断に問題がある場合は,手続きを行うことは出来ません。ついては,成年後見人を選任する必要があります。
成年後見制度とは,精神上の障害 (知的障害,精神障害,認知症など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように 家庭裁判所に申立てをして,その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。
生活上でのさまざまな場面での判断や,財産の管理などが出来なくなった方を守るための制度となりますから,被後見人となる方に不利益と判断されるような契約を取り交わすことは出来ません。
以上のことから,単純に被後見人の財産である不動産を,息子に対しての贈与であっても,難しいと考えられます。
売買による処分が可能かについては,家庭裁判所等の許可が必要になります。(非居住用不動産は,その処分に際しては,基本的に家庭裁判所の許可は不要ですが,家庭裁判所に意見を求める方が望ましいです。)

 

2.贈与税・相続税

贈与税は,相続税に比べると基礎控除額が低く,更に税率も高くなっています。これは,相続税の課税逃れのために生前に贈与されないようにするためです。
ですから,今回のケースでは,生前に贈与するメリットがあるかを良く検討する必要があると考えます。
二男に贈与することによって相続時の争いを回避することが目的であれば,相続時に,結局他の相続人から不公平を主張されれば目的とは違う結果になってしまいます。
上記の目的を理由に,生前に対策をするのであれば,公正証書遺言書にその旨を残しておくことや,死因贈与契約を父と二男で締結しておくなどすれば,税金面でも贈与税ではなく,相続税として計算することができます。

 

3.まとめ

名義の変更に年齢制限はありません。
ですが,意思判断が難しくなれば遺言書を残すことも,契約書を作成することも出来ない状況になってしまいます。もし貴方が,そうなる前に何か対策をお考えでしたら,懇意にしている税理士や当センターには生前対策にも精通した相続診断士もおり,無料個別相談会なども行っております。
ご相談頂ければ,将来発生する二次相続も踏まえたうえで,対策などを一緒に考えますので,まずは遠慮なくご相談下さい。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。