相続における財産の評価とは何か
相続では相続するものを適切に評価しなければいけません。価値がないものに高い価値があるといって相続税を余分に支払うのは嫌ですよね。
今回は相続をする際にどのようなものをどのようにして評価するのか紹介していきます。
一覧で見る!主な財産の評価方法って?
①宅地や家屋の評価って?~相続税評価額とは~
相続税評価額とは相続の際の土地の価格です。路線価方式と倍率方式の2つの方式どちらかを使って相続税評価額を決定します。
路線価方式とは路線(道)に面している標準的な土地のことで路線価という価格がすでに決められています。ということは路線価が決まっていない土地を計算するのが倍率方式になるのがわかるでしょうか。
路線価の中にも分類があり相続税路線価と固定資産税路線価があります。
相続路線価は文字通り相続税・贈与税に使われるもので、固定資産税路線価は固定資産税・不動産取得税・都市計画税などに使われます。
相続路線価は「土地の評価額=路線価×面積」で求められます。路線価は国土交通省の管轄で国土交通省のホームページで見ることができます。
路線価が決まっていない土地では倍率方式が採用されます。工場用の土地やゴルフ場など大きな土地で適用されます。
評価額=固定資産剤評価額×評価倍率で求められます。
②預貯金の評価って~定期預金は?外資の場合は?~
預貯金に対しては残高に対して贈与税がかかりますが、故人がなくなる3年前から贈与を受けていたら相続税がかかります。
普通預金・定期預金・外貨の場合について紹介していきます。
普通預金の場合
普通預金の場合は相続開始日現在の残高が相続税評価額になります。残高を知るには残高証明を金融機関からもらわなければいけません。
定期預金の場合
定期預金の場合は相続開始日の残高と既経過利息を足して評価します。
既経過利息は金融機関で計算してくれます。
外貨の場合
外貨の場合はまず円に換算する必要があります。課税時期直前の相場が税金に影響を与えるので外貨を相続する場合は為替相場にも注目しておきましょう。
③上場株式の評価って?Fxについても・・・
上場株式の評価は時価で評価されます。この理由は株式市場が平日9時から15時まで取引がされています。株価が変動しているので取引時の時価が採用されるのです。
ただし時価と言っても評価されるには相続開始日の最終価格と以下の価格で最も低い金額が評価額となります。
- 相続開始月の毎日の最終価格の平均
- 相続開始月の前月の毎日の最終価格の平均
- 相続開始月の前々月の毎日の最終価格の平均
相続開始月だけでなく前月・前々月までさかのぼって評価されます。
FXの場合は故人が亡くなった日の最終価格が評価として採用されます。FXは売り買いどちらでも価格が変動します。
その結果預かり金・証拠金を清算してプラスになれば財産として、マイナスだったら負債として評価します。
ちなみにFX口座は銀行口座と同じで亡くなった旨を連絡すると口座は凍結されます。相続人は口座をそのままもらえるわけではなく、口座を新しく作りそこへ移動させるといったものです。
もし自分がFXを相続しそうな場合は口座の新規開設手続きを踏まなければいけないので注意しておきましょう。
④利付公社債や割引公社債って? ~国や自治体に関係するお金~
公社債とは投資家から企業や地方自治体がお金を借りる際に発行される借用書のようなものです。公社債の記録は有価証券となり残ります。
公社債は価格変動が起きるので評価方が難しいです。
利付公社債:利息を年2回支払ってもらえる公社債です。利付公社債は価格が公開されているので相続税の計算がしやすいです。
割引公社債:これは書かれている額面よりも低い金額で社債を発行するというものです。相続開始日の最終価格がそのまま評価額になるので利付公社債よりも簡単で単純です。
⑤貸付信託の評価って?
金融商品をお客さんから預かったお金で運用するのを貸付信託です。2009年に新規募集を終えていて2014年には全て償還が済んでいます。
相続税を計算するには修正申告や更生の履歴をさかのぼって評価することもあります。
基本的に貸付信託は株式のように流通していないので市場評価はできません。そのため金融機関が買い取った金額で評価されます。
証券などを発行した信託銀行により買取価格は変わってくるので信託銀行で確認しておきましょう。
⑥投資信託の評価方法
投資信託では上場されているか上場されていないかがポイントになります。上場されている投資信託では株式と同じような評価方法で判断されます。
上場していない証券投資信託の場合は以下のような計算式を行います。
日々決算型証券投資信託
毎日の決算で毎月もらえる分配金が変わります。MRFやMMFや中期交際投資信託が有名です。
1口あたりの基準価格×口数+未収集分配金−源泉徴収所得税−信託の解約手数料=評価額
それ以外の計算式には未収集分配金が入りません。
1口あたりの基準価格×口数−源泉徴収所得税−信託の解約手数料=評価額
これらは計算式だけで難しく感じてしまいますよね。そういう時は投資信託会社へ相談するようにしましょう。
⑦ゴルフ館員権の評価って?どうするの?
ゴルフ場の会員権では名義書換え料がかかります。会員権よりも高くなることもしばしばです。この名義書換え料は控除されず相続税に何にも影響を与えないことがまず第一のポイントです。
ゴルフ場の経営破綻が起きると預託金が返ってくるかどうかわからないです。そんなときは預託金が戻らない前提で相続税を計算します。
もし預託金が戻ってきたら相続税の修正申告をします。
会員権は様々な市場で取引されます。取引市場ごとに価格も異なりますが、一番低い価格で相続税の計算ができます。
また取引相場のあるゴルフ場会員権は取引価格の70%で評価されます。
⑧宝石・貴金属の評価って?
不動産とは動かない財産ですが宝石や貴金属は動くので動産と呼ばれます。宝石・貴金属は総称として一般動産として扱われます。
宝石・貴金属は時価で評価されることが多いです。販売店ごとに価格が異なる貴金属は専門家によって鑑定してもらうようにしましょう。
宝石は品質によって価格が変わるので一概に決めることができません。
さらに店舗では店舗代や人件費など上乗せするものが多いので価格が高くなる可能性があります。
宝石は専門家による鑑定価格も参考にしましょう。
⑨借入金の評価って?
借入金は返済額がそのまま評価されます。しかし、この借入金は財産といえどマイナスの財産です。それなので債務控除として相続財産の中から引くことができます。主に債務控除になるのは住宅ローンや事業の買掛金・医療費、事業の未払金などです。他にも故人の固定資産税や住民税も控除の対象になります。
葬式の費用も控除の対処になります。埋葬費や火葬費・納骨の費用など葬儀に必要な費用は控除対象になるので覚えておきましょう。
まとめ
相続をするには評価をしてから相続額や相続税が決まります。相続をするものは物件や不動産・宝石・ゴルフ場会員権など幅広いです。そのため様々な相続税の計算や評価の方法があるのです。
自分一人でわかりのであれば良いですがどうしても全部を覚えているのは大変ですし、計算するのも苦労します。
相続の評価も含め相続関係で困っている人は相続に強い弁護士や税理士に相談するようにしましょう。
監修者
氏名(資格)
古閑 孝(弁護士)
-コメント-
相続問題は相続人によって異なります。相続人は親族であり、その後も長い時間をかけて付き合う可能性が高い相手。だからこそ、円滑に、そしてお互いが納得した遺産相続手続きを進めたいですよね。