あのさ、うちのお父さん、家を持っているんだけどね…」 「どうしたの?」「もう年だし、病気しちゃった後に『そろそろ終活しなきゃな。この家をどうするか考えなきゃいけないな。』なんて言い出しちゃって。」 「あんまり考えたくない問題ではあるわね…。」 「そうなのよ…。でも放っておける問題でもないからって思って色々調べたんだけど、お父さんが亡くなってから相続するのが良いのか、それとも生きている間に贈与してもらうのが良いのか…とか、色々難しくて。相続か贈与かで税金も違ってくるみたいだし、どうしたらいいのかわからなくなってきちゃったの。 しかも遠方に住んでいるから、家を相続したとしてもそこに済むわけにいかないし、売ることになると思うんだけど、兄弟とそのことで揉めちゃったらどうしようとか、悩みが尽きなくって…。」 「そっか…。家を持っていると、そういう悩みが出てきちゃうんだね。私もしっかりと勉強しておかないといけないね。」 |
これから直面する相続。
初めて相続するときには、何をどのようにすればいいのかわからないことだらけだと思います。
どんな手続きが必要なのか、どれぐらいの費用がかかるのか、不動産を分割するにはどうすればいいのか…など、わからないことを解消していきましょう。
「親名義の不動産を相続する(した)場合の不動産売却」
こんな人は一度相談してみませんか?
・相続した土地や建物などを売って資産活用したい
・親が施設に移るためその費用を捻出したい
・複数の相続人で早期に売却代金を分割したい
・建物が古く老朽化し、個人に見せたくない
・遺産の際に出る不用品や家財も同時に処分してほしい
・物納(現金によっても延納によっても相続税の納税が困難な場合に、現物で相続税を納めること)するか悩んでいる
等々、相続した後にもさまざまな悩みが出てきます。
まずは不動産の価値を知ることが大切です。物納するよりも買い取りのほうが金額が良かったなどということもあります。
一度相続専門のプロに相談してみてはいかがでしょうか?
親名義の不動産を相続する方法は
相続するためにはまず【名義変更(相続登記)】が必要です。
不動産を相続したら、法務局にて所有権移転登記の手続きが必要です。
所有権移転登記とは、所有権の名義変更の事です。
この所有権移転登記をすることにより、不動産の所有権が被相続人(亡くなった方)から相続人(被相続人の死亡により、その財産を継承する人)に移ります。これは「相続登記」と呼ばれるものです。
また、生きている間に子や孫などに不動産を譲ることもできます。これは「生前贈与」といい、この場合にも所有権移転登記の手続きが必要となります。
では、その「相続登記」や「生前贈与」をするには、どのような書類が必要なのか、どのような手続きが必要なのか、またどのようなパターンがあるのかなど、詳しく見ていきましょう。
不動産名義変更の登記に必要な書類
◆相続登記◆
相続登記をするにあたって、様々な書類を用意する必要があります。
どのように相続したかによって必要書類が変わってきますので、パターンごとに確認していきましょう。
①法定相続分(※)どおりに相続した場合 ※民法に定められた遺産の相続割合の事。
●登記申請書
●添付書類
・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までがわかるもの)や除籍謄本
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・相続人全員の住民票の写し
・固定資産評価証明書
・(代理人が申請する場合)委任状
●登録免許税(詳細は後述します)
●(あれば)登記識別情報(昔で言う権利書の事です。無くても登記はできますが、あったほうが良いです。)
②遺産分割協議によって相続した場合
●登記申請書
●添付書類
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までがわかるもの)や除籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の住民票の写し
- 固定資産評価証明書
- (代理人が申請する場合)委任状
●登録免許税(詳細は後述します)
●(あれば)登記識別情報
以上の書類などが必要になります。
また、相続登記をする時に注意する点がいくつかあります。
まずは、相続登記は、相続人全員で手続きをする必要があります。相続人の誰か、または司法書士に委任することが可能ですが、その際は委任状が必要です。
そして、登記申請手続きは、不動産の所在地で行わなければなりません。例えば相続人が東京に住んでいても、被相続人が大阪に不動産を持っていた場合、大阪の法務局に登記申請手続きをしに行かなければならないということです。(郵送によっても申請することも可能です。)
さらに注意が必要なのが、大阪だったら大阪法務局に登記申請手続きをすればよいというわけではなく、不動産の所在地によっては大阪法務局の管内の別の法務局(支局や出張所など)が管轄しています。その場合は、該当の法務局に申請をしなければならないという点です。
もうひとつ、気を付けなければならないのが、長年にわたって相続登記が行われていなかった場合です。
例えば父親が亡くなったので相続登記をしようとしたところ、相続する不動産が父親名義ではなく、父親より先に亡くなっていた祖父の名義になっていたという場合です。
その場合にやることは、
①祖父が亡くなった時点の法定相続人(※)を確認する。
②父親が祖父の遺産のすべてを相続しておらず、他の相続人がいた場合(父親のきょうだい等。共同相続人と言います。)は、該当する相続人全員の戸籍謄本と住民票の写しを用意する。
③共同相続人がいる場合、遺産分割協議(後述)が行われることがあるので、その場合は遺産分割協議書を用意する。
などです。この場合大変なのは、亡くなった父親が高齢だった場合、兄弟同じように高齢で、すでに亡くなっているケースです。そうなると亡くなった父親の兄弟の、顔も知らないような子供や配偶者との間で遺産分割協議書を作成したりする必要が出てきます。
◆生前贈与◆
生前贈与の申請をする際に必要な書類は以下のものになります。
●登記申請書
●添付書類
- 登記原因証明情報(いつ、誰から誰に、どの不動産を贈与した結果所有権が移転したかという事を証明するために作成する書類です。贈与契約書を作成した場合は原本が必要です。)
- 贈与者(不動産をあげる人)の印鑑証明書
- 受贈者(不動産をもらう人)の住民票の写し
- (代理人が申請する場合)贈与者・受贈者双方の委任状
- 固定資産評価証明書
●登録免許税(詳細は後述します)
●登記識別情報(無くても登記はできますが、生前贈与の登記をする際に登記識別情報を紛失している場合、後日法務局から本当に贈与登記をすることは間違いないかという確認の為に、贈与者本人宛に本人限定郵便が届きます。中に入っている「事前通知」の紙を法務局に返送してからの登記作業再開となりますので、時間がかかります。)
生前贈与も、相続登記と同じく、贈与者と受贈者が共同で申請をしなければなりません。どちらかに、または司法書士などに委任することも可能ですが、その際は委任状が必要です。
また、申請場所も同じく該当の法務局での申請となります。
※法定相続とは、民法で定められた財産の取り分の事です。
法定相続を受けられる人のことを、法定相続人と言い、法定相続人の財産の取り分のことを法定相続分と言います。
法定相続分は次のような割合になります。
被相続人から見た法定相続人 | 法定相続分 | |
配偶者の法定相続分 | 子供・父母・兄弟がいない場合 | 配偶者100% |
子供がいる場合 | 配偶者1/2、子供1/2 | |
父母がいる場合 | 配偶者2/3、父母1/3 | |
兄弟がいる場合 | 配偶者3/4、兄弟1/3 |
・配偶者は必ず法定相続人になります。
・婚姻関係が必要になるため、内縁の妻は法定相続人にはなれません。
子供の法定相続分 | 配偶者がいて子供が一人の場合 | 配偶者1/2、子供1/2 |
配偶者がいて子供が二人の場合 | 配偶者1/2、子供1/4ずつ | |
配偶者がいない場合 | 子供100% |
・配偶者がいる場合、子供は財産の1/2を相続します。複数子供がいる場合は、その1/2の財産を子供の人数で等分することになります。
父母の法定相続分 | 子供・配偶者がいない場合 | 父母100% |
子供がおらず、配偶者がいる場合 | 父母1/3、配偶者2/3 | |
子供がいる場合 | 父母0% |
きょうだいの 法定相続分 | 配偶者・子供・父母がいない場合 | 兄弟100% |
子供・父母がおらず、配偶者がいる場合 | 兄弟1/4、配偶者3/4 | |
子供・父母がいる場合 | 兄弟0% |
100%の相続以外で、誰かと一緒に財産を相続する場合は「共同相続」となることがわかります。
不動産名義変更の登記にかかる費用
名義変更に必要な書類で触れていた「登録免許税」など、不動産の名義変更には様々な費用がかかります。
◆相続登記◆
●登録免許税
相続登記の登録免許税の計算は
固定資産税評価額×0.4%
です。
固定資産評価額は、毎年市区町村から送られてくる「納税通知書」に記載されています。
例えば固定資産税評価額が2,500万円の不動産でしたら、2,500万円×0.4%で登録免許税は10万円となります。
登録免許税は現金ではなく、収入印紙での支払となりますのでご注意ください。
●書類を集める際に必要な費用
添付書類として戸籍謄本や住民票の写しなどが必要となりますが、それらを市役所などで取得する際には別途交付手数料がかかります。
戸籍の交付手数料はおおむね一律で、戸籍謄本が一通450円、除籍謄本が一通750円です。
住民票の写しや印鑑証明書は取得する市役所などによって交付手数料が異なりますが大体一通200~400円程度だそうです。
また、場合によっては法務局で不動産の全部事項証明書(昔の登記簿謄本のことです。不動産の登記記録が記載された書類です。)を取得しなければなりません。こちらは一通600円で、収入印紙で支払います。
●司法書士などに依頼した場合その費用
相続登記を司法書士などの専門家に委任する場合、報酬を支払わなければなりません。
依頼した司法書士や、どこまで頼むかによりますが、3~10万円ほどの報酬になるようです。例えば相続登記だけを依頼した場合は6万円で、それに遺産分割協議書の作成も追加で依頼をするとプラスして費用が加算されるという仕組みが多いようです。
◆生前贈与◆
●登録免許税
生前贈与の登録免許税の計算は、
固定資産税評価額×2.0%
です。
相続登記に比べると高い割合ですね。先ほどと同じく固定資産税評価額が2,500万円だった場合、登録免許税は50万円となります。支払いは収入印紙で行います。
●書類を集める際に必要な費用
基本的には相続登記と同じです。
相続登記では必要なかった固定資産税評価証明書も取得しなければなりません。こちらは市役所で、一通300~400円程度で取得できます。
●司法書士などに依頼した場合その費用
生前贈与の報酬は、大体3~7万円ほどになるようです。
不動産を相続登記するときにも3つのパターンがある
不動産を相続する際は、被相続人が遺言書を残していれば遺言書の内容で、遺言書が無ければ遺産分割協議を行うか、または法定相続をして共有状態で登記をすることになります。それぞれの内容をみていきましょう。
①遺言書で行う登記
一つ目は、遺言による相続登記です。
通常、人が亡くなった場合は法定相続分どおりに相続しますが、被相続人が遺言書を残していた場合は、その遺言書の内容が優先されます。
被相続人が生前に自分の財産をどのようにするかをあらかじめ決めていたものですので、相続人はそれに従うことになります。遺言書の効力はとても強いものです。
遺言をすることによって、法定相続人以外の特定の人や法人に財産を与えることもできます。例えば内縁の妻や、養子縁組をしていない配偶者の子供、お世話になった友人など家族関係が無くても可能です。
そして、この遺言によって法定相続人以外の人に財産を与えることを「遺贈」と言います。(遺言によって法定相続人に財産を与えたときも、厳密にいうと遺贈となりますが、遺贈は「贈与」に当たるため、法定相続人が対象の場合は「相続」となることが一般的なようです。)
遺言書があった時の登記は、通常の相続登記とは少し異なります。
- 遺言書に「相続させる」と記載されていた場合
・受遺者(不動産を受け取る人)が単独で登記申請をすることができる。
・登録免許税は相続と同じ固定資産税評価額×0.4%
・必要書類
ο登記申請書
ο添付書類
・登記原因証明情報(遺言書) ・被相続人の戸籍謄本(死亡の記載があるもの) ・遺贈者(不動産を与える人。被相続人)の住民票の除票 ・受遺者の住民票の写し ・受遺者の戸籍謄本 ・固定資産評価証明書 ・(代理人が申請する場合)委任状 |
- 遺言書に「遺贈させる」と記載されていた場合
・受遺者を登記権利者、相続人全員を登記義務者として共同登記申請をしなければならなりません。遺言執行者を選任している場合は、登記義務者は遺言執行人となります。(遺言執行者とは遺言内容を確実に実現させるための手続きなどを行う人の事を言います。相続人はもちろん、司法書士や弁護士でも選任可能です。)
・登録免許税は贈与となるので、生前贈与と同じ固定資産税評価額×2.0%
・必要書類
ο登記申請書
ο添付書類 ※「相続させる場合」の書類に加えて、
・登記識別情報 ・相続人全員の印鑑証明書 ・(遺言執行者がいる場合)遺言執行者の印鑑証明書 ・(遺言執行者がいる場合)遺言執行者の権限がわかる書面 |
②遺産分割協議で行う登記
二つ目は、遺産分割協議による相続登記です。
被相続人が遺言書を残していなかった場合は、遺産分割協議をする必要があります。
遺産分割協議をすることによって、被相続人が残した不動産などを誰が相続するかなど、誰がどのように遺産を相続するかを決めることになります。
そしてその決まった内容を遺産分割協議書にきちんと記して、相続人全員が記名押印をすることで、相続手続きを進めることができるようになります。
もちろん、相続人が一人しかいない場合は遺産分割協議書は必要ありません。
③共有相続登記を行う
三つ目は、複数の相続人が法定相続分通りに相続して登記をする、共有相続登記です。
相続開始から遺産分割協議が成立するまでの間は、遺産は相続人全員が法定相続分を共有している状態です。遺産分割協議が成立する前に相続登記をすることも可能ですが、その際の相続登記の名義人は相続人全員で、持分は法定相続分となります。
しかし、この共有状態はあまりお勧めすることができません。
というのは、その不動産を売却したり建て替えをしたりしたい場合には共同相続人全員の合意が無ければいけないことや、「不動産名義変更の登記に必要な書類」で触れたように、共同相続人が亡くなってしまったらその子供や孫が当事者となってしまうため共同相続人が増えていってしまうなど、どんどん管理や運用が難しくなっていったり、大変な労力が必要になってしまうからです。
共有状態をやめることによって、遺産を巡って争うことにもなりかねませんが、しっかりと遺産分割協議をして、共有状態を解消するほうが良いでしょう。
次で、どのような方法があるかご紹介いたします。
相続不動産を相続人で分ける方法
①現物分割
現物分割とは、現状のまま不動産を相続する方法です。
例えば
・相続人が配偶者と子供二人、被相続人が土地を二つ持っていたという場合に子供二人が土地をそれぞれ一つずつ相続する。
・被相続人が持っていた土地建物を配偶者が全て相続する。
・被相続人が持っていた土地を相続分に分筆(土地を分けること)する。
などです。
現物分割をすることで落ち着いた場合は、次で説明する代償金などが発生しません。
②代償分割
代償分割は、特定の相続人が不動産を相続する代わりに、他の相続人に対して「代償金」として相応の金額を支払うという方法です。
遺産分割協議によって不動産を分割する方法としてよく使われています。
例えば評価額5,000万円の不動産を相続した兄弟の兄が不動産を取得する代わりに、弟に2,500万円支払うことにより、結果としてそれぞれが2,500万円ずつの相続をしたのと同じ効果にすることができる、というわけです。
③換価分割
換価分割とは、相続した不動産を売却して、そのお金を相続人で分け合う方法です。
誰も相続不動産に住むことができなかったり、住むことができる相続人がいて も代償金を支払うことができない場合などに使われます。
換価分割の際にも登記は必要で、一度相続人全員が相続登記の手続きを行った 後、不動産の買主への所有権移転登記を行います。
遺産分割協議が行われた結果として換価分割になったとしても、登記は共有名義で行うという事です。
相続する不動産に誰か(相続人)が住んでいる場合
分割方法で住み続けることができます
被相続人が亡くなる以前から、他の相続人が同居していた場合、引き続き同居を望 まれることがあると思います。その場合は、現物分割か代償分割で一人の人が対象の不動産を全て相続することで住み続けることが可能です。
相続する不動産に【住んでいる】場合には特例などがあります
ここで少し相続税について触れていきます。
相続人は、相続が開始してから10ヶ月以内に相続税を申告し、納付しなければなりません。
しかし、被相続人と相続人が同居していた家や被相続人が営んでいた事業のための 土地など、遺産の価値が大きいものの相続税の納付は高額になってしまう可能性があります。その相続税を支払うことができず、同居していた相続人の住む家を手放さなくてはならなくなる、事業をたたまなくてはいけなくなるなど、生活の基盤が揺るがされることがあります。
そこで利用したい制度が「小規模宅地等の特例」です。
この特例の中に、被相続人と被相続人と生計を同じくしていた親族が居住していた家の宅地について、小規模宅地の特例が認められる「特定居住用宅地等」というものがあります。(家に対する特例ではありませんのでご注意ください。)
この特定居住用宅地等に該当すると、不動産評価額を減額することができます。その割合は330㎡まで80%となります。もし330㎡を超えてしまっていても、330㎡までの評価額は80%減額となります。
そして、特定居住用宅地「等」の「等」が付いている理由ですが、この「等」は宅地の上にある借地権や賃借権などの権利のことを指します。
例えば被相続人が自宅で事業を営んでいた場合、特定事業用宅地等の特例が適用されますので、特定居住用宅地等の330㎡にプラス、特定事業用宅地等の特例で400㎡まで80%減額ができますので、合計730㎡の評価額を80%減額できるということになります。
特定居住用住宅地等は、以下のような例も認められます。
●二世帯住宅
かつては世帯間の行き来が簡単にできる作りでないと同居の親族として扱われませんでしたが、現在は二世帯住宅も同居の親族として扱われるようになっています。
ただし、区分登記(二世帯住宅を二戸の住宅として、それぞれ登記する方法)をしている場合は、特例が受けられない可能性があります。
●老人ホームに入居していた場合
老人ホームに入居していた場合でも、また帰ってくる可能性もあるとして、居住が継続しているとみなされます。仮に家が空き家になっていても、原則、特定居住用宅地等の特例が適用されます。
特例を受けるための要件は?
まず、被相続人が住んでいた家の土地であることが大前提となります。
そして次に、その土地を下記の親族が相続(または遺贈を受ける)する必要があります。
① 被相続人の配偶者
② 被相続人と同居していた親族
③ 「家なき子」親族
なお、③については、次の全てに該当していなければ適用されません。
(イ)被相続人が一人暮らしであること(配偶者や同居の親族がいない)。
(ロ)土地を相続した親族は、相続開始の3年前までにマイホームに住んだことが無いこと(マイホームは具体的に「自己又は自己の配偶者」「三親等以内の親族」「特別の関係がある法人」の持ち家のことを指します)。
(ハ)相続した宅地を相続税の申告期限まで保有する。
(ニ)相続開始時に居住している家屋を過去に所有していたことがない。
なお、上記以外の主な適用要件については以下のとおりです。
①については不要。配偶者には特に条件が無く、被相続人がその土地に住んでいた のであれば別居していても特例を利用することができます。
②については、相続税の申告期限まで引き続き居住・所有していなければなりませ ん。
③については、相続税の申告期限まで所有していなければなりません。
特例には期限もあります
もう一つ、小規模宅地等の特例を認められるための大切な要件があります。
それは、相続税の申告書の提出期限までに遺産分割協議を終了させて、特例の対象 の土地の相続人が決まっていることです。
相続税の申告書の提出期限は「被相続人の死亡を知った日の翌日より10か月以内」と定められています。基本的には、亡くなった日が基準となりますが、何らかの事情で死亡したことを知らなかった場合は、死亡を知った日を基準とすることができるということになります。
その基準日である被相続人の死亡の翌日から10か月を超えてしまうと、小規模宅地等の特例、さらには配偶者の相続税軽減(詳細には触れませんが、最大1億6,000万円まで、又は法定相続分までの相続が非課税で行えるというものです)を受けられなくなる可能性がありますのでお気を付け下さい。
とはいえ、相続人同士で揉めてしまったりして、申告期限に間に合わない事なども考えられます。期限に間に合わなかった場合の例外がありますのでチェックしておきましょう。
●申告期限以内に遺産分割があった場合
申告期限内に遺産分割があった場合は、期限後の申告であっても小規模宅地等の特例を受けることが可能です。修正申告や更正の請求を、遺産分割を知った翌日から4か月以内に行い、特例の適用を受けられる手続きを行いましょう。
●申告期限までに遺産分割が行われなかった場合
◆見込み書を提出する場合
申告期限までに、相続人が揉めるなどして遺産分割協議が終わりそうにない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告を行いましょう。
遺産分割協議が終わった後、改めて修正申告を行う際に必要な手続きを行うことで、特例の適用を受けることができます。
もし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しても遺産分割協議がまとまらなかった場合はどうしたら良いのでしょうか。
例えば相続に関する提訴がされている場合や、被相続人が子供の受験などのために期間を定めて遺産分割を禁止している場合など、申告の遅延がやむを得ないと判断された場合は、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を所轄の税務署に提出して、期限を延長するという方法があります。
とはいえ、やむを得ない事情というのは法令で定められたほんの一部の事由に限られますので、基本的には3年以内の遺産分割をすることが重要です。
◆見込み書を提出しなかった場合
申告期限を超えても遺産分割が行われず、かつ「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出をしなかった場合、小規模宅地等の特例の適用は受けられません。
土地や不動産の相続について相談するには
ここまで色々見てきましたが、いかがでしょうか。
登記手続ぐらいでしたら個人でされている方がいらっしゃいますが、正直時間も労力もかなり使う作業であることは間違いありません。
また、遺産分割協議や不動産の分割など、相続人同士でのトラブルも避けて通れないかもしれませんし、相続税などは難しい上に期限が設けられていて、正直個人で全ての処理をするのはかなり難しいのではないかと思います。
かと言って司法書士や税理士にいきなり相談するのもわからないことが多すぎる…などという場合は、一度相続の色々な悩みやトラブルのことを無料で相談をすることができる「遺産相続無料相談センター」などに相談してみるのも良いのではないでしょうか。
兄弟で不動産を相続する時は、どの方法が良いのか
相続した不動産を売却せず、例えば兄弟二人で相続する場合、どのような方法で相続するのが良いのでしょうか?
自宅を現物でわける「現物分割」の場合
現物分割をするという事は、自宅を現物で分けるということになります。
自宅の建物を二人で半分に分けるという事はまず不可能ですので、兄弟で話し合い、どちらかが自宅を取得することになるのではないでしょうか。
そうなると、自宅を取得できなかったもう一方の兄弟は不公平に感じてしまう可能 性があります。
また、例えば自宅の土地が広ければ、土地を分筆する方法もあります。
分筆自体は建物が建っていようが駐車場だろうが、条件を満たせばできますが、い ずれ自宅が老朽化した後に建て替えをしようとした際などに、容積率や建蔽率などの法律の規制に引っ掛かり、今の自宅と同じ規模の建物は建てられなくなる可能性があります。
さらに、自治体の条例により「戸建ての最低敷地面積は1区画最低80㎡」などと定められている場合、持っている土地が140㎡だとすると片方は80㎡で戸建てを建てられるようになっても、もう片方は60㎡しかなく戸建てを建てることができず、利用価値が下がるなどということになり、揉める原因になるかもしれません。(分け方によっては両方とも戸建てが建てられない土地になりかねません。)
土地の分筆を考える際は、条例などもきちんと確認してから実行する必要があります。
自宅の一部の代わりに金銭で分ける「代償分割」の場合
代償分割は、特定の相続人が不動産を取得する代わりに、不動産を取得できなかっ た相続人に対して不動産の価値に応じた相応の金額を支払う仕組みですので、現物分割に比べるとトラブルになりにくい可能性があります。
代償分割をする際には、不動産の価値が適正なものであるかどうかが重要なポイン トです。
不動産は算定方法によって評価額が変わります。また土地の形状などによっても減 額要素があったりします。代償分割の際の評価額と、実際に売りに出した価格では相場から1~2割ほど前後することは珍しくないことです。
不動産を取得する人は不動産評価額が安いほうが代償金が安く済みますし、取得できなかった人は不動産評価額が高いほうが代償金がたくさん貰える計算になりますので、あまり相場と違い過ぎると揉める原因になりかねません。
もう一つのポイントは、代償分割をするにあたっての代償金を支払うことができるのかという点です。
代償金が確保できなければ金融機関から借り入れをしたり、または被相続人の生命 保険を代償金として利用するということも考えられます。
この生命保険も注意が必要で、生命保険は遺産ではなく、受取人の財産となってし まいますので、遺産のように分割することはできません。
兄弟で兄が不動産を取得し、弟に代償金を支払うという分割方法になっていたが、 生命保険の受取人が弟になっていた場合で、兄が生命保険を代償金として利用しようとしていたとしたら、弟に支払う代償金が用意できなくなったということになります。
弟が生命保険があることを理由に、不動産を兄にそのまま不動産を取得させるとい うこともできますが、そうでなければ遺産分割協議をすることになります。
遺産相続無料相談センターではトータルサポート
遺産相続無料相談センターでは、相続専門対策士が、弁護士や司法書士・不動産鑑定士などと連携して、依頼者の相談に助言や支援をしています。
窓口が1つですので、誰に相談すればわからなかったことも悩まず相談できます。
相続登記の相談から、不動産の売却の相談まで、しっかりサポートをいたします。
相続財産の不動産(土地・建物・訳あり)を見積もり・買取をさせていただきます。
遺産相続無料相談センターのホームページから、査定をすることも可能です。
入力フォームに必要事項を入力して、送信して折り返しスタッフさんからの連絡を待つだけです。
入力フォームの内容は以下のようなものがあります。
・物件所在地
・現状(更地・古家あり等)
・土地(面積や私道の有無)
・建物(建物構造・面積・築年月・マンション名・管理費等)
・残債
・売却区分(買い換え・ローン返済等)
・売却希望日(即時・なるべく早く等)
・物件種別(アパート・マンション等)
・依頼者情報(名前・住所・電話番号等)
下記の各フォーム(土地・土地建物・マンション・事業用他)ごとに内容は異なりますが、大体入力内容は同じです。
査定依頼後3営業日以内に不動産コンサルタントから連絡が来ます。
- 土地 (更地・駐車場・古家付・農地など)
- 土地付建物 (一戸建住宅・店舗付住宅・別荘など)
- マンション (一般マンション・区分所有の建物)
- 業務用・他 (1棟売マンション・アパート・オーナーチェンジ・工場・その他)
まとめ
大変な相続手続きですが、無料相談をしながら進めることもできますし、困難なようでしたら相続コンサルタント、弁護士や司法書士、税理士などプロに任せてすっきりと終わらせることも検討してみてはいかがでしょうか。
監修者
氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)
-コメント-
相続には様々な形があり、手続きや申請方法もケースによって異なります。専門知識が無い方は申請書の不備等で無駄な費用が掛かってしまう可能性もありますのでしっかりと相談することをおすすめします。