1.相続した不動産を売却する大まかな手順

不動産を相続したらどのような流れで売却をしていけばよいのでしょうか。実際に相続しても自分が遠方に住んでいて管理できる人がいなかったり、すぐに資産に変えたい場合は売却したいですよね。相続してもすぐに不動産を売却できないことを知っていましたか?不動産を売却するまでの流れをここでは紹介していきます。

Step1:相続登記

不動産を売却するには相続登記をしなければいけません。不動産の名義が自分のものでなければ売却も何もできませんよね?相続が決まった段階で被相続人は亡くなっているので名義変更をしなければ不動産を売却することができません。相続登記をするには相続人同士で話合う必要だけでなく遺産分割協議書を作成しなければいけません。遺産分割協議書については後述を参考にしてください。

Step2:査定依頼

不動産を売却しようにも査定額は不明では売れません。そこで不動産の価格がいくらほどなのか査定を依頼しましょう。査定は不動産会社でもできますが、不動産鑑定士という国家試験の所有者に鑑定してもらうと正確な査定額が出ます。またその不動産だけでは査定額が適正か不明なので周辺の不動産の査定額も参考にします。

Step3:不動産業者との契約

不動産会社との契約は不動産を売却する上で必要不可欠です。不動産会社には得意不得意があります。売却を考えている地域に強い不動産会社がいればそう言った会社を選ぶようにしましょう。

Step4:売買価格の決定

売買価格の決定は慎重にしましょう。相続した不動産を売却するには目的が大きく分けて2種類あると思います。管理できないのでこれを機に売却してしまうというパターンと売却してそのお金を相続しようというパターンです。どちらにせよ資産になるので適正価格で売却するようにしましょう。とは言っても不動産の売買は経験している方のほうが少ないです。適正価格や相場との相違を調べるために複数社に見積もりを出すようにもしましょう。

Step5:購入希望者の内覧

購入者が一度も現物を見ないで購入することは考えにくいです。購入者が買いたくなるよう室内は清潔に保っておきいつ内覧に来ても良いようにしましょう。

Step6:売買契約

実際に購入者が決まったら売買契約を行います。売買契約をする際には仲介契約を結んでいる不動産会社に仲介してもらうと円滑に進みます。

Step7:引き渡し

不動産の引き渡しまでには必要な書類を用意しときましょう。また不動産取引において家具や移動しておかなければいけないものなど制約がある場合はあらかじめ対処しておくことも必要です。引き渡し日からは購入者のものになるので元所有者だから取って自由にできません。

2.相続人で遺産分割協議

相続した不動産を売却するための第一歩は名義変更です。名義変更をするためには相続人同士で集まり話し合う必要があります。被相続人(故人)の意思が遺言書などで確認できれば遺言書を尊重した相続をするのがベストです。

遺言書が存在しない場合は相続人が集まり法定相続をします。法定相続とは相続人が基本的に均等に財産を得ることです。残された遺産が不動産だけだった場合は均等に分けることが難しくトラブルになる可能性があります。そこで不動産を売却し資産に変えて相続人で分配する方法がとられるかもしれません。どちらにせよ相続した不動産を売却しようとするのなら名義変更をしなければ売却できないのです。

相続の名義変更をすることを相続登記と言います。相続登記するには相続人の総意で名義変更する旨を証明する遺産分割協議書を作成し法務局へ提出しなければいけません。遺産分割協議書の作成には相続人の総意が必要で、全員の実印も押さなければ効力が発揮しません。相続人が決まったら速やかに遺産分割協議書を作成して法務局へ相続登記へ行きましょう。

3.名義人を変更

相続登記では名義人を変更します。新たな名義人になる相続人は自身の戸籍謄本と一緒に住民票も持参しましょう。そして絶対に忘れてはいけないのが遺産分割協議書です。

これがなければ法務局は勝手に相続しようとしていると勘違いしてしまいます。

相続登記をするには相続人だけでなく被相続人の戸籍謄本や相続する不動産の登記関連の書類や固定資産税証明書も必要です。これらの書類は取りに行くには時間がかかり手間になるので代行してもらうこともできます。

代行してくれるのは司法書士・弁護士など士業の専門家です。

4.仲介業者に売却を依頼する

新しく相続する人が名義変更をすると売却でも賃貸でも好きなようにできます。ここでポイントなのは固定資産税は新しく相続した名義人が支払うということです。

不動産を売却しようにも素人では取引できないので不動産会社など仲介会社に入ってもらいます。そこでまずは仲介会社となる不動産会社を探しましょう。不動産会社一つで売買価格にも大きく影響し、売れる時期にも差が出てきます。不動産の種類や地域を見てその地域につい良い不動産会社を選ぶようにしましょう。

不動産売却を複数の会社に依頼するとどうでしょうか。複数の会社の売却を依頼すると査定額にばらつきが出てきます。中には相場と大きくかけ離れて「売れない」と感じてしまうほど高い金額を提示してくる会社もあるので参考程度にご自身の不動産と似たような条件の不動産を調べて売値を見ておきましょう。不動産は同じものがなく道や最寄駅からのアクセスなど様々な要因で価格が決まってきます。同じ価格条件はないですが似たような価格にはなるので、そう言った相場も加味しながら不動産会社を選ぶようにしましょう。

5.不動産を売却する

名義変更も終わり仲介業者も決まったら不動産を売却していきましょう。地方では高値で売却できない可能性が高いですが維持費を考えれば売却してしまった方が良いです。実際にそのエリアでの売買実績が豊富な不動産会社を選ぶことで円滑にまた高額に不動産売買が実現できるのではないでしょうか。

不動産売買の途中で売却価格を下げるような提案があるかもしれませんが、不動産会社とよく相談しあって決めてください。相続するための資金作りの場合は他の相続人とも相談しないと後々揉め事になってしまう可能性があります。

6.確定申告・納税をする

不動産を売却すると分離課税という税金がかかります。これは所得税など諸々の税金とは別途で納める必要があります。不動産売却をして生じた売却利益に対して確定申告を行い所得税と復興税を支払うことになっています。

不動産を売却して利益が生じなかった場合は原則として申告の必要性はないですが、税務署はその人がいくら損しているのかわかりませんよね。そのため利益が発生していないにせよ利益が出ていないことをアピールする意味で確定申告をする必要があると思います。

7.相続不動産の売却のコツ

相続不動産を売却するには早く名義変更するのが大切です。そして名義変更の手続きをしている間に仲介不動産会社を選定していると無駄な時間を過ごさず売却へのステップを踏めるのではないでしょうか。

仲介不動産会社については売却予定の不動産が得意な不動産会社を選ぶようにしましょう。不動産会社による一括査定が出来るサイトがありますが、そういうサイトの中には絶対に売れないような高額を出してきて顧客確保を狙っている会社があります。悪質な不動産会社に騙されないためには近くの相場と査定額を比較してください。不動産は一概に価格を決めることはできませんが同じような広さの物件、土地であればある程度の価格内で収まります。相場の価格と大きくかけ離れている場合は悪質な業者の場合が考えられます。また、取り扱うものが不動産だとしても最終的には人間同士の付き合いが大切になります。不動産会社の営業担当がしっかりとマナー等守れなければ契約を見送るようにしましょう。

まとめ

相続不動産を売却したい背景には様々な思いがあります。資産に変えて分配相続したい人もいればただ相続した不動産を売却したいと思っている人もいるでしょう。どちらにしても不動産を売却するには早めに名義変更すると円滑に売却できます。

不動産売却は素人で行うにはレベルが高すぎるので不動産売買のプロを仲介会社として入れるようにしましょう。不動産会社の選び方は知り合いの紹介、地元の大手不動産会社など様々ですが中には悪質な不動産会社も存在しています。悪質な会社に騙されないように気をつけましょう。

不動産を相続しても100%自分の希望金額で売れるわけではないです。値段交渉をされた際には売れないことと天秤にかけて値段交渉をしましょう。しっかりとした査定を希望する方は不動産会社の査定ではなく不動産鑑定士による査定を受けるようにしましょう。

監修者

氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)

-コメント-
相続問題は、家族や親族がお亡くなりの際、必ず発生します。誰にとっても、将来必ず訪れる問題だと言えます。わからないことや不明点は積極的に専門家へお尋ねすることをおすすめします。