相続登記とは何?

相続登記を先延ばしにしていると将来的に相続人同士でもめる原因になってしまうかもしれません。相続登記とは不動産の名義を被相続人から相続人へ名義変更することを言います。相続人が被相続人から相続すれば相続登記が必要になるということですね。名義変更と聞くと必ず行わなければいけないことだと思いますよね。そんなことがないのが相続登記の不思議なところです。相続登記に関しては明確にいつまでに相続登記しなければいけないということは決められていないのです。結果として相続登記をしないで放置しておいても何も罰則はないですし実際に相続登記されていない不動産は日本国内いたるところにあります。相続登記しなくても日本国憲法上では何ら問題はありません。問題の本質はもっと身近なところにあります。

相続登記をしないで放置しておくと将来的に相続人同士でトラブルになってしまうことがあるのです。後々相続人同士でトラブルになるのを避けるには相続が判明したときに不動産登記を早期に完了させることです。兄弟と不動産の土地を分けるときには遺産分割協議書を作成するようにしましょう。遺産分割協議書を作成しておくと法務局へ申請したことになり効力を発揮します。この遺産分割協議書を作らないで相続登記もしていないと第三者から土地の所有権を主張されても正当化できません。
遺産分割協議書を作成するために必要なのは遺産分割協議書の対象となる兄弟や家族全員分の実印と印鑑証明書です。実印・印鑑証明書を全て用意するので遺産分割協議書の対象となる人全員の同意も必要になりますね。

相続登記の流れ

相続登記の重要性についてはわかりましたか?では、相続登記を自分で行うにはどのような手順で行えばよいのでしょうか。


各ステップについて細かく見ていきましょう。

Step1:被相続人と相続人の必要書類を集める

最初に行うのは被相続人と相続人の戸籍標本を集めることです。戸籍標本を取り寄せる理由は隠し子がいないかといったことを調べるためです。隠し子がいないか調べるのは相続人たちではなく法務局です。被相続人の戸籍標本は1つではなく生まれてから今までで取り寄せられる戸籍全てを取り寄せなければいけません。ちなみに戸籍標本を取りに行くには平日でないといけないので仕事をしている人は休んで行くことになります。被相続人が転勤など多く戸籍がよく移動していた人の場合は全国から戸籍標本を取り寄せなければいけません。
被相続人は生まれてから全ての戸籍を取り寄せる必要がありましたが相続人は1つだけで良いです。

Step2:相続人で遺産分割協議書作成

相続人全員で遺産分割協議書を作成しますが、ここが一番問題になると思われます。戸籍標本を取りに行くのは時間を作ればできますがもし相続でもめてしまえば時間が経ってもどうにもなりませんよね。
誰が土地のどこからどこまでもらうのか、不動産は誰のものになるのかなど登記に関わる相続登記のことは全て決めておくようにしましょう。また遺産分割協議書が無効になると相続登記自体も振り出しに戻ってしまいます。

Step3:遺産分割協議書へ署名・捺印

遺産分割協議書の作成ができたら相続人全員分の実印を遺産分割協議書に捺印します。実印と一緒に印鑑証明書も発行して持ってきてもらうようにしましょう。さらに遺産分割協議書に自署をもらう必要もあります。もし、相続人の中に未成年がいる場合は特別代理人という人を家庭裁判所から選任してもらい遺産分割協議書にサインを行います。遺産分割協議書は実印を使用するほど大きな意味を持つ書類ということですね。

Step4:固定資産税の証明書を発行

相続登記をするには登録免許税を支払わなければいけません。相続登記をするには納税金額を適切に計算するため固定資産税の証明書を発行してもらう必要があります。この固定資産税の証明書も役所で平日でないと発行してもらえません。戸籍を取りに行くとき一緒に発行してもらうと楽ですね。

Step5:登記申請

ここまで書類が揃えば登記申請ができます。登記申請をしに行くのも平日でなければ法務局が空いていません。さらに自分の最寄りではなく、相続登記する不動産の管轄する地域の法務局へ行かなければいけないので時間を作る必要があります。

Step6:修正・完了

登記申請が完了したと思っていても書類に不備があれば法務局からお呼び出しがあります。法務局に提出する書類は厳格で、1文字のミスでも訂正印を押しに行かなければいけません。自分だけのミスであれば時間の調整をつければ良いですが、他の相続人の印鑑も必要となれば一度登記申請を取り下げてから相続人にまた集まってもらい実印を押す必要がありますね。
相続登記が無事完了すると登記識別情報というのがもらえます。それと同時に登記事項証明書も発行されます。登記事項証明書があれば銀行の名義変更等も問題なく行えます。いわゆる相続したという証明書ですね。

土地の相続で必要なのは名義変更手続き

土地を相続する上で名義変更は必ず行った方が良いです。相続をして名義変更をするには相続登記をする必要がありますが相続登記の方法は前述で紹介してありますね。
では、相続登記をする上でかかる費用はいくらくらいなのでしょうか。基本的に自分で相続登記をする設定で話を進めていきます。相続登記の登記申請をすると登録免許税がかかります。登録免許税は相続登記する物件の固定資産税の0.4%です。そのため固定資産税の証明書を発行する必要があるのです。他にも相続登記する際に必要になる書類がありましたよね?戸籍や住民票や各種証明書です。これらを全て請求しても数千円程度です。
しかし、一人で登記申請するには時間がない人は司法書士や弁護士へ相談すると良いです。司法書士も弁護士も相続を専門にしているので相続登記に必要な遺産分割協議書の作成に慣れています。士業に書類作成や登記申請代行を依頼すると1か所の登記申請につき5万円前後費用が発生します。

不動産を相続した場合にかかる税金の一覧

不動産を相続すると相続税が発生します。相続税は不動産を相続した人全員に加算されるものではなく実際に相続税が加算されているのは全体の5%程度とも言われています。では、残り95%の人はなぜ相続税を支払わなくてよいのでしょうか。それは相続税に基礎控除があるからです。確定申告でも基礎控除ってありますよね?それと同じ意味での基礎控除です。基礎控除はその価格から基礎控除分を引いた金額で確定申告できるといったものです。

相続税は被相続人の持っている総資産が基礎控除額を超えていると加算されます。
『相続税の基礎控除額=3000万円+600万×相続人の数』で計算できます。もし相続人が1人だった場合は相続税の基礎控除額は3600万円です。3600万円よりも被相続人の総資産が低かったら相続税が加算されません。
では総資産の計算はどうするのでしょうか。資産が現金で残っている場合は楽ですよね。その金額が丸ごと総資産になります。では不動産ではどうでしょうか。値段が変動する不動産は固定資産税評価額の1.14倍にして計算するようにしましょう。ただしこれはあくまで一つの方法なので正確な評価額は査定してもらう必要が有ります。

土地を売却するためにも相続登記が必要

土地を相続したけど使う予定がないのですぐに売却したいと考えることがありますよね。そんな時、すぐに売却したくても相続登記していなければ売却することができません。被相続人は亡くなっていて所有者不明の不動産になっている状態で誰か所有者が登記されないと売却できません。
相続してもすぐには売却できないということを十分に理解しておきましょう。

まとめ

不動産を相続したらできるだけ早期に相続登記をするようにしましょう。相続登記をしなければ後々相続人同士でトラブルが起きる可能性があります。また、第三者に不動産の所有を宣言されたら物言いもできない可能性があります。

さらに相続をしてすぐに不動産を売却しようと思っても相続登記をするまでの時間がかかってしまいます。相続登記をするには個人でもできますが必要書類を揃えるためには平日に市役所や法務局に行かなければいけません。時間を作るのが大変な人は相続に強い専門家が在籍する当センターにご相談いただければ相続登記を代理などもご紹介できます。登記申請や相続に強い専門家だからこそ任せられる仕事があるでしょう。兄弟で相続する不動産を分割する際に作成する遺産分割協議書では相続人同士で話し合いが必要です。相続人同士での話し合いが難航した場合でも相続に強い専門家に間に入ってもらうことで円滑に話が進むようになるかもしれません。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。