相続税の延納について

1.延納とは?

延納というのは、分割で相続税を払うようなものです。
20年が最長の延納の期間で、延納の場合は利子税がかかります。

2.延納が認められる金額とは

延納許可限度額は、延納が認められる金額で、計算するのは少し面倒です。
まず、納付する日に持っている現金、預貯金、売ってお金に簡単に換えられる財産額を算出します。
この金額から、申請者と一緒に生計している配偶者、これ以外の親族の生活費の3ヶ月分を差し引きます。

さらに、申請者がビジネスを続けるために必要な運転資金の1ヶ月分の金額を差し引きます。
この金額が、納付する期限に納付がお金でできる現金納付額になります。
延納許可限度額は、現金納付額を納付する相続税額から差し引いた残りになります。

 

相続税の延納には「担保」を差し出す必要があります。

延納というのは、相続税を国から借りるようなものであることを十分に把握しておきましょう。
多額の融資を銀行から受ける場合は、担保を必ず要求されます。
つまり、延納を認可してくれる代わりに、建物や土地などを担保として提供する必要があります。
この場合に、延納の担保として相続財産を引き充てすることもできます。

 

延納は利子税が高い

相続税を延納した場合の利子税は、相続する財産によって金利が1.2%〜6.0%になります。

なお、融資を銀行から受ける場合は一般的に「元利均等」になりますが、延納の場合は「元金均等」になります。
元金均等の場合は、返済当初は大きな返済額なるものです。
返済が終わるにしたがって返済額が少なくなりますが、非常に負担が初めに大きいので、延納する際には十分に注意しましょう。

 

相続税の物納って?

1.物納とは何か

物納というのは、現金の代わりに、不動産などの財産価値があるものを納付する方法です。
物納するためには、次のような条件があります。

・延納してもお金で納付するのが難しく、しかも、この納付を難しくする金額を限度にしている
 ・申請する財産が決められた種類のものであり、しかも、決められた順位による
 ・財産が物納に適したものである
 ・期限までに物納手続関係書類と物納申請書を申告するために提出する

2.物納できる財産には優先順位があります

相続する財産がいくつかある場合は、優先順位が次のように決まっています。

・第一順位は不動産、地方債、国債、特定登録美術品、船舶
 ・第二順位は社債、証券投資信託、株式
 ・第三順位は動産

 

物納は申請が激減している制度です。

物納制度は、従来は物納申請書を提出してから、認可あるいは却下されるまでに時間が相当かかりました。
時間的には、5年、10年というような長期間でも判断されないような案件も多くありました。
そのため、平成18年に法律が改正がされて、物納申請の判断が出るまでは「物納申請してから基本的に3ヶ月以内」と決まったので、事前に申請する書類を準備しておかないと、物納を認可してもらうのが困難になりました。

 

物納の9割は土地

財産として物納されるものは、土地が約9割であると言われています。
土地を物納する際には、土地を実測する必要があります。
この場合は、土地の面接を単に測るのみでなく、物納した後に隣りの土地を持っている人とトラブルが起きるのを防止するため、このような人とも一緒に実測して、杭を境界線に立てるなどが必要になります。

 

相続税納税の優先順位:現金一括>物納>延納

相続税を納付する優先順位としては、基本的に一括して現金で納付することです。

しかし、これが難しい場合は、延納したり物納したりすることができます。
延納も物納も厳しい条件があり、面倒な手続きもあるので、できる限り現金を準備して一括で納付するようにしましょう。

やはり、一括で現金で納付するのが厳しい場合は、延納は止めて物納にする方がおすすめです。
というのは、延納の場合は、相続税を国から借りるようなものであり、利子が最大6%になります。
しかも、経費にこの延納の利子はならないというものです。

 

相続税が払えない延納と物納のまとめ

延納というのは、分割で相続税を払うようなものです。
延納許可限度額は、延納が認められる金額で、計算するのは少し面倒です。
延納というのは、相続税を国から借りるようなものであり、延納を認可してくれる代わりに、建物や土地などを担保として提供する必要があります。
相続税を延納した場合の利子税は、相続する財産によって金利が1.2%〜6.0%になります。

物納というのは、現金の代わりに、不動産などの財産価値があるものを納付する方法です。
物納できる財産には優先順位があり、物納は申請が激減している制度です。
財産として物納されるものは、土地が約9割であると言われています。
相続税を納付する優先順位としては、基本的に一括して現金で納付することですが、これが難しい場合は、延納したり物納したりすることができます。
このような相続税の延納や物納について分からない場合は、相続に強い専門家が在籍する当センターにご相談ください。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。