相続人の中に障碍者がいた場合、「相続税の障碍者控除」を受けられることをご存知でしょうか?
この控除は、相続をした障碍者の相続税の負担を減らすための特例措置です。
では相続税の障碍者控除とはどういったものなのか、また、障碍者がいた場合の相続は、通常の相続とどのような違いがあるのかなど、詳しくみていきましょう。
通常の相続と異なる部分とは?
法定相続人の中に障碍者がいる場合は、相続に関する次の二つについて、通常の相続とは異なる部分があります。
・遺産分割協議
・相続税申告
遺産分割協議は、特に「意思能力に問題のある相続人」がいた場合は通常通り進めていくことはできません。
相続税申告については、一定の控除が受けられるため節税のためにも手続きを正しく進めていく必要があります。
遺産分割協議と相続税申告について、1つずつ解説いたします。
法定相続人の中に障碍者がいた場合の遺産分割協議
法定相続人の中に「意思能力が無い」障碍者がいた場合、遺産分割協議をするためには障碍者の「成年後見人(※)」を選任しなければなりません。
意思能力が無いとは“自分の行為の結果を判断できる能力”が無いということです。
例えば医師の判断により認知症、知的障碍、精神障碍などの障碍によって判断能力が十分でない方などが「意思能力が無い障碍者」ということになります。
意思能力のある障碍者の場合は成年後見人の選任などの必要はありません。
※成年後見人…意思能力のない障碍者(成年被後見人と言います)の代わりに、法律行為の代理・取消や財産の管理を行ったり、療養看護の義務を負う者のことを言います。
では、成年後見人を選任せず遺産分割協議を行った場合はどうなってしまうのでしょうか?
答えは、意思能力のない相続人を無理やり参加させた遺産分割協議は無効になってしまう可能性があります。また、意思能力が無いからと言って障碍者の相続人を参加させなかった遺産分割協議についても無効となります。
成年後見人は遺産分割協議において、意思能力のない相続人に代わって遺産分割協議書や相続税申告書などへの署名や押印を行います。印鑑証明書なども、成年後見人の物を使用します。
●成年後見人の選任方法
①家庭裁判所に申立する 【必要書類】
・申立書(家庭裁判所に定型の書式があります)
・申立事情説明書
・親族関係図
・本人の財産目録およびその資料(登記事項証明書、通帳のコピーなど)
・本人の収支状況報告書およびその資料
・後見人等候補者事情説明書
・親族の同意書
・戸籍謄本(本人および後見人等候補者の分)
・住民票(本人および後見人等候補者の分)
・本人の登記されていないことの証明書(法務局にて取得できます)
・成年後見用の診断書、診断書付票(主治医に作成してもらってください)
・愛の手帳の写し
などが必要となります。家庭裁判所によって必要書類が異なりますので、あらかじめ最寄りの家庭裁判所に確認しておきましょう。
・申立書(家庭裁判所に定型の書式があります)
・申立事情説明書
・親族関係図
・本人の財産目録およびその資料(登記事項証明書、通帳のコピーなど)
・本人の収支状況報告書およびその資料
・後見人等候補者事情説明書
・親族の同意書
・戸籍謄本(本人および後見人等候補者の分)
・住民票(本人および後見人等候補者の分)
・本人の登記されていないことの証明書(法務局にて取得できます)
・成年後見用の診断書、診断書付票(主治医に作成してもらってください)
・愛の手帳の写し
などが必要となります。家庭裁判所によって必要書類が異なりますので、あらかじめ最寄りの家庭裁判所に確認しておきましょう。
【費用】
・申立費用 800円
・切手代 3,000~5,000円(裁判所によって異なります)
・登記費用(収入印紙) 2,600円分
・(必要に応じて)鑑定費用 5~10万円
②家庭裁判所の調査官による事実の調査 本人、申立人、成年後見人候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます。
内容としては申し立ての経緯や、本人の生活状況や成年後見人候補者の生活や経済状況などだそうです。
内容としては申し立ての経緯や、本人の生活状況や成年後見人候補者の生活や経済状況などだそうです。
③精神鑑定 例えば本人が植物状態であり鑑定する必要が無い、医師からの診断書を提出されているためそれで足りている、などの理由により実際に鑑定が行われるのは1割程度です。④審判 申立書に記載した成年後見人候補者が選任されることが多いようです。
家庭裁判所の判断によっては、弁護士や司法書士等が選任されることもあります。
※法定相続人の中に意思能力のない相続人と成年後見人がいるような場合は、お互いの利益が対立する可能性がありますので、意思能力のない相続人の権利を守るため、特別代理人を選任する必要があります。⑤審判の告知と通知 裁判所から審判書謄本をもらいます。⑥法定後見開始 このような流れになっています。
申立から後見開始までは、事案にもよるそうですが、約8割が2か月程度の期間を要すると言います。そうなると、後述する相続税申告の期限に影響する可能性があります。ですので、相続開始までに成年後見人を選任しておく方が良いでしょう。
また、書類の作成や収集は大変な作業ですので、少し費用がかかってしまいますが、弁護士や司法書士に依頼すると良いと思います。相続税の障碍者控除
④審判 申立書に記載した成年後見人候補者が選任されることが多いようです。
家庭裁判所の判断によっては、弁護士や司法書士等が選任されることもあります。
※法定相続人の中に意思能力のない相続人と成年後見人がいるような場合は、お互いの利益が対立する可能性がありますので、意思能力のない相続人の権利を守るため、特別代理人を選任する必要があります。⑤審判の告知と通知 裁判所から審判書謄本をもらいます。⑥法定後見開始 このような流れになっています。
申立から後見開始までは、事案にもよるそうですが、約8割が2か月程度の期間を要すると言います。そうなると、後述する相続税申告の期限に影響する可能性があります。ですので、相続開始までに成年後見人を選任しておく方が良いでしょう。
また、書類の作成や収集は大変な作業ですので、少し費用がかかってしまいますが、弁護士や司法書士に依頼すると良いと思います。相続税の障碍者控除
家庭裁判所の判断によっては、弁護士や司法書士等が選任されることもあります。
※法定相続人の中に意思能力のない相続人と成年後見人がいるような場合は、お互いの利益が対立する可能性がありますので、意思能力のない相続人の権利を守るため、特別代理人を選任する必要があります。
⑤審判の告知と通知 裁判所から審判書謄本をもらいます。⑥法定後見開始 このような流れになっています。
申立から後見開始までは、事案にもよるそうですが、約8割が2か月程度の期間を要すると言います。そうなると、後述する相続税申告の期限に影響する可能性があります。ですので、相続開始までに成年後見人を選任しておく方が良いでしょう。
また、書類の作成や収集は大変な作業ですので、少し費用がかかってしまいますが、弁護士や司法書士に依頼すると良いと思います。相続税の障碍者控除
⑥法定後見開始 このような流れになっています。
申立から後見開始までは、事案にもよるそうですが、約8割が2か月程度の期間を要すると言います。そうなると、後述する相続税申告の期限に影響する可能性があります。ですので、相続開始までに成年後見人を選任しておく方が良いでしょう。
また、書類の作成や収集は大変な作業ですので、少し費用がかかってしまいますが、弁護士や司法書士に依頼すると良いと思います。相続税の障碍者控除
申立から後見開始までは、事案にもよるそうですが、約8割が2か月程度の期間を要すると言います。そうなると、後述する相続税申告の期限に影響する可能性があります。ですので、相続開始までに成年後見人を選任しておく方が良いでしょう。
また、書類の作成や収集は大変な作業ですので、少し費用がかかってしまいますが、弁護士や司法書士に依頼すると良いと思います。
相続税の障碍者控除
障碍者が、相続や遺贈によって財産を受け取る場合は、その相続税額から一定金額の控除を受けることができます。
●障碍者控除を受けられる条件 ①障碍者であること
②85歳未満であること
③法定相続人であること
④国内に住んでいること
●障碍者控除の控除額(平成27年1月1日以降の相続の場合)
①一般障碍者の場合
10万円×(85歳-相続開始時の年齢(※))
②85歳未満であること
③法定相続人であること
④国内に住んでいること
●障碍者控除の控除額(平成27年1月1日以降の相続の場合)
①一般障碍者の場合
10万円×(85歳-相続開始時の年齢(※))
①一般障碍者の場合
10万円×(85歳-相続開始時の年齢(※))
②特別障碍者の場合
20万円×(85歳-相続開始時の年齢(※))
※一年以上は切上げます。
例えば一般障碍者が33歳3ヶ月で相続した場合、
10万円×(85歳-33歳3ヶ月)=520万円
51年9か月=52年
が、控除額となります。
【一般障碍者】
・身体障害者手帳3級~6級の方。
・相談所や精神保健指定医の判定により、知的障害者とされた方のうち、重度の知的障害者とされた方以外の方。
・精神障害者保健福祉手帳2級~3級の方。など。
【特別障碍者】
・身体障害者手帳1級~2級の方。
・精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方、または、相談所や精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた方。
・精神障害者保健福祉手帳1級の方。など。
また、相続税の申告期限は被相続人(亡くなった方)が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。この期限内に相続税の申告をするためにも、成年後見人は被相続人の生前に決めておくことをおすすめします。
相続税額よりも障碍者控除額が多く余った場合、他の相続人の相続税を控除できる
もし、相続税の障碍者控除の額が障碍者本人の相続税より多かった場合は、その余った額を扶養義務者から控除することができます。
扶養義務者とは、配偶者又は民法に規定する親族(祖父母、父母、子、孫、兄弟姉妹および3親等内の親族で家庭裁判所が扶養義務を負わせたもの)のことをいいます。また、扶養義務者が複数人いる場合にはそれぞれの控除額の配分は協議によって決めることとなります。
ちなみに扶養義務者は実際に扶養しているかどうかは関係ありません。戸籍上で祖父母、父母、子、孫、兄弟姉妹であることがわかれば控除の対象となります。ただし、3親等内の親族に関しては家庭裁判所が扶養義務を負わせたものでないと、扶養義務者とはなりませんので控除の対象外です。
例えば、特別障害者の長女(35歳)の相続税600万円、健常者であるの長男の相続税600万円だった場合、長女の障碍者控除額は1,000万円となり、長女の相続税は0円となります。
そして使い切れなかった400万円分の控除は、長男の相続税から控除することができるというわけです。つまり、長男の相続税は200万円となります。
まとめ
障碍者の負担を減らすための控除ですが、控除を受けるためには成年後見人が必要であったりその成年後見人を選任するには時間がかかったりと簡単ではないことがわかります。
ただし、その控除額は大きなものですので、障碍者本人はもちろん扶養義務者も控除を受けられるのであれば、きちんと成年後見人を選び控除を受けられるようにしなければなりませんね。
遺産分割協議も障碍者控除も色々と複雑な面がありますので、専門の弁護士や税理士などに依頼するほうが確実で、手間が省けるかもしれません。
監修者
氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)
-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。