芸能人や有名な企業家などの相続の裁判が、たまにニュースなどで話題になります。
最近は、相続のトラブルも良く耳にします。
では、近親者や肉親同士の相続トラブルの裁判とはどのようにものでしょうか?
ここでは、相続の裁判についてご紹介しましょう。

相続の裁判はどのようなことでなるか?

ある企業の大手の会長が遺した財産を巡る裁判が、大きく近年取り上げられたことがありました。
また、納得が遺産分割にいかないケースや、会社の経営権を同族で争ったり、分割が偽の遺言書によって行われたため遺言書の無効を争ったりするようなケースがあります。

納得が遺産分割や遺言書にいかないということでも、裁判にすぐになる、ということではありません。
裁判になれば、弁護士費用がかかったり、長期化したりして、最終的に不利益を当事者が受ける場合もあります。
そのため、裁判になる前に、相続人による協議や家庭裁判所における審判、調停などのプロセスがあるので、裁判に実際になるケースにおいては被相続人が死亡した後10年余りの期間が経っているようなケースも多くあります。

裁判になる前には話し合いをまず行う

遺言書は、身近にシニア世代にはなったとも言えます。
しかし、亡くなった70代以上の人のうち、遺言書を書いているのは約4%であるとも言われています。
遺言書がない場合は、遺産分割協議が相続人間で行われますが、この遺産分割協議で納得できない相続人がいれば話合いを何回も行うようになります。

話し合いが、それでもつかなければ調停を家庭裁判所に申し立てるようになり、第三者の調停委員という人が間に入って話し合いを行うようになります。
決着が調停でもつかなければ、遺産分割審判を家庭裁判所が行うようになります。
しかし、この遺産分割審判でも納得できなければ、相続の裁判になります。

審判や調停、裁判はどのような違いがあるか?

では、調停とはどのようなものでしょうか?
遺産分割についての調停は、基本的に、話し合いを相続人間で行うことです。
調停委員という第三者が間に立つことによって、それぞれの人の気持ちや言い分を確認しながら話し合いを行うようになります。
調停委員は、一般の人の良識を調停に反映するので、豊富に社会生活における経験や知識を持っている人から選出されます。

基本的に、調停委員としては、40歳から70歳までの、弁護士、大学教授、医師、会計士、建築士、などのように幅広く地元社会で活動しているような人などが選出されます。
では、審判とはどのようなものでしょうか?

話し合いが調停によってもまとまらなければ、遺産分割の内容を裁判所の家事審判官が決めるようになります。
相続人が主張する証拠や内容をこの審判では調べて、主張する証拠や内容の他にも、独自に家事審判官が調べます。
審判手続の場合には、相続人が書面でそれぞれ法律上の主張・事実をするようになり、裏付けとなるいろいろな資料や書類を出します。

それぞれの相続人が資料・主張を出し終わるまで、審判手続は何回も行われます。
話し合いが相続人同士で数ヶ月行われ、数年がその後の調停で経ち、審判までには何年も経っている場合もありえます。
裁判になるのは審判の後です。

家庭裁判所の家事審判官が決めた内容に納得できなければ、不服申し立てによって、審理が高等裁判所で始まります。
これが、つまり裁判ということです。
調停では、ほとんどの場合、一人の相続人あたり印紙代の数千円程度で収まります。
しかし、裁判になると、弁護士費用だけでなく、さらに長期化するようになります。
相続人同士の関係は、裁判になる時点で修復が困難になっているでしょう。
費用がかかっても、家族関係が困難になっても、遺産の価値があるため裁判になると考えがちです。
しかし、相続人同士の信頼関係が、ほんのちょっとしたきっかけによって崩れて、裁判になる場合があります。
遺言書についても書いておくといい、ということではなくて、内容を十分に検討する必要があります。
また、現在の家族が分からないような人間関係がないか、などというように、争いを防ぐために遺産分割の丁寧な提案も生前にできる一つのことです。
可能な限り、遺産分割で裁判にならないように、対策を亡くなる前に行うことが必要です。

我が家は心配ないという考えは持たない

我が家は心配ない、という考えはくれぐれも持たないようにしましょう。
お金が我が家は無いので心配ないと、思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、遺産分割調停の8割近くが、5000万円以下の相続財産額の普通の家庭ということです。
遺産分割調停のほとんどのケースのトラブルが、二次相続以降のものです。
親の意見が両親のどちらかが生きている場合は反映されますが、両親とも亡くなっている場合は考えているほど兄弟姉妹間はスムーズではありません。
我が家は一人の子供のみであるため心配ない、と思っているかもしれません。
しかし、相続人が少なければ、相続税が大きくなります。
相続税を納付することができるか、ということも見極めることが必要です。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
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