確定申告と言うと、個人事業主、株の売買、副業、医療費控除、不動産経営、というようなキーワードを思い浮かべるでしょう。
一方、株主優待は、確定申告など関係ないと思い込んでいるかもしれませんが、実際には確定申告の対象になります。

確定申告とは?

税金としては、所得税・固定資産税・消費税など、種類がいろいろありますが、これらの税金を納付する必要があります。
所得税の場合は、1月1日~12月31日までに獲得した所得の全てを計算して、納税する必要があります。
確定申告とこの手続きのことを指します。

確定申告の場合には、納税額を確定するために年間に獲得した所得を計算しますが、事前に税金を源泉徴収という方法で徴収する場合や、税金を予定納税という方法で前払いする場合もあります。
では、どのような人が確定申告をする必要があるのでしょうか?

まず、一般的に、確定申告は個人事業主が必要でしょう。
しかし、サラリーマン、つまり給与所得者でも、確定申告をする必要がある場合が多くあります。

一般的に、サラリーマンの場合は、それぞれの社員の所得税額を会社が計算して、前もって天引きするようになっています。
しかし、完全に所得税額を確定して計算することはできないため、給与から概算で控除して、年末調整でこの精算を行っています。
つまり、サラリーマンの場合は、年間の所得と税額が年末調整によって確定します。

しかし、控除として年末調整でできないものを受けるには、確定申告をする必要があります。
所得税として納め過ぎたものを、確定申告によって返してくれます。

意外と知らない課税対象となるもの

では、どうして株主優待が課税対象になるのでしょうか?
基本的に、株主優待というのは、株式を権利確定日に持っていることで特典を会社から受け取れるものです。
一般的に、株主優待は、会社の商品や割引券、商品券などですが、10%くらいの利回りになるものも中にはあります。

お得感が配当より高い、預金よりもお得ということから、株の配当益や売買益から株主優待をもらうことに投資目的が変わる「優待投資家」も多くいます。
株主優待は課税対象でないというのは間違いで、所得税が実際には課税されます。
基本的に、所得税の場合には、会社から個人が受け取った全てのものは課税対象になると考えていいでしょう。

しかし、その背景や事情によって、一部のものに関しては課税対象になりません。
また、株主優待に関しては、一定の基準にひっかかる場合には確定申告をする必要があります。
株主優待も配当も、会社から株主ということで受け取るということでは同じです。

では、株主優待は、確定申告する際は申告を配当所得としてしていいのでしょうか?
株主優待の確定申告は、雑所得とする必要があります。
というのは、明確な基準が税法上あるためです。

所得税法基本通達においては、大まかに「株主が法人からその地位によって受け取った経済的利益である株主優待のようなものは…(中略)…利益の処分あるいは剰余金としてその法人が取り扱わなければ、配当などには入らない」というようなことが決められています。

つまり、その会社の利益処分として普通の株主優待は行われません。
そのため、申告は雑所得として行うようになります。

株主優待を確定申告する際の判断基準

ここでは、雑所得として株主優待を確定申告する際の判断基準についてご紹介しましょう。
なお、この場合の所得というのは、株主優待として受け取った金額から株主優待をもらうために必要な経費を差し引いた金額です。
株主優待を確定申告するかの判断基準としては、ケースによって違ってきます。

給与所得を正社員やアルバイト・パートなどで受け取っているケース

退職所得と給与所得の他の所得のトータルが20万円をオーバーする場合は、確定申告する必要があります。
株主優待の他に収入が特に無い場合は、株主優待のトータル額のみで判断します。

副業などやFX、不動産投資の収入が別にある場合は、所得を雑所得の分類のみで計算して、20万円をこれがオーバーするかで判断します。
しかし、給与所得を何ヶ所かから獲得している場合や給与の額面の年収が2000万円をオーバーしている場合などは、20万円未満に別の所得がなっていても確定申告をする必要があります。
確定申告が必要かどうかにも、要件の細かいものがあるため注意しましょう。
判断を安易に行うのでなく、自分の状況を慎重に確認しましょう。

給与所得を正社員やアルバイト・パートなどで受け取っている以外のケース

確定申告は、基本的にする必要があります。
しかし、収入が株主優待の他にない場合には、38万円以下にその所得額がなっていれば確定申告は必要無いと考えていいでしょう。
この場合の38万円というのは、誰もが、所得税を計算する上において適用される基礎控除額です。
例えば、10万円の年間所得でも、納税者の全てが適用になる基礎控除の38万円を差し引くとマイナスになり、課税されません。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

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