基本的に、法律として相続法というものはありません。
しかし、普段の生活に深く関係する、民法の第5編【相続】で決められている条文を、相続法と総称して言います。

 

相続法改正が総務省で議論されている

総務省の相続関係の法制審議会民法部会が、平成27年4月21日~平成28年3月28日まで19回トータルで行われて、一般的に相続法と言われている民法の第5編【相続】の改正のための動きが大きくなってきました。
ここでは、実際の相続法改正における課題とポイントについてご紹介しましょう。

相続法改正とは?

大幅な改正の検討が、相続についての法律について行われていることを知らない人もいるのではないでしょうか。
相続についての法律は、民法の第5編【相続】というところで決まっています。
相続法改正については、3分の1から2分の1に配偶者の法定相続分を引き上げる改正が昭和55年(1980年)にありました.

しかし、この後からは、35年以上大きな相続法改正はありませんでした。
この間に、大きく世の中の状況が変わって、高齢化が特に非常に進んでいます。
総務省の平成27年9月15日現在のデータによると、全体の人口の約27%が65歳以上で、1000万人を80歳以上の人がオーバーしました。
年齢が相続人も高くなっており、配偶者で高齢の人の生活を保障することが特に必要になってきています。
平均寿命は医療技術が進んだことによって延びましたが、高齢者で治療や介護が必要な人が増えて、成年後見人を認知症のために確保することも課題になっています。

しかも、再婚や熟年離婚が多くなっており、複雑な家族関係になっています。
このようなことから、相続法制検討ワーキングチームが学識者をメインに平成26年1月に発足し、検討が約1年間にわたって行われてきました。
具体的な相続法改正案に向けて法制審議会において平成27年4月から議論されて、中間試案としてある程度相続法改正案がまとめられたものが平成、28年6月21日に発表されました。

 

現在相続法改正で検討されていることは?

現在相続法改正で検討されている改正案は、次にご紹介するようなものです。

・配偶者の居住権を守るために長期、短期の配偶者の居住権を認める
・遺産分割を配偶者の貢献に応じたものにするために、1案としては配偶者が貢献した度合いを算定する、2案としては一定以上の婚姻期間の場合は、法定相続分を届出で多くする、3案としては一定以上の婚姻期間の場合は、法定相続分を自動的に多くする

なお、法定相続分というのは、相続人が子供と配偶者の場合は3分の2が配偶者になります。

・寄与分の見直しとしては、顕著な違いが療養看護にあると寄与分を認める
・相続人以外の人の貢献を寄与分として考慮するために、1案としては親族が二親等内の場合に認める、2案としては無償の労務のサービスの場合に認める
・遺留分の見直しとしては、遺留分の算定方法・範囲の見直し
・自筆証書遺言書の見直しとしては、パソコンで財産目録だけは作成できる
・自筆証書遺言書の保管としては、公的機関で保管する
・預貯金等の取扱いについては、遺産分割対象に預貯金をする

 

相続法改正のポイント

・配偶者の居住権の保障

相続が始まった際に、配偶者が無償で被相続人が持っている建物に住んでいた場合、遺言書がなければ建物の帰属が遺産分割によって決まるまでの間、あるいは遺言書があれば、例えば、6ヶ月間の一定期間、無償で続けて使えるようになります。
また、相続が始まった際に配偶者が住んでいた被相続人が持っている建物について、遺産分割あるいは遺言書において、配偶者に、その使用を終身あるいは一定期間認める権利が新しく設けられます。

・遺産分割の見直し

遺産分割の見直しとしては、配偶者の相続分を、財産が婚姻した後増えた場合に増加させる、あるいは、婚姻した後20年~30年の一定期間経った場合に増加させる、ということが行われます。

・遺言制度の見直し

遺言制度の見直しとしては、自署が財産目録などに関しては不要にする、加除訂正する方式を緩和する、自筆証書遺言を保管する制度を創設する、ことが挙げられます。

・相続人以外の貢献の配慮

相続人以外が、被相続人の財産を増加したり、維持したりすることに関して寄与を特別にした人がいる場合は、相続が始まった後、金銭の支払いをその人が相続人に対して請求できるように配慮されます。

 

相続法改正における課題とポイントのまとめ

相続法とは、普段の生活に深く関係する、民法の第5編【相続】で決められている条文を総称して言います。
具体的な相続法改正案に向けて、法制審議会において平成27年4月から議論されて、中間試案としてある程度相続法改正案がまとめられたものが、平成28年6月21日に発表されました。

現在、相続法改正で検討されている改正案は、配偶者の居住権を守るために長期、短期の配偶者の居住権を認める、ことなどがあります。
相続法改正のポイントは、配偶者の居住権の保障、遺産分割の見直し、遺言制度の見直し、相続人以外の貢献の配慮、になります。