平成27年1月の相続税改正によって、相続税の課税対象に資産がなる前に相続対策をしたいということで、資産を譲渡するいろいろな方法が着目されています。
国としても、資産を相続税の課税前の段階において譲渡する贈与税に対して特例を設けて、資産を生前贈与を利用して移転する際のサポートを強化しています。

●二次相続、三次相続を回避するためには賃貸マンションを孫に移転する

賃貸マンションを相続した場合は、意思決定が修繕や管理などにおいて必要になります。
このようなことをスムーズに進めるためには、共有に不動産はしない方がいいとよく言われています。
一般的に、賃貸マンションを相続する方法としては、妻と子供に相続するものがあります。

しかし、例えば、賃貸マンションを被相続人の孫である子供の息子や娘に移転する、というような方法もあります。
孫に賃貸マンションを移転するメリットとしては、二次相続、三次相続を回避することができることがあります。

まず、一般的な相続の場合の賃貸マンションの移転についてご紹介しましょう。
一般的な相続の方法は、夫が死亡すると妻が相続、妻が死亡すると子供が二次相続、子供が死亡すると孫が三次相続、という流れになります。

この流れにおいて、相続税が二次相続、三次相続の場合は課せられます。
不動産の賃貸マンションのようなものを相続する際は、別の法定相続人は代替資産である不動産以外の資産や現金などを相続するようになります。
このような状況を考慮して、二次相続、三次相続を夫が死亡すると孫が相続する方法で回避することができます。
一般的に、孫は法定相続人にならないので、指定を遺言書などによって行っておくことが必要です。

 

●賃貸マンションを孫に移転する際に注意すること

賃貸マンションを孫に移転する方法は非常に効果があります。
しかし、賃貸マンションを孫に移転する場合には、注意することもあります。

名義貸しに孫への相続がならないようにする必要があります。
賃貸マンションを孫に移転する場合には、孫が賃貸マンションの持ち主の業務を行うことが必要です。
孫に賃貸マンションを移転しておきながら、子世代が実際の管理を行っている場合には、税金を逃れるための所有権移転であると見なされます。
また、孫が成年になっているかどうかで、対応は違ってきます。

・孫が成年になっている場合

孫が成年になっている場合は、意思決定権が民法上あるので、相続するのは問題ないでしょう。
しかし、賃貸マンションを実際に経営するためは、修繕費などの費用がいろいろかかります。
このような費用に対応できる資産を、孫世代が持っていないことも多くあります。
そのため、子世代の費用をここで使用しないで、一定の現預金を子供から孫へ譲り、対応するための資産とするのが確実です。

・孫が成年になっていない場合

孫が成年になっていない場合は問題です。
民法によって、成年になっていない場合は法律行為が限定されるので、賃貸マンションの持ち主とは対外的にも見なされにくくなります。
そのため、子世代が実際には管理していると見なされる可能性が大きくなります。
孫が成年になっていない場合の相続は、リスクが法的に高く、あまりおすすめではありません。

また、これ以外にも注意することがあります。
例えば、不動産資産を被相続人の長男の孫に相続したとしましょう。
この場合に均等に別の資産を配分すれば、長男だけが得をするとなりかねません。
そのため、相続対策した結果、トラブルになるため注意しましょう。

 

●孫と会社を一緒に設立する際に注意すること

孫に資産を譲渡しないで、子供や孫と一緒に会社を設立する方法もあります。
一般的に、「資産管理会社」とこのような会社のことを言います。
この資産管理会社に賃貸マンションを譲渡する方法です。

資産管理会社の場合は、株主を一家で構成するので、孫の出資分を設立した際に多くすることによって相続対策になります。
さらに、所得税が削減できる効果も、不動産所有権を個人が持たないことによって期待できます。
しかし、相続する対象の資産に資産管理会社の株式もなります。

親が死亡した場合は、子供や孫が相続する資産になります。
初めから大株主に妻をすれば、配偶者の税額軽減を妻が死亡した際の二次相続の場合に使用することができません。

このようなことは非常に複雑であるため、税理士などのプロと相談することが必要でしょう。
また、資産管理会社の設立は一般的に株式会社のスタイルですが、一般社団法人で設立するということも流行になっているそうです。

相続対象に一般社団法人の持分がならないので、相続税を支払う必要がないと言っているような専門家もいるようですが、これをそのまま信用するのはリスクがあります。
相続対象に現在はなっていない場合でも、課税対象に将来的になる可能性があります。
そのため、会社設立に強い専門家に相談する方がいいでしょう。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。