親が認知症になったら自分たちでは回避できない5つのリスク

親がある日突然認知症になったとしたらみなさんはどうしますか?認知症には進行程度もありますが息子や娘のことがわからなくなる可能性がゼロではないです。認知症じゃないの?と疑っている分にはまだ大丈夫ですが医療機関で「認知症」と診断されてしまうと残された人だけではどうすることもできないリスクは5つあるのです。

リスク①:生活費や介護費用など預金が下ろせない

認知症は記憶力や理解力が落ちていく病気です。そのため判断能力の低下も症状の一つとして認められています。金融機関が認知症患者と認定してしまうと財産を下すことができず生活費や介護費用に回すことができなくなってしまいます。バレていなければ大丈夫とATMなどでキャッシュカードを使用して降ろすと金融機関とのトラブルになることもあるので注意が必要です。

リスク②:介護施設の入居費等のまとまったお金の準備に実家が売却できない

介護施設に入居するにもまとまったお金が必要になることがあります。そこでまとまったお金を作るために実家やそのひとが住んでいる家・土地を売ろうと考えるかもしれませんよね。しかし、家や土地の名義が両親の場合どうでしょう。売るにしても両親の許可が必要になります。認知症患者になっているとこの土地や家を売る契約をすることが難しくなってしまうのです。

リスク③:「介護をすると相続財産を多くなる」と勘違いして家族間でもめる

通常の介護だけでも大変なのに認知症になってしまったらさらに大変です。排泄が自分できなくなればオムツ交換をしなければいけませんし、徘徊するようならつきっきりで介護する必要があります。そこで介護をすれば財産分与が増えるのではと考える家族が出てくるリスクがあるのです。
実際は家族間の話し合いなので各家族で決まるでしょうが、もし分与額が少なかったらトラブルになるでしょう。

リスク④:財産の全容が把握できず相続手続きがすすまない

親が一人暮らしだった場合は財産がどれくらいあるのか十分に把握できていないことが多いです。認知症の症状が進み嘘を言っているのか本当のことを言っているのか、まだ言い忘れがあるのかわからなくなってしまいます。財産分与で全財産を把握していないというのは贈与税や名義変更にも大きく影響してきますね。

リスク⑤:ご両親と同居していた実家を売却しないと相続できない

長男が実家で親と同居して、他の兄弟は外に出ている場合などは実家を売却してしまうと長男の住む家がなくなってしまいます。しかし、親の財産は実家程度しかない場合は他の兄弟へ上手に財産分与ができないのです。
こういうリスクを避けるためにも生前に「実家は長男へ渡す」など細かく明記しておく必要がありますね。

「任意後見人」を活用して支援者や財産管理の方法を決めておく

認知症になる前にしか適用できない制度ですが任意後見人制度というものがあります、成年後見人と聞くと「そんな制度は必要ない」と思われる人がいますが、任意後見人は親の家族の財産を分与するために必要なものです。
任意後見人制度は認知症になる前でなければ利用できません。ただし親がもし認知症や植物人間状態になってしまった時には意思を尊重した財産分与や介護費用・不動産の管理などをしてくれるので子供達も親も安心できますね。
ただし、任意で選ばれた人には少し重荷な役割になってしまう他、まだこの制度を知らない人が多いのが現状です。

「任意後見人」は支援者・支援内容を親自身が自由に決めることができる

任意後見人は親が自由に決めることができます。自分の意思でできる限りの支援をしてもらうのです。ただし口約束ではなく任意後見人になる人と任意後見人契約を交わすことが必須です。
これでもし認知症になっても契約書の内容に沿って任意後見人が財産の管理を進めていきます。
契約できる内容は財産の管理と生活や介護のサポートに分けることができます。財産管理は不動産や預貯金の管理、年金の管理、支払い関係を支払うなどが挙げられます。
生活や介護のサポートでは老人施設の手続き、介護認定の申請、医療契約や入院手続き・病院の支払いなどがあります。
任意後見人と契約する際には公証役場へ行き、任意後見人の公正証書を作成してもらって登記するようにしましょう。さらに任意後見人がお金をしっかり管理して契約書通りの内容で遂行しているかを監視する人を家庭裁判所から選定してもらう必要があります。
任意後見人を監督する人は4親等以内の親族から選ぶのが一般的です。

「任意後見人」は家族や友人でもなれる

任意後見人制度の良い点は弁護士や司法書士などではなく家族や友人など親の意思を尊重することができる点です。あくまでもしもの際に利用するもので個人間の契約が大きい任意後見人制度では親の意思を尊重することが特徴でありメリットでもあるのです。
しかし、その分任意後見人となった人が親のお金を使い込んでしまっても判明することが難しいという側面も持っています。やはり財産分与や生活介護のサポートを任せる人を選定するのは良いことですが全財産分は家族間で共有しておいても良いのかもしれませんね。
さらに親の意思を尊重することは大切ですが任意後見人の人選には家族も関わり家族の総意で一任する方がトラブルが少なくて良いと思います。

「任意後見人」は財産管理・不動産売却もできる

任意後見人は家族でもできないことができてしまいます。例えば認知症になってしまった親の口座からお金を引き出すことは家族でもできません。無論親でもできません。
しかし、任意後見人であれば生活費のため、介護施設入居のためなどと理由があればお金を引き出すことができるのです。
また、介護施設へ入る際に必要な頭金などを工面するために家や土地を売るようにと任意契約書に書いてあれば任意後見人の判断で土地や家など不動産を売却することもできるのです。

「任意後見人」は不利な契約の取り消しは別の対策が必要

任意後見人は何でもできるという印象を受ける人が多いですが、最終的な法的権限はありません。あくまで認知症になってしまった人の生活や介護をサポートする立場にあるだけでその人全てをコントロールできるわけではないのです。
認知症の親にマルチ商法やオレオレ詐欺・高額なものを売りつけるといった被害が出ても任意後見人は取り下げることができないというのが現状の課題です。
そういった被害から親を守るためには子供や介護する人が近くで見ていてあげなければいけません。

まとめ

親が突然認知症になると親の介護だけでなく相続や不動産の管理も問題になりますね。そんな時には任意後見人制度を使いましょう。任意後見人制度は身内だけでなく友達にも後見人になってもらうことができるので身寄りがいない人でも安心できます。この制度の特徴は本人の意思を尊重できるということです。しかし、どうしても後見人が不正をしないというわけではないです。そのため後見人を監視する役を身内から選択できます。
後見人は認知症になった際に財産を引き落とす・老人施設などへの入居の手続きや支払いをする際に親のサポートをしてくれます。その一方で金銭の管理など全てを任せられるので不正使用と思えばし放題なのです。認知症になった際にしか任意後見人として機能しないので基本的には問題ないですが、万が一のことを考えると身内や信頼出来る友達に任せるのが良いですね。
ただしこの任意後見人制度はまだ発展途上の制度なので知らない人が多いですが是非この記事を読んで任意後見人制度を利用する人が増えてほしいです。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続には様々な形があり、手続きや申請方法もケースによって異なります。専門知識が無い方は申請書の不備等で無駄な費用が掛かってしまう可能性もありますのでしっかりと相談することをおすすめします。