株を相続した場合の相続税はどうなるの?

身内の誰かがお亡くなりになられて、相続の手続きを行うことなった際、被相続人(亡くなられた方)が遺した資産の全てを確認することになります。そのなかに株式が含まれていた場合、その株式の評価額を調べることになるのですが、同時に留意したいのがそれにかかってくる税金です。株式の評価額は、現金などとは違って流動的ですので、それにかかる税金も変動します。適正に評価するにはどのような方法をとればいいのでしょうか。
はじめに見極めるべきなのは、株価が公開されている上場株式なのか、株価が公開されていない非上場株式なのかという点です。上場株式は、価格が日々変動しますが、非上場株式は株価が日々変わるものではありません。非上場株式は、会社の経営状態などを分析することが必要となるため株価の確認が簡単ではないので、専門家に依頼するのが一般的です。
しかし、株式を相続するにあたって、相続税の金額をざっくりと把握しておくことは必要ですので、できる範囲で確認しておくように心がけたいものです。

株を相続した場合の評価方法とは

株式の相続で難しいのは、その価値を適正に評価する必要があるということです。もし、株価が公開されている上場株式であれば、株価を確認することは難しいことではありません。スマホのアプリや新聞などでも簡単に確認することができます。しかし、非上場株式になると簡単には把握できません。
非上場株式を評価する方法には、「原則的評価方式」というものがあります。基本的には、この方式によって評価額を算出します。具体的には、株式発行会社の従業員数と総資産評価額などによって評価する方式です。会社の経営状態なども含み合わせて評価していきます。
そのほか、類似業種比準方式と、純資産価格方式というものがあります。前者は他の上場企業を基準にするもので、後者は会社を清算すると仮定した場合に株主一人に分配される金額で算定していく方法です。それぞれ、株式会社の規模によって適用される方式が決まります。
原則としては、以下のように株式を評価することになっています。

  • 大規模会社の場合は、類似業種比準価額
  • 中規模会社の場合は、類似業種比準価額×60〜90%+純資産価額×10〜40%
  • 小規模会社の場合は、純資産価額

類似業種比準価額は、事業内容が類似している上場企業を参照し、比較しながら評価していく方法です。材料となるのは、自社の配当や利益、純資産など。これに対して、純資産価額は、会社の純資産額を基準にして算出するため、不動産などを保有する会社だと評価が高くなる傾向があります。
また、会社が株主に配当する金額によって評価する方法をとる配当還元方式というものもあります。この場合は、1年間の配当金額を利率10%で還元して評価します。

実際にかかる相続税の計算方法とは

相続することになる財産から、債務を差し引いた金額が「正味の遺産額」です。相続税を算出するには、これをはっきりとさせることからスタートします。
正味の遺産額がわかりましたら、そこから基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を算出します。基礎控除額の出し方は、「3,000万円+600万円×法的相続人の数」と決められていますので、これに沿って算出すれば大丈夫です。
法的相続分を分けます。課税遺産相続総額を相続人の数で分けることになりますので、例えば、相続人が妻と3人の子供の場合は、妻が総額の2分の1、3人の子供はそれぞれ6分の1ずつです。

課税遺産総額
妻…1/2 子供a…1/6 子供b…1/6 子供c…1/6

次に相続税の計算をします。相続税の計算をする際には、「法定相続分に応ずる取得金額」によってその税率が異なりますので、国税庁がホームページで提供している「相続税の速算表」を参照してください。以下に、一部をご紹介しておきます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
10,000万円以下 30% 700万円

最後に、相続税の合計をします。妻と子供全員の相続税を合計した金額が、相続税の総額ということになります。

株を相続する際にやっておくべきことは

亡くなられた方の資産をのなかに株式が含まれていた場合、当然この株式も相続の対象となり、適切に遺産分割する必要が生じます。預貯金や不動産などと同様に、相続人に分けられることになるのですが、株式の場合はその評価額を明らかにするのが多少ややこしいため注意が必要です。相続する者が一人ならばいいのですが、複数名いる場合はのちにトラブルとならないように慎重に進めるべきです。
まずはじめにやっておくべきことは、株式の確認です。株式には、上場株式と非上場株式がありますので、被相続人が所有していた株式がどちらであったかをきちんと調べる必要があります。その際、株式がどこに預けられているかも調査しておかなければなりません。
次に大切なことは、相続人となった人全員で遺産分割協議を行うことです。誰が、株式を相続するのかを話し合い、決定します。もし、株式を売却するのであれば、この協議の場でそのことについても話し合いを行い、意見をまとめておくことが望ましいでしょう。この会議で相続人が決まったら、いよいよ名義書換の手続きです。

「上場株式」と「非上場株式」では手続き方法に違いがある

所有している株式が上場株式なのか、あるいは非上場株式なのかによって、相続に際しての手続きが異なります。
金融商品取引業者が管理をしている上場株式の場合は、証券会社や信託銀行などから書類を取り寄せ、取引残高報告書を発行してもらえばいいので、手続きはわりとスムーズです。これに対して非上場株式の場合は、証券会社や信託銀行を介さないため、自分自身で株式発行会社に問い合わせて調べなければなりません。といっても、実際の調査は大変複雑になるので、一般的には専門家に依頼するケースがほとんどとなります。
相続するためのステップはそれぞれ次のとおりです。

非上場株式の相続

  1. 相続株式を調査する
  2. 遺産分割協議書を作成する
  3. 非上場株式発行会社で株式名簿を書換
  4. 株式の被相続人の準確定申告&相続人の相続税申告

上場株式の相続

  1. 相続株式の取引残高報告書を発行してもらう
  2. 遺産分割協議書を作成する
  3. 証券口座を開設する
  4. 株式を相続人に名義書換
  5. 株式の被相続人の準確定申告&相続人の相続税申告

株券を失くしたときに必要となる手続きとは

株券(株主権を示す有価証券)は宝石や不動産と違って、目立つ現物があるわけではありません。そのため、被相続人が確実に所有していたはずであっても、当人の死亡後に紛失してしまった、あるいはどこにあるのか所在が不明となってしまう場合もあり得ます。しかし、失くしたからといって、ただちに株主としての権利を喪失するというわけではありませんので、落ち着いて対応しましょう。
株券の紛失に気がついたら、すぐに株券発行会社に連絡する必要があります。株券発行会社とは、当該株式にかかわる株券を発行する定款の定めをもっている株式会社のことです。連絡したら、以下のことを請求してください。

「株券喪失登録簿」に「株券喪失登録簿記載事項」を記載すること

これで完了ではありません。株券が無効になるのは、上記の記載登録完了から1年後となっています。それまでは、ただ待つほかにありません。1年待って正式に無効になってから、今度は「名義書換請求(株主名簿の記載事項を書き換えるように株式会社に対して請求すること)」を行います。

相続の際の税金を節税する方法はあるの?

株の評価額は変動するものですので、その性質を利用して節税につなげる方法があります。例えば、会社の後継者となる人物が決まっているならば、株価が下がったタイミングを見計らって、後継者に株を贈与したり売却したりする方法があります。評価額が下がっているため税金も少なくてすみます。株価が暴落したら、生前贈与のチャンス到来というわけです。

まとめ

資産のなかに株式が含まれていた場合は、非上場株式の場合もありますので早めにその評価額を算出しておく方が望ましいでしょう。間違いなく評価額を出すには、専門家へ依頼するのが理想的です。遺産分割協議にかかる前に大まかな金額がわかっている方が、スムーズにトラブルなく相続人を決定することができます。生前贈与等の節税対策も考慮に入れながら、これを機械に株式の相続について慎重に検討してみましょう。