最近は、ネットの掲示板にもいろいろなものが投稿されています。
このようなネットの掲示板では、話題になっているものも多くあります。
ここでは、ネットの掲示板で話題になった主婦の投稿についてご紹介しましょう。

夫が余命宣告をガンのために受けたため、「残っている人生は、ガンが転移したので愛人と一緒に暮らす」というようなことを夫から言われた主婦がネットの掲示板に投稿したものが話題になりました。
ガンがすでに転移してしまっていることや離婚して愛人と結婚したいことを、夫から言われたそうです。
しかし、妻は夫と話し合いをその後行った結果、結婚する意思が愛人にはなかったため、離婚するリスクはとりあえず避けることができました。

「馬鹿な主人ですが、非常に好きなのですよ」「自分が代わってガンになってあげたいほどです」と主婦は投稿していました。
一方、別の人の意見としては、将来的に夫が財産を愛人に渡すリスクがあることを指摘していました。
「勝手に夫が財産を愛人に渡さないように、子供のためにも財産を守ることを検討しておく方がいい」と忠告していました。

夫が「財産を愛人に渡したい」と希望すると妻は阻むことは可能か?

では、夫が万一「財産を愛人に渡したい」と希望すると、妻はこれを阻むことは可能なのでしょうか?
財産を愛人に渡したいという遺贈あるいは贈与そのものは、夫が勝手に妻の関与なしにできます。
財産を愛人に渡す遺言書などについては、遺言効力がなく、公序良俗に反すると思われがちです。
しかし、このような考え方は、必ずしも実務の場合には取られていません。
遺贈あるいは贈与が、財産を夫が愛人に渡す方法としては考えられます。

遺贈というのは?

財産を遺言書によって相手に譲ることで、一方、贈与というのは、契約によって生きているうちに財産を相手に譲ることです。
贈与の場合は、一種の契約であり、夫と愛人が合意することが必要です。
一方、遺贈の場合は、単独の遺言書を書くという行いであり、ポイントは一方的に夫ができることです。
ここでは、最高裁判所の判例を参考までにご紹介しましょう。
男性が、一定割合の財産を愛人の女性に遺贈するという遺言書を書いていたケースです。

最高裁判所としては、次にご紹介するような判断を遺贈の目的を重要視して示しました。

・遺贈として愛人関係を続けるためのものは無効である
・遺贈が遺贈を受ける愛人の女性の暮らしを守るためのもので、相続人の妻子などの暮らしの基盤が脅かされるような遺言書の内容になっていない場合は、有効になることがある

※なお、贈与の場合でも、このような考え方は同じように適用になると考えられます。
このような最高裁判所の判断から、夫は遺言書あるいは贈与によって、財産を愛人に渡すことが目的によってはできるようになります。
遺贈あるいは贈与そのものは、夫が勝手に妻の関与なしに行うことが可能であるため、前もってこれを妻として阻むことは難しいことです。
そのため、このようなことが起きた時には、ほとんどの場合は無効であることを事後的に主張するようになると考えられます。
妻としては、当然ですが、贈与あるいは遺贈などを行わないように、夫とまずは十分に話し合いましょう。

例えば、愛人が住んでいるところが分かっている場合には、愛人に対して、贈与を夫から受けないように「愛人関係を夫と解消する」「贈与した財産の返還請求を予告する」「慰謝料を請求する」というような内容証明郵便を送って要求しておくことが考えられます。
なお、遺贈がもし有効になった場合でも、遺留分に相当する額は離婚をしていない場合には認められます。
そのため、勝手に離婚届を夫が提出しないように、離婚届を受理しないことを申し出しておくことも大切です。
ここでご紹介したように、財産を愛人に渡したいという遺贈あるいは贈与そのものは、夫が勝手に妻の関与なしにできるため注意しましょう。

 

紛争にならないように相続については十分に把握しておく

財産を愛人に渡したいという遺贈で紛争にならないように、相続については十分に把握しておきましょう。
相続というのは、被相続人の財産やいろいろ義務・権利を、相続人が受け継ぐことです。
生前に被相続人が持っていた財産を、法定相続人である配偶者や子供、孫が受け継ぐことで、この権利を相続権と言います。

 

注意点

複数の相続人がいる場合は、財産の全ては全員の相続人の共有物になり、遺産分割が終了するまで、勝手に1人の相続人が財産の処分はできません。
相続の場合には、全員の相続人で「どのように財産を相続するか」ということを、話し合いをして決定する必要があります。
そのため、相続の場合は、「相続は誰ができて、できないのは誰か」「どのようなものが相続できて、どのようなものが相続できないか」「どのようにして相続するか」を把握することが大切になります。
相続で困っている場合には、当センターに相談するのがおすすめです。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。