遺産相続の際には、どのように遺産分割をするかということで、相続人の間でよく相続争いになることがあります。
そのため、遺産相続の際には、遺産分割協議で話し合いをする必要がありますが、どうしても話し合いがまとまらない場合は、遺産分割調停が必要になります。

遺産分割調停って?

遺産分割調停というのは、遺産相続について家族などの身内と納得できない場合に利用するものです。

簡単に言えば、相続人は自分の財産相続分について調停委員・裁判官に主張するものです。
調停委員は、裁判所から選出された医師・弁護士などの40歳以上の教養がある人がなります。
相続人のそれぞれの主張を客観的な立場で調停委員・裁判官が聞いて判断するので、遺産分割協議の話し合いでまとまらなかっても、ほとんどの場合は解決がスムーズにできます。

なお、遺産分割調停は、自分の主張を調停委員・裁判官に行うため、親族・家族関係を悪くしたくないために遺産分割協議では主張できなかったことも遠慮なく話ができたり、安い費用であったりするので、相続争いになった場合にはよく使われています。

 

調停の流れと期間

遺産分割調停の流れと期間は次にご紹介するようなものです。

➀遺産分割になる相続人や遺産を調べて確定します。
➁遺産分割調停申立書と関係資料を作って、遺産分割調停を管轄している家庭裁判所に申し立てします。
➂調停期日に弁護士と一緒に出席して、相手方の相続人と調停委員を介して話し合いをします。
➃話し合いの期間は、約3ヶ月~1年以上になります。
➄話し合いが成立すると、遺産分割調停も成立します。
もし、話し合いが成立しない場合は、遺産分割裁判期日に審判が下されます。

 

必要書類と費用は?

必ず必要な書類

・被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本の全て
・全員の相続人の戸籍謄本
・亡くなって代襲相続が生じていれば、亡くなった被代襲者が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本の全て
・全員の相続人の戸籍の附票あるいは住民票
・遺産についての証明書(不動産登記事項証明書、固定資産税評価証明書、残高証明書や預貯金通帳のコピーなど)
※添付書類で同じものは1通で問題なく、戸籍謄本は改製原戸籍謄本・除籍謄本でも問題ありません。

相続人の組み合わせで必要な書類

・父母(直系尊属)が相続人に含まれる場合は、相続人の直系尊属より下の代あるいは同じ代で亡くなっている人がいれば、その人が亡くなったことが書いてある戸籍謄本
・配偶者だけが相続人の場合や、兄弟姉妹(代襲相続による甥姪)が相続人に含まれる場合は、被相続人の父母が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本の全て、被相続人の直系尊属が亡くなったことが書いてある戸籍謄本、被相続人の兄弟姉妹で亡くなった人がいれば、その人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本の全て、代襲者の甥姪に亡くなった人がいれば、その人が亡くなっことが書いてある戸籍謄本

※このような書類以外に、事案によって、相続税申告書、預貯金の残高証明書などが必要な場合があります。
遺産分割調停の申立手数料は、1人の被相続人について収入印紙の1,200円分と、連絡用の当事者数分の郵便切手代のみであるため、1万円をよほどのことがないとオーバーしないでしょう。

 

遺産分割調停を申し立てる時に知っておきたいこと

遺産分割調停を申し立てる時に知っておきたいことは、次にご紹介するようなものなどがありますが、詳しいことについてはネットなどで確認しておきましょう。

・遺言書は絶対に効力があるか?
・被相続人の財産をチェックする方法
・相続人は慎重に確定する
・遺産分割調停は代理人として弁護士がおすすめである

 

遺産分割調停を自分の有利になるように進める方法

遺産分割調停を自分の有利になるように進める方法としては、次にご紹介するようなものなどがあります。

・強硬的にならない
・正直に相続や相続財産については話す
・自分の主張は節度を守って遠慮なく伝える
・要望が全て通ると考えない
・メモで話しにくいことは整理する
・一人で対応できなれば弁護士に相談する

 

それでも解決しない場合もある

遺産分割調停は、基本的に、当事者自身が参加することが義務化されています。
しかし、弁護士が一緒に参加することも認可されているため、一人で無理して参加しないで弁護士に相談するのもいいでしょう。
また、弁護士に依頼する際は、十分に費用面などについても検討しておきましょう。

 

遺産分割調停費用から流れのまとめ

遺産分割調停は、それほど難しいものではありません。
しかし、論理的に法律的な根拠をベースに主張して、相手方の相続人や裁判官に納得してもらうことが、必ず必要です。
また、遺産分割調停が成立しなくて審判に移ると、一般的に、主張が調停よりも難しくなります。
そのため、心配な場合は相続に強い専門家が在籍する当センターにご相談ください。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。