ジュニアNISA が2016年1月1日から始まりました。
ジュニアNISAというのは、NISAという少額投資非課税制度として、未成年者の0歳~19歳までを対象としたものです。
未成年者が名義になっていまますが、運用は親権者の祖父母・両親などが代理で実際には行うようになります。
今後は、若年層へのジュニアNISAによる生前対策の贈与としての利用が着目されるでしょう。
NISAとは?
では、基本的にNISAとはどのようなものでしょうか?
NISAというのは、投資額の一定のものに関しての運用益について、所得税が課税されないというものです。
一般的に、運用益が投資信託や株式などで生じた際、この利益に関して所得税が20%課税されます。
しかし、NISAの場合は、利益が100万円までは所得税が課税されないものです。
日本人は貯蓄に走りがちであるので、投資を促すためにNISAが2014年から導入されました。
ジュニアNISAとNISAの違いとは?
では、ジュニアNISAとNISAはどのようなところが違っているのでしょうか?
ここでは、ジュニアNISAとNISAのそれぞれの特徴についてご紹介しましょう。
ジュニアNISAの特徴
・対象の年齢は0歳~19歳である
・非課税枠の上限は毎年80万円である
・金融機関は変更できない
・口座を管理する人は代理で親権者などになる
・お金の引き出しは18歳までは基本的にできない
※なお、途中で引き出しすると、過去に発生した利益に課税されます。
NISAの特徴
・対象の年齢は20歳以上である
・非課税枠の上限は毎年120万円である
・金融機関は年に1回変更できる
・お金の引き出しはいつでもできる
・口座を管理する人は本人になる
ジュニアNISAとNISAでは、特に金融機関とお金の引き出しが大きく違っているため注意する必要があります。
ジュニアNISAのここがメリット
では、ジュニアNISAはどのようなメリットがあるのでしょうか?
投資ということを選ぶことによって、株式などを子や孫が実際に売った際に、投資額よりも増える可能性があることがメリットです。
お金を単に生前対策として贈与したのみでは、消費や貯蓄にこのお金は回ってしまうでしょう。
しかし、投資することによって、大学進学などで子や孫が実際にお金が必要になった際、投資額よりも大きなお金を入手することができます。
毎年80万円が非課税枠の上限で、5年の期間であるため、将来の子や孫の資産運用に最大400万円を引き充てることができます。
また、一緒に贈与の別の非課税制度と利用することによって、節税の効果はより大きくなります。
ジュニアNISAの80万円の非課税枠というもののみを見れば、贈与額としては大したものではありません。
しかし、一括贈与の子育て・結婚資金や教育資金の非課税措置と一緒に利用することによって、相続・贈与対策にもなるでしょう。
ジュニアNISAの注意点
では、ジュニアNISAの注意点はないのでしょうか?
ジュニアNISAの注意点としては、非課税枠の暦年贈与のものの内数に非課税枠の80万円はなるということです。
未成年者が名義人で親権者が代理運用者というのは、親から子への実質的な贈与です。
別の非課税措置制度と間違って、50万円をまた別に贈与すると、110万円という暦年贈与制度の非課税枠をオーバーした部分に関しては、一般的な贈与税が課税されます。
また、ジュニアNISAの場合は、18歳に未成年者の名義人がなるまでは引き出しができません。
運用益がそれまでに発生した状態で引き出した場合は、一般的な所得税がこの部分に関しては課税されます。
また、NISAと同様ですが、損失があった場合でも、損益通算を別の投資信託や株式などの運用益や配当金と行うことはできません。
他の注意点
・投資枠の余りを翌年以降へ繰り越せない
・マイナンバーが口座を開設する際に必要になる
・5年間の非課税期間が終わった後は、新しい非課税口座に移す、課税ジュニアNISA口座に移す、売る、のいずれかを選ぶ
・20歳に未成年者自身がなると、NISAに自然に移る
などというようなことが挙げられます。
まとめ
投資は、儲けがあるとともにリスクもあります。
ジュニアNISAに関しては、しっかりと細かな条件などついても把握するすることが必要です。
以前に比較して、日本人はハードルが投資に対して下がっていますが、貯蓄する傾向がまだ高くなっています。
高齢者白書の2015年版によると、貯蓄率は50代の場合は6割をオーバーし、60代以上の場合は9割をオーバーしているそうです。
また、20代~40代の場合は、38%~40%くらいが「生活を毎日充実して楽しむ」ということに対して、55%~58%が「将来のために備える」となっているそうです。
なお、10%超~40%超くらいが20代~40代の貯蓄率ということで、「将来のために備えたいがお金がない」という状態です。
しかし、親心としては、やはり「自分の子供の将来のために備えを何かしておきたい」と考えるでしょう。
ジュニアNISAは、この期待に対応するものです。
非課税措置の子育て・結婚資金贈与や教育資金贈与などと一緒に利用することによって、子供の育成につなげましょう。
監修者
氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)
-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。